魔法の練習しよう
お久しぶりです。やっと投稿できました。
全然時間が空かないんだけど⋯⋯
次、いつ投稿出来るかなぁ
ローカレル家は毎朝、家族で一緒に食事をする。
メイドさん達が作ってくれたスープやパンを囲んで、会話を楽しみながら食べる。
食事中は喋らないなどのマナーは特に無く、家族の交流の場とされている。
そんな朝食で母さんはご機嫌だった。どうやら俺に魔法の才能があったのが嬉しいらしい。まあ、俺の魔法は前世の科学知識に頼ってるんだけどね。
「それにしても、ディルに魔法の才能があったなんてね、あなたに似たのかしら?」
「んー、たしかにここら辺では腕利きの魔法師だと思ってるけど、王都に居る魔法師達からしたら私の実力は平均的だぞ?才能という程のものは持っていない」
「え?父さんの実力って平均的なの?」
「ああ、ここら辺は王都から馬車で五日ほど離れていてな、魔法学を学びに王都に行く人は少ないんだ。農業を盛んに行なっているから特に魔法は必要無いしな。それにローカレルの地も狭いところだからな。魔法学校もない」
ああ、なるほど魔法を使う人が少ないなら相対的に王都の学園で学んでた父さんが実力的に上になるのか。
あとローカレルの地はかなり小さかった。どれくらい小さいのかというと、人の居住区は前世のバチカン市国を一回り大きくしたくらいしかない。
もう町というか、下手したら村って感じ。
まあ、畑とかの土地も含めたら結構広いんだけどね。
だから伯爵のくせに貧乏だったりする。もちろん普通の市民から比べたら裕福だけど、多分子爵よりもお金ないんじゃないだろうか。
なんでこんなに領地が小さいのかというと、王様は新興貴族が現れると領地を与えたり、王都で仕事を与えたりするけど、その領地を与えるにはどこかの領地を削る必要がある。
もちろん王家で管理している土地を与えることもあるけど、そういう土地はまだ開拓が進んでなかったり、盗賊が蔓延っていたりしてなかなか用意できない。
新興貴族に開拓させても途中で問題が起きて頓挫することも結構あるみたい。
ということで、ローカレルの地も少しずつ新興貴族に分け与えていった結果今の大きさになったらしい。
ちなみに、そのあと貴族が増えすぎて領地の区分が細かくなり、管理が行き届かなくなった時代があったらしく、今ではそういう領地は辺境伯など有力貴族の管理下にあるとのこと。
ローカレルの地は王都からも辺境伯領地からも離れて微妙な位置にあるので、周りの子爵、男爵達とお互い助け合って土地を治めている。
⋯⋯うん、本当にローカレル家は子爵とか男爵とかと同列に見られてるんだな。田舎貴族だしな。⋯⋯伯爵なのに。
「さてディル、今日はリサに魔法を教えてもらうといい、私は仕事があるからな」
「うん、わかったよ」
「あら、だったら私も見たいわ、ディルの魔法使うところ」
「いいよ!昨日の身体強化も練習するんだ」
「うふふ、楽しみね」
「じゃあアイムは今日も勉強頑張れよ」
「うん、算術は難しいけど頑張る⋯⋯」
そんな感じで朝食が終わってそれぞれ準備などをし始めた。
俺はまずグランドさんの様子を見に行くことにした。昨日身体強化でかなり無理させちゃったから心配だ。
⋯⋯と、思ったら普通に執事してた。
「グランドさん、体はもう大丈夫なの?」
「ディレク様、はい、一晩でもうすっかり回復しました。ご心配をお掛けしました」
「昨日はゴメンね、無理させちゃって」
「いえ、私が勝手にしたことですから良いのです。ディレク様の魔法がすごい事もわかったではありませんか」
「グランドさんの教え方が良かったんだよ。また今度身体強化教えてね」
「はい、おまかせ下さい」
よかった、もうしっかり回復してるみたい。体内魔力は一晩寝れば大体回復するのかな?
⋯⋯じゃ、魔法の練習してこようかな。
リサさんは後から来るということで、はじめは一人で練習することにした。
母さんは庭に置かれた椅子で紅茶を飲みながら頑張ってねと声をかけてくれた。
母さんも見てくれてるし頑張るか。
まずは昨日の復習として全身を身体強化で包んだ。それでとりあえずは跳んでみる。
「うおっと、まだ身体強化した運動能力に慣れてないな」
軽く跳んだつもりがやっぱり3メートルも跳んでいた。
⋯⋯というかおかしい。さっきから加減して跳んでいるのに毎回想定よりも大きく跳んでしまう。かといって加減し過ぎると今度はまったく跳ばない。
次は石を潰してみる。前回と同じように右手に魔力を這わせて魔力どうしを強力な結合させるイメージで⋯⋯。
もちろん石は砕けた、けどやっぱりおかしい。これも加減ができていない。どうしても必要以上の力が出てしまうし、加減し過ぎると石はビクともしない。何度やっても結果は同じだった。
なんだろう、制御できてないって感じだなぁ。なんでかは知らないけど。⋯⋯とりあえずリサさんに聞いてみようか。
一通り昨日の復習が終わったところでリサさんが来た。ナイスタイミング。
「リサさん、なんか身体強化がうまくいかないんだけど、何か知らない?」
「?⋯⋯あっ、もしかして加減が難しいということですか?」
「そうそう、しっかりイメージしてるはずなのにうまくいかないんだよ」
「なるほど、そういえばディレク様は魔法を使うのは昨日が初めてでしたね」
そういうとリサさんは納得した、という表情で教えてくれた。
「それはまだ魔力の扱いに慣れていないのでしょう」
「慣れてない?」
「はい、上手く魔法を使うには魔力の制御を完璧にする必要があります。いくらイメージがしっかりと出来ても魔力制御がおろそかでは魔法はうまく使えません」
はあー、なるほどね。まあ確かにイメージだけでそんな強力な魔法がポンポン使えるわけないよね。
俺の場合、イメージがしっかりできてた分魔法の発動は出来たけど、まともに制御できてないってことか。
どうりでさっきからうまくいかないわけだ。
「魔力の制御ってどうやったら上手くなるの?」
「それは⋯⋯毎日練習するしかないかと。あとは成長とともに制御はしやすくなると思います」
「えー、成長とともにって関係あるの?」
俺は早く魔法をマスターしたいんだけどなぁ。
「⋯⋯普通、最初から強力な魔法は使えません。こういうものは成長とともに徐々に上達していくことで、自然と魔力の制御もできるようになるのですが⋯⋯ディレク様は最初から強力な魔法が使えてしまいましたからね、その分魔力の制御が追いついていないのだと思います」
「つまり俺は魔法を使うのが早すぎたってことか⋯⋯」
うーん、そういえばこの前父さんが魔法を使うのは普通10歳になってからだって聞いた気がするな。
そのくらいまで成長しないと上手く魔法の制御はできないのかな?なんでだろう⋯⋯何か体の中の魔力を操る器官か何かが成熟しないとか?
⋯⋯まあ、これは考えてもしょうがない。毎日練習して、背丈が伸びるのを待つしかないか。
この後午前中はリサさんにアドバイスしてもらいながら身体強化で魔力制御の練習をしていた。
継続は力なりっていうし、毎日頑張りますか⋯⋯