属性魔法
会話の中に説明入れるの結構めんどくさい⋯⋯
今日から魔法を教えてもらえることになった。
午後から始まる魔法の訓練が楽しみすぎて、朝から落ち着かない。
「ディレク様、そう慌てなくても旦那様はちゃんと魔法を教えてくださいますよ」
あんまり落ち着きが無いもんだから家の執事、グランドさんに宥められてしまった。
「うん、分かってるんだけど⋯⋯やっぱりまちきれないよ!」
今まで魔法は少ししか見たことはない。それも生活の中で使う小さなものだけだ。
「よく使用人達が家事をするのに魔法を使ってるのを見たことあるけど、今日はもっと派手な魔法を教わりたいんだ!」
「ほっほっ、攻撃魔法の修得は難しいものですよ⋯⋯しかしディレク様ならば強力な魔法も修得できるかもしれませんね。きっと魔法師として有名になるでしょう」
おお!やっぱり攻撃魔法とかあるんだな。ますます午後が楽しみだ。でも⋯⋯
「俺、有名になるつもりは無いよ?ただカッコいい魔法が使いたいだけ」
「しかし、それだけの魔法が使えましたらまわりが放っておかないかと思われます、もしかしたら宮廷魔法師として国に迎えられるかもしれません」
「えー、さすがにそれはないと思うよ?」
宮廷魔法師とか肩書きはカッコいいけどもうちょっと自由な立場がいいなぁ⋯⋯でも魔法の研究することを考えるとそっちの方が施設とか設備とか使いやすいよなぁ⋯⋯まあ、今考えてもしょうがないけど。
そんな事を考えながら時間が過ぎてった。
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午後になった。
最初の魔法の訓練は座学から始まった。
俺と兄さんは隣り合って座って、父さんは前世で見たのよりふた回りほど小さい黒板の前に立っている。この授業形式この世界にもあったのね。
リサさんとグランドさんは黒板の脇に立ってる。
「じゃあまずは魔法の種類のことについて詳しく見ていこう。」
「ん?魔法って水動かしたり、火出したりする以外にもあるの?」
「ああ、ディルが今いったのは属性魔法と呼ばれていて、水を動かすのは水属性、火を出すのは火属性だ。」
ファンタジーっぽい用語キター!しかも火と水があるってことは⋯⋯
俺は早まる気持ちを抑えつつ質問をする。
「火と水以外の属性ってあるの?」
「属性は基本的に四つある、さっきいった火と水、あと土と風、これで四つだ」
「なるほど属性魔法は四つ⋯⋯じゃあ属性魔法以外ってなにがあるの?」
「属性魔法以外には治療魔法と身体強化魔法とかがあってな、さっきの四つの属性に当てはまらないから無属性魔法と呼ばれている」
治療に身体強化まであるのか、なんでもありだな。⋯⋯そういえばさっき⋯⋯
「基本的って言ってたけど、どういう事?」
「おっ、いいところに気がついたな。実はさっきの四つ以外にも雷属性や氷属性などの属性があるんだ」
「なにそれすごい!なんかメッチャ強そう!」
「ああ、確かに強力だといわれているんだが⋯⋯」
そう言って少し困った顔をする。なんだ?なんかあるのか?
「雷属性や氷属性などの属性魔法は特殊属性魔法といって、使用者がかなり限られるんだ。⋯⋯たしか今この国にいる氷属性使いは五人だったはずだ」
「えっ、そんなに少ないの?じゃあ雷属性は?」
「氷属性使いは俺が知っている限り世界に二十人ほどいるらしい、⋯⋯それと雷属性使いは今はいない、実はこの国の先王が雷属性使いだったんだが寿命でな⋯⋯先王以外の雷属性使いはまだ確認されたことは無い」
「すごい希少なんだね」
「ああ、だからもし使えなくても気にするな。特殊属性魔法は本当に難しいんだ。残念だが私も教えることができない。」
「そっか⋯⋯大丈夫だよ教えてもらわなくても自分で開発して見せるから」
「ふふっ、そうか頼もしいな、では魔法開発のためにも授業を進めよう」
おっ!やっと実践かな?
ちなみにこの時点で兄さんは船を漕いでる。入学試験に魔法使わないって言ってたからなぁ。
「次は魔法の序列についてだ」
残念、もうちょっと座学は続くみたい。早く魔法つかいてぇ⋯⋯ん?というか序列って?
「まあ、序列といっても魔法の相性のことではなく、難易度の序列だがな」
「?魔法の相性はなんとなくわかるよ。火は水に弱いとかでしょ?でも難易度の序列ってなに?」
「実は魔法には難易度があって、一番簡単なのが土属性、次に簡単なのが水属性、その次が風属性で、一番難しいのが火属性だ」
えっ!よくファンタジーものって火の魔法が基本の基本になってるけどこの世界だと違うの?
「なんで難しさが違うの?」
「なんでといわれてもなぁ⋯⋯そういうものだとしか言えないな。実際火属性魔法は難しいし、土属性魔法は簡単にできる。」
「じゃあ無属性魔法は?こっちも難しさに差があったりするの?」
「あるぞ。身体強化魔法よりも治療魔法の方がずっと難しい。治療魔法は火属性魔法より難しい、けど身体強化魔法は土属性並に簡単」
んー?なんでこんなに難易度に差があるんだ?何か法則でもあるのか?
「じゃあ火属性使いと治療魔法使いは少ないんだね」
「んー、たしかに治療魔法使いは少ないが火属性はそうとも言えない。まったく使えないわけではなくて、火の粉を出すくらいなら使える人も結構いる」
⋯⋯いや、ショボっ!なに火の粉を出すって、火種すら出すの難しいのかよ。
「⋯⋯と、まあだいたいこんな感じだ。一通り説明したし、足りないところは実践しながら説明するか」
待ってました!やっと実践できる!
「まず魔法をどうやって発動させるかだが、行使したい魔法のイメージをしっかりする、これに尽きるな。あとは魔力の操作だな」
「イメージ?魔力って何?」
「魔力とは魔法を行使するための力だ⋯⋯そうだな、まずは魔力を感知するところから始めなければならないな」
えー、まだ魔法を使うまでに至らないのかよ⋯⋯
「ちなみに魔力を感知するのは難しいぞ?私も最初は時間がかかった」
「へー、どのくらいかかったの?」
「えーっと、たしか⋯⋯二年くらいだな」
⋯⋯えっ?今なんて言った?二時間?聞き間違いでなければ二年って⋯⋯
「ええーー!二年ってそんなにかかるの!?」
大声を出したから隣で船漕いでた兄さんがビクッとしてる。
「落ち着け、私は確かに二年かかったがこれは個人差がかなりある。遅い人は三年ほどかかるが、早いと一週間くらいで感知できるようになった人もいる」
「⋯⋯やっぱり時間かかるじゃん」
「ははっ、こればっかりは根気強くやらないとな」
はぁ、魔法への道は長い⋯⋯
「そんなに魔法が使いたいなら手取り早く使えるのもあるぞ?」
なんですと!?
「なっ、なに!すぐにできる魔法!?」
「あ、ああ無属性魔法の身体強化なら多分二、三日あればできる」
それはたしかにお手頃価格!
「身体強化やりたい!どうやるの?」
「それを教えるのは私じゃない、無属性魔法は私よりもグランドの方が上手い」
「あっ、それでグランドさんにも手伝ってもらおうとしたんだね。⋯⋯それならリサさんは?」
「リサは水属性魔法が得意でな、こと水属性に関しては私よりも上だ」
⋯⋯リサさんもグランドさんもすごいんだな。
「それじゃあ、グランドに無属性魔法の使い方を説明してもらおうか」
「かしこまりました、旦那様」
「グランドさんよろしくお願いします。リサさんも、あとで水属性魔法教えてください」
「「お任せくださいディレク様」」
こうして次はグランドさんに無属性魔法を教えてもらうことになった。
また気が向いたら投稿します