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シンデレラマシーン  作者: 黄金の右脚
3/4

後編


 さて、あらから会話が弾んだのだが。

 話の内容は、まず好きなアニメの話に始まり。

 好きな食べ物の話。

 プラモの話。

 スポーツの話。

 

 と、時間を忘れて延々と話し続けた。

 その結果三時間も話してしまった。


「あ! 道案内のこと忘れてた!」

 話しに夢中になっていたが、時間のことに気づいたのは俺の方だった。


「しまった! 早くしないと結婚相手を待たせてしまう!」

「えっ!?」 

 驚いた事にこの人は超富裕層の人だった。

 だが、そんなことに驚いている場合ではない。

 この人をサッサと案内しないといけないのだ。

「走るぞ!」

「は、はい!」

 んで、俺達は目的の場所に向かうが……。


「って! ここ待合室じゃないか!」

 ドコに行きたいかいい加減に聞いたので、この人が行きたい場所が待合室だったと気づかなかった。

 これで一応一件落着かと思いきや……。


「聖帝さん、ドコに行ってたんですか! もう時間とっくに過ぎてるんですよ!」

 待合室で係員の人が俺に文句を言いながら嫌な目で睨み付けてくる。

「すいません。道案内をしてたら時間を食っちゃって」

 どう考えても俺の方が悪いので、係員さんに謝り、事の経緯を説明した。


「じゃあ、迷子の相手をしてたんですか?」

「そうだ」

「……」

 事情を聞くと、係員さんは黙り込んで、やや呆れた表情になる。


「しかし迷子になるなんて、マヌケな人もいるもんだ」

 だけど二十秒もすると係員さんはまた文句を言い始めた。

『多分、この人の人間性はイマイチだろうな』 そうおもった。

 しかし、そんな風に俺が思っていることなど知る由も無い係員さんはイヤミなことを言い続ける。


「その迷子になったヤツがいたら見てみたいもんだぜ」

「……すまん、私だ」

 係員のこの発言に、俺の後ろにいた迷子が申し訳なさそうに出てくる。


「白瀬様!?」

 その迷子の姿を見た係員はとても驚き、青ざめた。


「これはその! えっと、その! ですから……そのぉ」

 係員は頭アッパラパーのパニック状態。あたふたして言葉をまともに話せていない。

 どうやらこの迷子になった男はかなりの大物らしい。


「別に気にしてないですよ。そなかわり、彼が遅れた事は大目に見てください」

「ハハァ! それは勿論!」

 係員は土下座して謝りながら迷子になった男に従った。


「ではこちらへどうぞ」

 係員は態度をコロッと変えて俺を丁寧に案内する。

 なんと切り替えの早いヤツだ。


 まあ、それはさておいて。

 俺はシンデレラマシーンを使うために特別室に入ろうとすると……。


「あら、高杉くん♪」

「おわっ!?」

 ドアが開くと、小さな男の子と手をつないだ見たことの無い美少女が俺の名前を呼ぶ。

「誰だオマエ!」

 驚いてバックステップしてしまった。


「やあねぇ。アタシのこと忘れるなんて」

「へっ?」

 よく聞くと彼女の声は聞き覚えのある声。

「……まさか!?」

「そう、史橙門ちゃんで~~~~す♪」

 そのまさかだった。


「どうよ、アタシの新しい体」

「どうと言われても……」

 

 ゴツ顔だった橙門の顔はスッキリとしたショートヘアーの美少女になっていた。

 あのブ男がこんな美少女になるなんて驚きだ。

 これだけでも驚きだったが、体つきも見事に女性になってた。

 前回的にスマートな感じで、括れた胴、小さい胸、細い脚、見事なスレンダー美少女。

 橙門は元から痩せていたが、性転換して更に磨きがかかったようだった。

 

 その変化をまじまじと見ると、シンデレラマシーンの凄さを改めて実感。

 あえて例えるならば 『汚い宝石の原石』 を 『優れた職人』 がエレガントに加工したかのようである。

 ちょっとオーバーに聞こえるかもしれないが、シンデレラマシーンの凄さは、そのぐらい凄いものだった。


「しかし、橙門。その子供は誰なんだ?」

 橙門の変化に驚いて忘れていたが。橙門の隣には知らない男の子がいた。


「この子の名は白瀬ふじ丸。アタシの結婚相手よ♪」

「えっ!?」

 この言葉に耳を疑った。

 なにせその男の子は幼稚園生ぐらいにしか見えなかったからだ。


「キミ、何歳なの?」

「十歳で~~~~す♪」

「マジ!?」

 外見と実年齢が一致してない。


「十歳じゃ、結婚できなくないか?」

 なお、この時代になっても男性が結婚できる年齢は十八歳のまま。

 なので、十歳では結婚できないのだが……。


「この子がお嫁さんが欲しいって言ったみたいで、政府が事を早めてくれたのよ」

「お小遣い渡したらOKしてくれました」

「結局金かよ!」

 二人の言った事に思わずツッコミを入れてしまった。


「お小遣いとか言うが、政府にいくら払ったんだ?」

「三億八千万です」

「ぶっ!?」

 有り得ない小遣い額に、吹き出してしまった (流石は超富裕層の子供)


「この子は早くお嫁さんが欲しかったのよ」

「「ね~~え♪」」

 二人は仲良く声を揃えてそう言った。

 コイツらはバカップルか?


「しかし、十歳で結婚は早過ぎるだろ」

「まあ、彼が十八歳になるまでは恋人同士として過ごすことにするわ」

「当人同士が納得してるなら、まあいいが……」

 橙門とふじ丸に喋っているうちに、なんだかよく分からないモヤモヤした変な気持ちになっていた。

「うーーむ」

 んで、俺が苦笑いしていると……。


「聞いたことのある話し声だと思ったら、ふじ丸じゃないか」

 道案内してあげた迷子がいきなりやって来た。


「あ! 叔父さん」

「へっ!?」

 

 なんとこの男、橙門の婚約者の叔父さんだった!?


「アナタは何者なんですか?」

 正体不明の迷子になった男が何者なのか気になって聞いてみた。


「そう言えば自己紹介がまだでしたね。私、白瀬コーポレーション玩具部門社長・白瀬開南丸です」

「なんと!?」

 係員さんに苗字を言われた時にまさかと思ったが、そのまさかだった。

 この男は俺の結婚相手であった。


「ポカーーーーン……」

 世の中には偶然があるものだと言うが。まさか自分がその偶然に遭遇するとは想像もしなかった。

 そんなんだから軽い放心状態に。

 しかし、三十秒もすると元の精神状態に戻ったが (笑)


「そうか、この人が……」

 見ず知らずの男と結婚する事を忌み嫌っていたが。

 それは相手がどのような人物か分からなかったから。まさかこんなに気の合うヤツだとは予想外。

 正直、この人とだったら本気で結婚しても良いかもしれないと思った。


「よし!」

 そして俺はシンデレラマシーンで性転換する事を決めたのだった。

 まったく、政府のスーパーコンピューターの相手選びは大したもんだぜ。


 迷いが消えると頭の中のモヤモヤもなくなり、スッキリしていた。

『こりゃあ日本の将来は思ったよりも明るいかもしれないな』 なんて言葉が頭をよぎる。


 日本の少子化を救うのはシンデレラマシーンによって産卵能力を得た男達かもしれない。

『俺も結婚したら沢山子供を作らないとな』 そんなこと考えながらシンデレラマシーンの寝台にあおむけに寝た。

 

 そして、そっと目を閉じて性転換されるのだった……。




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