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シンデレラマシーン  作者: 黄金の右脚
1/4

前編


「……まったく!」

 いきなりだが、俺はプリプリと怒りながら歩いていた。

 とにかく腹が立っていたからだ。


 なぜにそんなに紀を立てているかと言うと、訳がある。

 それは俺が今から女に改造 (性転換手術) されるからだ。

 いったいどうしてこうなったのか?

 事の発端は半年前に遡る。


 下がり続ける出生率の低下に政府は頭を悩ましていた。

 様々な対策が行われましたが、何れも上手くいきませんでした。

 事の最大の原因は、男と女では考え方が異なるために結婚しても長続きしないのだ。

 だから国家ぐるみの婚活でペアが決まっても数年 (早い場合だと数ヶ月) で離婚してしまう有り様。

 仮に上手くいっても、子供を一人に絞って十分な養育・教育に専念する、一人っ子ブーム (?) が出生率低下を加速させる。


 このままでは人類が滅んでしまう。

 そのため政府は何回も議論を交わした結果、一人の政治家が……。


「もう、男は男と結婚すりゃあいいよ!」

 と、突拍子もないことを言い出す。


「「「「……」」」」

 このとんでも発言に、他の政治家達は一瞬思考回路が停止。

 言葉を失ったが……。


「……その案、いいかもしれません」

「「「「議長!?」」」」

 このとんでもない発言に議長が賛同してしまったから、話が変な方向に進み始める。


「確かに議長の言った通りかもしれません」

「おい! オマエまで何言ってんだ!?」

「だって、俺の彼女。俺が頑張って鍛えた肉体を全然誉めてくれないんだぞ!」

「「「「うわぁ……」」」」

 このマッチョな男の言ったことに、その場に居た女性議員は全員呆れた。


「分かるぞ! その気持ち!」

「おぉ! 分かってくれるか!」

「あぁ! 俺も苦労して塗装したプラモを彼女に見せたら 『汚い』 の一言で片づけられたんだぞ!」

 さっきの話しに釣られてか、この男も自分の身の上話を始める。

「あれはウェザリングなんだ! 汚いんじゃない!」

「それは酷い!」

「僕も恋人に恐竜の話ししたら冷たくあしらわれました」

「それも酷いな!」

 などと、議題そっちのけで男性議員は恋人への不満をぶちまけ始める。


「ギロッ!」

 その言いたい放題の男性議員達を最年長の女性議員が睨み付ける。


「「「「ドキッ!?」」」」

 睨み付けられた男性議員達はビビって、ちょっと怯む。


「アンタ達、言わせてもらうけれどね!」

 最初のうちは黙って男性議員の話しを聞いていた女性議員だったが、聞いてるうちにだんだん腹が立ってきて、男性議員達に意見する。

 

 その後、会議は揉めに揉めたのだが。

 この案は可決。実行に移されてしまう。

 そして手始めに、超富裕層のために実行されるのであった……。


 ご説明終わり。


「……ここか」

 ブツブツと文句を言いながらも、俺は性転換する施設に到着した。


「……」

 どんな胡散臭い施設かと思ったが。建物は都庁並に立派なものだった。

 そのお陰か少し安心。

 しかし、まだ不安はあったが……。


 だが、いつまでもボケーーッと突っ立ている訳にもいかないので、俺は施設の中に入った。


「ふーん……」

 施設内の正面ホールは一流ホテルみたいに明るくて豪華な空間で、俺みたいな庶民には場違いな場所だった。

 

 まあ、それはさておき。

 俺はさっさと受け付けを済ませて順番を待つことに。




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