表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
原初の罪  作者: EVE
第2部 神々の庭
32/32

2-17.5

『グオォォォォオオ!!!!! 』


 影は宙を仰ぐように吠え……糸が切れたように崩れ落ちた。後にはエルだけが残っており、影は嘘のように消え去った。

 アベルはそれを見届けて、荒い息を無理やり整える。


「エル!! 」


「大丈夫か!? 」


 崩れ落ちたエルに駆け寄るアシュリーとカイル。


「うっ…… 」


 アシュリーに抱き起こされたエルは、朦朧とした様子で目を醒ます。


 「だ、大丈夫……だ。 心配かけて済まない 」


 「馬鹿! 馬鹿!もう駄目かと思ったじゃない!!! 」


 堰を切ったように涙が、アシュリーの視界を滲ませる。


 「馬鹿野郎!ほんとにお前はいつでも心配させやがって! 流石に今回は肝が冷えまくったぜ! 」


 カイルは何処か戯けているが、安堵した表情を隠しきれず、嬉しそうに言葉を掛ける。



 「ふん……漸く正気に戻ったようだな。そのままくたばったら清々したんだがな 」


 皮肉げな声にエルは反応する。



 「どうやら助けて貰ったみたいだな。礼を言う。すまない 」


 エルはまだ痛む身体に若干顔を苦痛に歪めながら、アシュリーの助けを借りて立ち上がる。


 「アベル、お前には聞きたいことが沢山出来たみたいだ…… 」



 「ふん、何度も言わせるな化物(お前)に礼を言われる謂れはない 」


 「それにだ……お前が知りたいことは、解っている。例えばこの顔のことだろう? 」


 アベルは自身の白銀の髪を掻き揚げる。今だにぽつりぽつりと辺りを照らす光苔がその顔を照らす。


 「なっ!! 」


 「嘘でしょう!? 」


 初めてアベルの顔を見たカイルとアシュリーが驚きの声を上げる。  照らし出された表情は苛立たしく歪められていたが、其処にはエルと瓜二つの眼が、鼻が、口が、顔が在った。


 「いいだろう。何も教えるつもりはなかったが気が変わった……もっとも、凡てを答えるつもりはないがな。何も知らないお前を見ていると本当に苛々するぜ 」


 宿で待っていろ……そう言い残したアベルは仄暗い洞窟から消えた行った。



 「一体全体どういうことなんだ? 」


 混乱を隠さずカイルが問いかける。その声を耳にしながら、思案気な表情をするエルに、アシュリーは声をかける。


 「ねぇ。色々大変な事だらけだけど、取り敢えず今は…… 」


 「あぁ。帰ろうか 」






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 『こうしてまた一つ、運命の歯車は回り始めた 』


 神々の庭(ガーデン)からエルたちの様子を窺っていたメタトロンは、筆を進める。


 何故ならここはーーーー


 「あぁ、そうだよ。その通り!ここは神々の庭(ガーデン)じゃない 」


 無機質で剽悍な声が響き渡る。

 唐突にメタトロンが手を叩く。するとどこからか黒い火が灯る。その火は徐々に大きくなり、やがて幻想的な景色が静かに炎に呑み込まれた。炎はどんどん激しさを増して総てを呑み込んだ。まるで凡ての罪を焼き尽くす様に……

 その焔はメタトロンを舐めるが、彼は微動だにしない。だが、その瞳にははっきりとした憎しみの炎に焦がれていた。


 「お前たち人間が堕ちた光の戦争(ラグナロク)によって、ウリエルの炎に呑まれたように、僕はあの日から、我々の(父親)によって煉獄へ堕とされ、今もなお責め苦の炎に焼かれている 」


 「人間たちを見守るのは、凡ての書記である僕の役目(しごと)。その人間たちを闇に染め、僕の兄弟(ルシファー)を貶めた罪……その身で贖ってもらうぞ蛇め!!! 」


 其処には飄々とした天使(メタトロン)は存在せず。怒りに満ちた神の戦士(メタトロン)が存在していた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ