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復讐代行  作者: 射月アキラ
第4章
24/24

03

 テーブルの上に置くと、ごとりと鈍い音がする。


 見た目よりも重い──魂が込められた弾丸だと、想像するのはたやすい。


「ある男を追っています」


 普段の調子を保って、ヴァージルが言った。


 実包から、彼の目へ視線をそらした。細められた目が、柔らかい微笑の中にあって刃のように鋭い。


「だから、私のことは忘れてください。誰かに問われても、なにも答えないでください」


 続いた言葉を、思わず聞き返してしまった。


 自分の存在を相手に知らせたくて、少ない依頼料の代わりに依頼人を「広告塔」にするつもりだと思っていた。だというのに、忘れろだなんて。


 逆に言えば、そのぐらいのことは喜んでやろうと思っていた。しかし、ヴァージルは静かに首を振る。ペンダントを首にかけて服の下に隠し、布越しに実包を握りしめる。


 そうやって、どれだけの時間を弾丸に込めてきたのだろうか。


 数瞬伏せられた目が、上がる。顔には微笑が浮かんでいるのに、神経を削られるような恐怖心が湧きあがる。


 半分ほど残ったコーヒーを置いたまま、ヴァージルは席を立つ。


 去り際、囁かれた言葉を噛みしめて、僕はようやく彼に関わったことの重大さを理解した。



「──復讐の理由を、これ以上増やしたくないので」

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