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十八話 一区切り

「アナタは何時もそうやって私から逃げますね? 何か疚しい事でもあるんでしょうか?」

 アモン傭兵団の副長、冷血の二つ名を持つ銀髪のエルフの女性が、俺の逃げ道を塞いでいた。

 後ろは武器庫、前には副長。

 どう足掻いても逃げられそうには無さそうだ。

「はぁー……別に疚しい事なんざねぇよ、あんたのその性格が苦手なんだよ」

「私が苦手なら近付かなければよろしいでしょう?」

「用がなけりゃ来ないがな、それにあんたが勝手に近寄って来るんだろ」

 溜め息の一つも吐きたくなる、これが嫌で来たくなかったのだ。

 別に彼女が悪い人物だと言う訳では無い、だが徹底的にお互いにウマが合わないだけで。

「私は別に近寄っていません、何の言い掛かりですか」

「まあまあクロセル副長、今回はヒビキさんも預けてた武器取りに来ただけですから」

 コココが間に入る。

 そう、彼女の名は『クロセル』、詳しくは知らないがソロモン七十二柱の一柱に名を連ねる悪魔の名を持つ。

 何も団長だけが、ソロモン七十二柱の名を持つ訳では無いと言う事だ。

「まぁ俺はもう用が無いから帰らせて貰うぜ」

「待ちなさいヒビキ、逃げるのですか」

「副長!」

「逃げさせて貰いますよ、何するにしても命あっての物種だからな」

「このっ……!」

 副長の言葉で辺りに霜が降り始める、彼女の先天技術である『冷却』の発露だ。

 辺りの気温が一気に下がり、コココは既に震えている。

 俺は何時も通りの服装……つまり気温調整の外套を纏っているので被害は無いが。


「副長、そこまでにしといてくれる?」

 地下に何時の間に降りて来たのか、アモン団長の声が投げ掛けられる。

「団長、しかし――」

「しかし何だい? 君と相性が悪いってだけで、仲間を多数巻き込んで味方を殺すのが、君のやり方なのかな?」

「……っ!」

 団長の言葉に何故か俺が睨まれる、俺は基本的には無駄な争いはしたく無いんだが。

「何時もながらすまんね、後は任せて気を付けて帰ってくれ」

 ぽんと俺の肩を叩き団長が言う。

「えぇ、まあ……団長も頑張って下さい、色々と」

 苦笑しながら俺も言い、言葉通り後を任せる事にした。

 下手に残れば争う……と言うか、突っかかって来るのは目に見えてるからな。



「さて、と……土産を買う余裕がある訳じゃ無し、さっさと帰りますかね」

 斧槍を右肩に担ぎ、左手にアタッシュケースを持つ。

 古巣ではあるが、今の俺は傭兵じゃない。

 あくまで冒険者だと心に刻んで『街』へと帰る。

 そう、俺の目的は結局の所迷宮で味噌か醤油を手に入れて美味い食事を食う事なんだから。

 日本に帰れるならば帰りたいが、戻ったら戻ったで色々と面倒そうだよなぁ。

 時間の流れも判らんし。

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