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一話 迷宮に潜る訳

 深遠の淵と呼ばれる迷宮、石造りの廊下、気温は低いものの近くに水脈があるのか湿度が高く、所々苔むしている。

 そんな場所を俺は一人で歩いている。

 目的は最下層にあると言う迷宮核ダンジョンコアだ、破壊すればダンジョンの封印、制御出来たならばダンジョンの所有権を得る事が出来る。

 どちらにしても、達成出来たならば一攫千金の大仕事だ。

 だが、現在の迷宮主ダンジョンマスターも中々に優秀らしく、全30層と伝えられて居るが、未だに最高到達階層は14階層、つまりはかなりの強敵と言う事。

 その事実に、仲間は居ないが装備はしっかりと整えてきた。

 腰には愛用の長剣ロングソードに予備武器の短剣、胸当てには投げナイフ。

 耐久性が物を誇る黒鉄鋼製、問題は多少重量があり、剣としては他の素材よりも切れ味が落ちると言う点。

 両足は長靴ブーツに取り付け型の脚甲グリーブ、左手には盾変わりの腕甲ガントレット、そして胸当て《ブレストプレート》と言う、基本的だが身軽な装備。

 こちらは重量との兼ね合いで灰銀製だ、白銀よりは軽さと抗魔力が落ちる物の、耐久性と防御力はこちらのが上だ。

 本当は魔力だけでなく、炎や氷、それどころか雷にも耐性があり、耐久性も防御力も高い竜鱗が良かったが予算の問題から見送った。

 寒さ対策には膝下まである外套マントを纏っている。

 外気調整に耐炎耐冷、品質保持の魔術を書き込まれた、魔蟲糸の外套であり、恐らくは装備の中で一番の高級品だ。

 背負う荷物袋には武具の簡易な手入れ道具に、携帯食料。

 此処までは普通の冒険者の装備と似た様な物だろう。

 俺は更に、調味料各種に鍋を背負っている。

 火の通りは良いが最大耐熱性の非常に高い炎霊鋼で作られた中華鍋である。

 普通は武器や防具として扱うが、ドワーフの鍛冶師に無理を言って作って貰った逸品だ。

 これだけ装備は整えたが、一度の挑戦で攻略しようとは思っていない。

 一人で行って攻略出来るならば、既に攻略されているだろう。

 迷宮の外には町が出来ている、焦らず仲間を集め攻略する気だ。

 だが、深遠の淵の初回アタックは一人で行おうと決めていた。

 何せ世界各地に突然現れた、黒目黒髪の迷宮主が居る迷宮。

 つまりは、転生かトリップかは不明だが、俺と同じ日本人が作り上げた迷宮の一つ。

 俺が日本に帰る手段となるかも知れない場所だ。

 最悪帰れなくても良い、迷宮特性の魔素変換で、味噌や醤油が出てくれれば良い。

 せめて、それを期待している。


「さて、と……行くか」


 灯りが無くとも、薄暗い程度の廊下の先、地の底に続くような階段に向かって一歩を踏み出した。

 これが俺、山本響やまもとひびきの迷宮挑戦への始まりだ。

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