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戦国史に想う  連載エッセイ  作者: 酒井 知徳
織田信長の人物像・性格・人柄についての見解
18/22

私の論説3

この論説は、訂正させて頂きます。

今回、2016年10月29日、「第六天魔王信長・論争に終止符を!」と題しまして、新たな論説を投稿させて頂きました。

そちらを、私の考える本命説とさせて頂きます。

ご覧頂ければ嬉しく思います。



次は、フロイスの問題の一節の主旨の共通点


(信玄の書状)

 朝倉との和平の命令に従わずに、上洛して寺社仏閣を灰烬に帰した。天罰というばかりでない、悪逆無道の罪である。

(信長の書状)

 信玄は、僧になったのに、他国を侵略する堕落僧だ。私が、比叡山を焼いたのは、僧が堕落しているからである。自業自得である。

(フロイスの書簡)

 二人は、神、ほとけ、の教えを奉ずる事に、意見が全然違った。


 私は、書かれている内容と主旨に注目します。

 仏教に関する事柄について、売り言葉に買い言葉で応酬しています。


★そして、次が極め付けです。


(信玄の書状)

 そもそも信長・家康は、逆乱をくわだて山々を焼き払い、諸仏物を破壊、略奪し、自分の事のみを考え見栄をきわめて、諸人は口を閉ざし、眉をひそめるように追いこむ、ひとえに仏法法王の破壊の相がみえており、欲界の天魔の変化である。


 ここに、欲界の天魔の変化であると書いてあります。

 欲界の天魔とは、第六天魔王の事です。

 これは、信長が自ら名乗ったわけではなく信玄が言っているのです。

 ちなみに、家康の事も、欲界の天魔の変化と言っています。

 先に、問題の一節は、フロイスの解釈で書いたものと言いましたが、その根拠に、第六天魔王、其の意味は悪魔の王と書かれています。

 正確には、悪魔の王では、有りませんので、これはフロイスの解釈であり着色と言っても良いかもしれません。



 後、出て来ないのが、天台座主沙門信玄です。

 この単語、フロイスが独自で思いつく言葉ではありません。

 したがって、別の所で存在していた可能性は非常に高いと思うのです。

 天台座主の覚恕法親王は、当時の天皇の弟です。

 信玄は、この人物を大義名分として上洛することを考えていたと思うのです。

 これは、想像ではありますが、実際の文書の中で、信長の仏門迫害を批判し、寺社仏閣の再興を掲げる信玄が、天台座主である覚恕法親王の名のもとに上洛を考えるのは、自然であると思うのです。

 そして、天台座主沙門信玄という単語の出所は、正確にはわかりませんが、可能性が有りそうな記述は、フロイスの書簡の冒頭であると思うのです。

 フロイスの書簡の一連の話は次の文章から始まります。

「甲斐の国の王信玄が、三河に侵入することを、尊師に通信した」

 この、尊師とは誰か?

 覚恕法親王、天皇(朝廷)、将軍のいずれかの可能性が高いと思うのです。

 朝廷や将軍に当てた手紙が有ったのではないかと考えますと、そこに天台座主沙門信玄と書かれていたのではないかと思うのです。

 そして、その書簡は、漢文で有ったため、天台座主沙門信玄という表記になっているのではないかという見解です。



 以上の共通点を根拠としまして、フロイスの書簡は、信玄と信長が将軍に宛てた書状を元に書かれた物であると考えます。

 天台座主沙門信玄という言葉は、フロイスが独自で思いつく単語ではないため、別の所で存在したと考えました。


 以上を踏まえて、フロイスの解釈や、町の噂で、天台座主沙門信玄に対して、第六天魔王信長と署名した事実が在ったのか?

 最後にまとめさせていただきます。


(フロイスが、甲陽軍鑑で紹介されている書状の内容を正確に書いていたとしたら)

 信玄は、将軍に一書を送りしとき、仏門を保護するという大義を掲げ、大僧正法性院信玄と署名した。その内容は、信長は、欲界の天魔の変化であると公言した。


(実際のフロイスの書簡)

 信玄は、信長に一書を送りしとき、その名を上げんと慢心より、天台座主沙門信玄と署名した。それに対して信長は、第六天魔王と公言した。



 私は、この違いを、フロイスの解釈や、町の噂などで起こり得る間違いであると考えました。

 信玄と、信長が、将軍に宛てた書状の全体の内容(売り言葉に買い言葉)をみますと、この様な間違いが誘発されても不思議では無いと考えます。

 したがってフロイスのこの一節は、正確なものでは無いため、

「信長は、自ら名乗っていない」という見解です。



「最後にまとめて終わります」


 ネットなどでこの様な質問があった時。

「信長は第六天魔王と言われているけど何故?」


 私は、この様に答えます。

「それは、フロイスが当時書いた書簡に登場します。信玄が天台座主沙門信玄と 名乗ったのに対して、信長は、第六天魔王と名乗ったとされているためです。

 しかし、フロイスの書簡は、甲陽軍鑑の内容との共通点が多いため、信玄と信 長が将軍に宛てたものを書いた可能性があります。

 そして、そこには、信長が自ら第六天魔王と名乗った記述は有りません。

 信玄に、欲界の天魔の変化であると書かれ公言されています。

 この事を、フロイスの解釈、若しくは町の噂として、間違えて、書かれた。

 (書状の内容も売り言葉に買い言葉という主旨を持っているので間違える可能性が高い)

 そのため、フロイスは、信長が第六天魔王と公言したと、間違えって書いてしまい。実際は、名乗っていない可能性が高いと思われる」


 結論は、

「信長が、第六天魔王信長と名乗ったというのはフロイスの記載ミスである」

 

 ここまでお付き合い頂きまして誠にありがとうございます。

 今回、信長公は魔王と名乗っていない、という私の推論を書かせて頂きました。

 しかし、信長公が魔王で居てくれる有り難さもあると私は考えています。

 なんと言ってもキャッチーでわかりやすい。

 戦国人気に一役も二役もかっています!

 信長公が魔王を引き受けてくれなかったら、今の様な戦国人気に至って無いかもしれません。

 今も人気が有るか?は、分かりませんが、もっと低迷している可能性も有ります。

 当時も、時が経った今でも、身を挺して経済効果を生み出して頂き、そして楽しませて頂き、感謝この上なき事にございます。


 最後までお付き合い頂きました皆様本当にありがとうございました。


 下に補足がついていますが、本文は終わりましたので、気が向いたら読んで下さい。ありがとうございました。



「補足」(本文で書くと分かりづらいので分けました)

 甲陽軍鑑の内容とフロイスの書簡の共通点が多い点から、甲陽軍鑑にある信玄と信長の書状が実際に有った可能性が高いと考えました。

 ですが、フロイスが、その書状を見る可能性が有るのかな?と疑問に思う方も居られるかもしれませんので、補足しておきます。

 将軍に宛てた、書状の内容を見ると分かるのですが、信玄の書状の内容に対して信長は、反論していますので知っています。

 では、信長が将軍に宛てた書状の内容が何故甲陽軍鑑に書かれているのか、その説明は、甲陽軍鑑にありますので紹介しておきます。

「信長は、和睦をしたいと言っていたのに、将軍に信玄公の事を悪く書いた書状を出した。そのことが、大阪御坊(石山本願寺)や信長に圧迫されている伍畿内の侍衆が、書面をもって信長の様子を、甲府へと言ってよこした。将軍への信長の書状は次の様である」

 要するに、出回っていたと考えられますので、フロイスが情報を入手する可能性は十分にあります。

 ここで思う事は、甲陽軍鑑で書かれている信長の書状は、伍畿内衆、石山本願寺の手を通っているという事です。

 信長の反論は、正当性を主張していますので、正確性は高いですが、信玄を罵倒している部分は、仲たがいしてもらうように、石山本願寺、伍畿内衆の手が加えられた可能性もあります。・・・・・ここでは、考えるのはよしましょう・・」

 しかし、この石山本願寺、伍畿内衆から、甲府へと送られた書状とフロイスの見た書状は同じものであると言えます。

 この様に考えますと、信玄の書状よりも信長の書状の方が出回っていたことになります。

 フロイスの書簡と信長の書状とは、共通点が正確なのに対して、信玄の書状との共通点は、表現がやや違う原因かもしれません。

 フロイスは、信長の書状は見たが、信玄の書状の内容は、人に聞いた?とも考えられます。

 そうすると、別のとこで書かれた天台座主沙門信玄が登場したり、内容の解釈に間違えが生じた要因とも考えられます。

 

 最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。

 

 


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