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君の名は
鍋の湯が沸いた頃
漸く女は瞼を開いた
タエは源三に白湯を言い付け
タエは女の…体をユックリと起こし
白湯を含ませた。
女は未だ意識ははっきりとはしていない様だ。
源三が粥を差し出す…
『体が暖まるぞ』
とぶっきらぼうではあるが言葉には優しい含みがある。
その時女ははだけた着物の前を直し
俯いた。
タエは女に…名前を訊ねた。
『母さん…その人は口が利けないみたいなんだ』
とタエに伝えると…
『体が良くなるまで…
いいや…アンタが気が済むまで居て構わないからね』
と伝えた。
女は板間に額を擦る様に頭を下げ
私の名前は
(小夜)と言いますと…
板間に指で書いた。
次回もお楽しみに