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13歳になった。
初潮がきた。びっくりしたよ。朝起きたらシーツに血がべっとり付いているんだもん。下着も汚れちゃうしさ。
起こしに来たメアリーに見られて、初潮だと教えられた。
何故か母が来て、今日はお祝いだと騒ぎ始めた。いや、止めましたよ?全力で。
でも父や兄には知られたみたいで、夕食が豪華になっていた。
マジで恥ずかしいので勘弁してください。
初潮が来てから性教育が始まった。
身体のしくみとか教えられるのかと思ったら、子作りの事を教えられてびっくりした。
いや、王族だからそう言うことが大事なのはわかるけどさ……。13歳の子供に何教えてんの?
しかも内容が生々しいんだよ。男を喜ばせる方法とか子供ができやすいタイミングとかさ……。いやもうほんと、子供に何教えてんのさ……。
あ、あと色々仕事をするようになった。
といっても、そんな大したことじゃないんだけどね。
他国のお偉いさんが父に謁見するのに立ちあったりとか、孤児院や神殿の訪問とか、そういうお仕事。
そうやって公式の場に顔を出すようになってから、また婚約の申し込みが増えたらしい。
相変わらず父が突っぱねているらしいけど。
父曰く、「国外にはやらん。簡単に会えなくなるじゃないか」だそうだ。一国の王がそんなことでいいのか?
……いいらしい。なんでもうちの国はかなり大きいので、下手に他の国との婚姻が出来ないのだそうだ。下手に王族が他国に出たりすると、国家間のパワーバランスが崩れて色々と大変らしい。
……あれ?でも上の兄の婚約相手って確か隣国の王女じゃなかったっけ?え?貰うのはいいの?なんかずるくない?
13歳になってからは社交にでる回数が増えた。
というか多いよ……。ほぼ毎週、どこかの夜会に招待されるとか勘弁してください。
招待の目的もほとんどがお見合いみたいな感じだし……。
いや、気持ちはわかるけどね?婚約の申し込みは父が全部跳ねているし、なら直接って言うのもわかるんだけど。
それに僕の体も随分と女らしくなった。胸もBくらいまでは膨らんだし、お尻もちょっと大きくなった。腰にくびれも出来ている。元々美少女だったのが、体付きも女らしくなって僕も男ならお付き合いを申し込みたいくらいにはなっている。いや、ロリコンじゃないよ?
でもねぇ……なんというか、ギラギラしすぎっていうの?目が怖いんだよ。「お近づきになりたい」とか「あわよくば」って雰囲気が前面にでていて、目が血走っているのが丸わかり。下心くらい隠せよと思う。
あ、でもいいこともあった。
お友達ができたの。もちろん女の子のお友達。それも二人も。
爵位は低くて子爵と男爵なんだけどね。大人しめの子で同い年だし、僕に媚びたりとかしないのがいい。
僕もお姫様だし色々と頑張っているから蔑んだりするような人はまずいないんだけど、代わりに媚びたり権力目当てに摺り寄ってくる人が多いの。そんな中で、純粋に僕を見てくれるお友達って凄く貴重なんだよね。
二人とお友達になってからは夜会でお話ししたり、偶にお城でお茶を飲んだりしている。
最初は二人とも凄く恐縮していたんだけど、しばらくすると慣れてくれたみたい。まあ僕もお姫様といっても中身が庶民だしね。
今日はお城に二人を招いてお茶会を開いている。
場所はお気に入りの庭だ。
「エミリア様。エミリア様の理想の男性ってどのような方ですの?」
む、いきなり直球だな。
うーん、理想の男性かぁ……。
「あまり深く考えた事はありませんけれど……。私を外見だけでなく、中身を見てくれるような方がいいですわ。それと出来れば優しくて、私だけを愛してくれる方だと嬉しいです」
まあ、後はハゲとデブは遠慮したいね。でも若ハゲは仕方ないかな?努力でどうしようもないからね。
「まぁ、それでは難しいんじゃありませんか?エミリア様だとどうしてもそのお美しい外見に目が行ってしまいますもの」
「あら、ですが私達はエミリア様が外見だけでなく中身も素晴らしい方だと知っていますわ。外見だけに囚われるような殿方はお断りという、エミリア様のお気持ちもわかりますわ」
「ありがとうございます。そう言っていただけるのがお二人のようなお友達で、大変嬉しくおもいます」
「エミリア様ったら……わたくし達にそのように仰って頂けるなんて…嬉しいですわ」
しかしお嬢様言葉って疲れるよね……。