小さな桃色台風に巻き込まれて酷い目にあった。
こないだの日記:しつけのなっていない犬は危険です。犬を飼っている人はしつけをしっかりとしましょう。
さて、現在俺がすべきこと、それは周囲の警戒。
何故かって?
そんなのは少し考えれば分かることだ。
まだ消化していないフラグが1本あるだろ?
俺が警戒してるのはそのフラグの主、フォリーナだ。
他の2人と違って水面下で行動するため、ある意味最も危険な相手とも言える。
一体どんな搦め手を使って来るのやら……
「フフフ、待ってたわよ、ヒサト」
オウ、シット。
正解はまさかの真正面だった。
フォリーナは真っ直ぐにこちらに歩いてくる。
……周囲に男達の屍があるのは気にしないでおこう。
「シアンに追い掛け回されて疲れたでしょう? さ、こっちにいらっしゃい」
色っぽい声が耳元で囁くように発せられる。
フォリーナは素早く俺の右腕に腕を絡めて引っ張っていく。
振りほどこうにも腕の関節を見事に極められているため外れない。
諦めかけたその時、
「お? あぐっ!?」
俺の首に金属製の何かが巻きついた。
そして後ろに引っ張られる感覚。
「ヒサ兄は私と遊ぶの!! 連れてかないで!!」
そんな必死な声と一緒に黒い翼の魔シルフィ様降臨。
その手に握られた鎖は俺の首元につながれていて、俺は見事に確保されている。
ああんもう!! ああんもう!! 何でこうなる!!
きっとこれから壮絶な喧嘩が……
「あら、シルフィ。私はヒサトと遊ぶんだけど、貴女も一緒にどうかしら?」
ハァ? いきなり何を言い出すんだ?
シルフィも訳が分からずキョトンと小首をかしげている。
「……どういうこと?」
「そのまんまの意味よ。それに、ヒサトがどうすれば喜んでくれるか分かるかもよ?」
「おい、待て。子供に一体何むぐっ!?」
やめろ!! それだけはやめてくれ!!
くそ、シルフィの枷のせいで力が入らん。
何と言うか、鎖に吸い取られているような気がする。
シルフィはと言うと、先程の怒りが成りをひそめ、フォリーナの方に近づいてきていた。
いかん、この顔は興味津々な顔だ。
「それ、本当なの?」
「ええ、本当よ。さ、貴女もこっちにいらっしゃい」
「……わかった」
そう言うと、シルフィは俺の左腕をしっかりと抱え込んで付いて来た。
両脇をブロックされた上に力も吸われ、成す術無く俺は連行されていく。
……頼む、誰かこいつ等を止めてくれ……
連れて行かれた先はファイスに教えてもらった場所の更に奥の洞窟だ。
……立地条件的に絶対誰も来ませんね、分かります。
「ねえ、まずどうすれば良いの?」
「まあまあ、焦らないの。そうね、まずはヒサトにその気になってもらおうかしら?」
妖しい笑いを浮かべてフォリーナはそう言う。
おい、俺に一体何をする気だ?
すると、フォリーナは地面に俺を押し倒した。
枷のせいで力が入らんものだから、俺はあっさり押し倒される。
「良いわね、これ。これが使えるんなら私も天使の方が良かったかも。んっ……」
首に付いた枷を少し撫でた後、フォリーナは俺の唇に軽く口付けをした。
小鳥がついばむ様なキスで、唇が何度も触れ合う。
すると、脇から非難するような叫び声が飛びだした。
「あ~!! ずるい!! 私も~!!」
頬をぷくっと膨らませてそう抗議するシルフィ。
フォリーナはそれに微笑み返す。
「ええ、良いわよ。ほら、やってみなさい。まずは吸うんじゃなくて、触れるだけよ?」
「うん。それじゃ、いくよ、ヒサ兄? んっ……」
フォリーナと入れ替わりに今度はシルフィが俺にキスする。
……まあ、分かっちゃいたが俺の意思は完璧に無視だな。
ぷにぷにとした赤く柔らかい唇が俺の唇と重なる。
加減が分からないのか、少し強く押し付けるようなキスだった。
「んんっ……これで良いの?」
「ええ、それで良いわ。それじゃ次は私の番ね。むっ……」
シルフィと入れ替わって、再びフォリーナのターン。
今度は唇が触れるだけではなく、舌で俺の唇をなぞり始めた。
舌は口の中に入ってくることはなく、じらすように優しく唇を撫でる。
……いかん、段々と意識にもやが掛かってきた……
「はぁ……さ、次は貴女の番よ。舌を使うときも押し付けるんじゃなくて、優しく……ね」
「うん。んにゅ……」
シルフィもまた、舌で唇をなぞってくる。
フォリーナに比べると拙いが、チロチロと唇を舐められるとやはり来るものがある。
むしろ、初々しい感じがして逆に辛い。
ぐぐぐ、拙い。何とかこらえないと……
知らず、こらえるのに夢中になっていたために息を止めていた。
俺は苦しくなって息を吐き出した。
「……ぷはっ、んあっ!?」
「んんっ!?」
息を吐き出すために口が少し空いた瞬間、シルフィの舌が口の中に入ってきた。
シルフィもサファイアのような瞳を白黒させて少し驚いている。
「そのまま続けなさい。後は口の中を自分の好きなようにして良いわ。舌を絡めるもよし、歯茎をなぞるのもよし、舌を吸うのもありね。あまり強くしすぎないことがコツよ」
「んむっ……うん、わかった……んちゅっ……」
フォリーナはそれでも構わず続けさせる。
シルフィはフォリーナに言われたとおり、舌を絡めて、歯茎をなぞりだした。
勝手が分からないのか、おっかなびっくり口中を舌で弄るシルフィ。
その行動がどうにもじれったい……いかんいかんいかん、流されてはいかん!!
ぐっ……何とかやめさせないと……
そう思った俺は、シルフィの顔を手で引き剥がしてやめさせようとする。
ところが手に力が入らず、シルフィの頭は微動だにしない。
それどころか、向こうは触れられたことを喜んで、さらに深く求めだした。
引き続き、粘着質な音が洞窟内に広がる。
さっきよりも強くなった舌の動きは、少しずつ俺の意識を溶かしていく。
「フフフ、気持ち良さそうね、ヒサト。ねえ、シルフィ。ちょっと代わってもらえるかしら? 私がヒサトに止めを刺すから」
「ちゅぱ……はぁ……はぁ……」
「んく、ハッ、ハッ、ハッ……」
シルフィはそれに答えず、唇を離すことでそれに答えた。
その幼い可愛さのある顔は上気し、目はトロンとして焦点が合わなくなっている。
一方の俺はといえばもう息も絶え絶えだ。
……拙い、このままじゃ持たない。
「それじゃ、覚悟は良い? んんっ……」
だが、どうやら俺に休みはくれないらしい。
今度はフォリーナが俺の口の中に侵入した。
フォリーナは流石に慣れたもので、シルフィがやっていない舌の裏や奥等も満遍なく蹂躙した。
フォリーナが口の中で動くたびに電気が走るような刺激が全身を駆け巡る。
「んっ……」
ふと、口の中に流れる液体の感覚が。
フォリーナが唾液を俺の口に流し込んだのだ。
それは、とても甘美で、俺の脳を確実に蕩かしていった。
「んむっ……んくっ……ちゅる……コクッ……」
そして、フォリーナは俺の唾液と混ざったそれを舌で掻き出したり、吸ったりして飲んでいく。
掬っても啜っても中々無くならず、結果的にフォリーナの味が口の中全体に広がった。
……くっ、もう駄目だ……思考が回らん……
気が付けば、俺のほうからフォリーナの舌を絡めていた。
「はぁ……はぁ……ひ、ヒサ兄……気持ち良さそう……」
シルフィは俺の顔を羨ましそうに見つめていた。
その息は荒く、ともすればフォリーナを押しのけてでも俺の口に舌を差し込んでくることだろう。
そんなシルフィにフォリーナは笑いかけた。
「んっ……はぁ……フフフ、こんな顔初めてみるでしょう? でも、まだまだよ。今度はこうしてみて……ちゅっ……」
「うくっ……ううっ……」
今度はフォリーナが胸板に何度もキスをした。
もはや俺には抵抗する気力すら残っていないので為すがままだ。
普段なら痛みを感じるほど強く吸われたにもかかわらず、俺の脳は唇が触れた心地よいくすぐったさしか感じなかった。
フォリーナが唇を離すと、そこには赤いキスマークが付いていた。
「さあ、シルフィもやって御覧なさい?」
「ねえ……どこでも……良い……の……?」
「ええ、構わないわ。また唇を狙いにいっても良いし、自分の好きなところを取りなさい。今のヒサトならどこを狙ってもはずれは無いはずよ」
「うん……」
シルフィは俺の上に腹ばいになって乗っかった。
その成長途中の柔らかい体の感触と体温が、俺の頭を更に使い物にならなくする。
夢心地のシルフィの顔がどんどん近づいてくる。
「それじゃあ……ぴちゃ、ぴちゃ、ぴちゃ……」
「くっ、はうっ、くあっ……」
シルフィは首筋に舌を這わせてきた。
柔らかく湿った感触が俺の肌を擦るたびに、背中に電流が走るような強烈な感覚を覚える。
そうでなくてもシルフィの荒い息が首に掛かるだけでも相当きつい。
ぐぅ……俺は首は無理なのに……
「ぴちゃ、ぴちゃ……あ……ヒサ、兄……可愛い、かも……んっ」
刺激に耐える俺の表情を見て、シルフィは満足そうに笑う。
そしてすぐに俺の口に口をつけ、舌を絡める濃厚なキスをし始める。
「でしょう? さあ、まだ時間はたっぷりあるわ。どんどん行きましょう?」
「…………」
蕩けた意識の中、フォリーナの声がどこか遠くに聞こえた。
その後、俺は1時間ほど遊ばれた。
内容は思い出したくないが、流石に子供の手前なのでフォリーナもそれなりに自重した様だ。
……ぐすん、子供に弄ばれた……