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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

僕は宇宙に勝てない。だから法で縛る

作者: 天野たたこ
掲載日:2026/06/08



 シートン村行きの乗り合い馬車の乗客は僕だけだった。

 停車場に杖をついた老人と、孫らしき黒髪の女性がいる。


「村長さんですか? 僕がハルト·オコナー四等封印官です」


「はい、よくぞおいでくださった。村長のフィッシャーです。こちらは孫のローズマリーです。ご挨拶しなさい」


「よろしく、封印官さん」


「よろしくお願いします」


 たぶんローズマリーさんは僕と年が近い。ちなみに二十歳だ。

 フィッシャーさんの歩調に合わせてゆっくりと彼の家に向かって行く。

 村は海辺にありがちな狭い土地に家々が密集しているが、妙に活気がない。

 これはもしやと思ったが、不意に子どもたちの笑い声が聞こえてきて心が和んだ。


「元気ですね」


「……」


 フィッシャーさんとローズマリーさんが俯いた。


「あれからずっとこんな調子なんじゃ」


「お母さんたちが「早くもとに戻してほしい」って泣いて頼んできて、もうどうしたらいいのか」


 村の広場で子どもたちが何もないはずの空を見て笑っている。

 広場の片隅では母親たちが暗い顔でその光景を見つめている。

 父親たちは海を恐れて漁に出られないそうだ。

 老人たちは家に引きこもって耳を塞いでいるという。

 さっきは賑やかに聞こえた笑い声も、今では気味が悪いと感じている。


「おーい!」


 不意に浜辺の方から声が聞こえてきて、ついそちらを見てしまった。

 日焼けした中年の漁師がこちらにやって来る。


「お父さん!」


 ローズマリーさんが叫んだ。しかし父親とやらは奇妙に明るい調子でこう言った。


「今年は豊漁だ。船を買い替えるぞ」


 にかっと笑ったが、ローズマリーさんとフィッシャーさんの顔色が青ざめて震えだした。

 お父さんと呼ばれた男はどこかへ行ってしまった。


「お父さんなんですか?」


「あ、ああ」


「でもお父さんは一ヶ月前に海で死んでるんです!」


 ローズマリーさんの声はほとんど悲鳴だった。


「じゃあ、あれは、まさか」


「死んでる人です」


「……」


 口から心臓が飛び出すかと思った。

 いや、すでに飛び出てるかもしれない。

 僕は自分の左胸に手を当てて確認した。

 そのあとの記憶が途切れた。



 *



「面目ない」


「……いえ」


 臆病者だとバレた。

 フィッシャーさんのお宅で目覚めた僕は大層気まずい。


「今何時ですか?」


「もうじき五時です」


 ローズマリーさんの僕を見る目が明らかに変わっている。

 きっと期待に胸を膨らませていたんだろうな。

 度重なる村の怪異現象に夜も眠れぬ日々を過ごし、藁にも縋る思いで星辰律法院中央観測圏の四等封印官の派遣が叶ったのに、臆病者の僕が来たのだから、さぞがっかりしているだろう。

 でも、布団に潜って泣き暮らすことは僕には許されないのだ。


「僕を運んでくれたのは村の人ですか?」


「ええ、男の人たちです」


「今お話を聞けますか?」


「ええ。今はおじいちゃんの部屋でみなさん飲んでいますが、まさかお酒を飲むんですか?」


「いえ、調査に行きます」


 ローズマリーさんの僕を見る目が少し変わった。

 でもさっきみたいに死人が笑顔で話しかけてきたら怖いじゃないか。

 それはともかく、フィッシャーさんの部屋に行ってみると、大の男たちが飲んだくれていた。


「おう、封印官様のお出ましだぜ」


 一人がからかうと同調した男たちが笑い出した。恥ずかしいし、ちょっとムカつくけど、彼らの陽気さに無理を感じた。


「やめなさい、オコナー四等封印官殿に失礼だ」


 椅子に腰掛けているフィッシャーさんが彼らをたしなめた。僕はフィッシャーさんにお礼を言ってから、男たちに向き直った。


「皆さん、先ほどはありがとうございました。星辰律法院、ソフィア·アーク中央観測圏から派遣されたハルト·オコナー四等封印官です。よろしくお願いします」


 よくある物語のように荒っぽい歓迎を受けるのではという予想は外れた。


「では、皆さんの亡くなったご家族も帰ってきたんですね」


「おうよ。オレの親父も出てきた」


「前妻が出てきた時にゃ肝を冷やしたぜ」


「五年前に死んだ息子を見てあとを追ったが、防風林の辺りで見失った」


「なるほど」


 彼らは調査に応じるという形で不安を吐き出しているのだ。

 何か言いたそうなローズマリーさんから刺すような視線を感じるが、黒革の手帳にペンで記録していく。

 だが、男たちが代わる代わる喋り出すので割り込む隙がない。


「封印官さんよ。夜に名前を呼ばれても返事をすらなよ」


「なぜですか?」


「名前を呼ばれた叔母さんが翌日には亡くなってしまったんだ」


「似たよつな事例が何件も起こってるんですね」


「ああ。それだけじゃねえ。夜中に海を見るな」


「見てはいけないものがあると?」


「そうだ。でも絶対に見るなよ」


「今朝鏡を見ながらヒゲを剃った時によ、おれは確かに右を向いたんだ。でも鏡に映ったおれはぴくりとも動かない」


「うちのかかあも似たようなこと言ってたぜ。鏡を見ながら髪を結ってたら鏡の中の自分が動かないって、すげー悲鳴をあげてな。子どもたちも毎日あれだし」


「俺の友達もさあ」


 突如鐘の音が鳴り響いた。


 カーン、 

 カーン、

 カーン、

 カーン、

 カーン、

 カーン、 

 カー……


「数えないで!」


 ローズマリーさんが大声で注意した。


「ひぃ……」


 がたいのいい漁師たちが耳を塞いで怯えている。


「終わるまで絶対に鐘の数を数えないで」


「はい」


「お願いだから」


「わかっています」


 見る限り、シートン村は飽くまで小さな漁村であり、鐘つきは時間を知らせるための機能的な鐘楼しかないのだ。

 つまり、今鳴っている神殿のような荘厳かつ大きすぎる鐘の音が響くのは、人間の仕業ではない。

 僕は音がどこから出てくるかを考えたが、村人たちはそうではなかった。

 ようやく鐘の音が止んだが、しばらくの間、誰も喋らなかった。

 彼らの表情を見れば、また鐘の音が鳴るのを恐れているのが一目瞭然だ。


「あははははは」


 しかし外から子どもたちの笑い声が聞こえてくる。


「もう嫌っ!」


 ローズマリーさんの忍耐力が尽きた。


「私たちが何をしたっていうの!」


「ローズマリーさん、落ち着いて」


 ローズマリーさんが半泣きで僕を責めた。


「お父さんは何を伝えようとしているの!?」


「ローズマリーさん、それは亡くなったお父さんが生き返ったのではなく、『外理汚染現象』です。騙されてはいけない」


「でも、お父さんは私に会いに来るんですよ!」


「それが無明の神々の常套手段です」


「そうだとしても、私もお父さんに会いたい!」


「見るな。理解するな。法だけを信じろ!」


「……っ!」


 とうとうローズマリーさんが泣き出した。祖父であるフィッシャーさんでさえ慰めることができない。

 それは僕が幼い頃初めて『外理汚染現象』を経験したあとに封印官に言われた言葉である。

 もっともそう言って諭してくれた封印官は、もうすでにこの世にいない。


「逆に考えてみてください。無明の神々はお父さんの尊厳を破壊しているんです」


「……」


 ローズマリーさんが黙り込んで肩を落とした。


「ローズマリーや、これ以上お父さんを苦しめるのはやめよう。村の亡くなった人たちも、オコナー殿に封印してもらおう」


「……うん、そうだね」


 こうして僕と無明の神々の対決が決まった。


「皆さん、日が暮れる前に家に帰ってください。基本的に二人以上のグループで行動し、子どもたちも家に戻すようにお願いします」 


「わかりました」


 男たちは外に出ると早速子どもたちを無理矢理それぞれの家に返し、自分たちも帰宅した。



 *



 到着して間もなく、何もない空を見て笑い続ける子どもたちを目撃した。

 村長さんの家の鏡で、鏡に映る自分が動かない現象を確認した。

 

『ハルト、ハルト、ハルト……』


 そして夜の浜辺で海から名前を呼ばれた。僕は限られた人にしか姓名を言ってないにも関わらずだ。


『ハルト、学校はどうだった?』


『夕食にソーセージをつけるから、手を洗ってきなさい』


 亡くなった両親が波間から笑顔で語りかけてくるが、これも『外理汚染現象』に過ぎない。

 眠ったら、きっと悪夢を見てそのまま目覚めることはないだろう。

 カーン、と荘厳な鐘の音が響くが、ローズマリーさんの言いつけを守って数を数えない。

 僕は臆病者だ。

 怖いけど、もう、ローズマリーさんを同行させるわけにはいかない。彼女は村長さんと一緒に家で待機してもらうことにした。

 一人で浜辺に波と共に打ち寄せる僕を呼ぶ声に向かって、術式を起動する。


「ソフィアの法理をもって、追跡開始」


 術式が光の筋になって海に展開すると、大きな波が来て僕に水飛沫を浴びせた。

 ずぶ濡れになるが、構わずに術式で探っていく。

 学園で嫌になるほど叩き込まれた法術なら大丈夫。

 先生たちは生徒をしごくけど、それはただ生徒を死なせないためだ。

 そして、人類は外宇宙に勝利しない。ただ、明日まで世界を延命する。

 “星辰律”は人類にも無明の神々も平等に扱うのだから。


「怪異捕捉完了ーー」


 光の輪を放って捕まえた。


「犯神は“認識”から侵入する」


 正体は見破った。犯神の真名は。


「『海鳴きのアザルトゥ』、それは視線ではなく、時間を狂わせ“認識”そのものを侵食する、無明の神々の一柱」


 法理破壊指数が五十を越える大物だが、ここで退くわけにはいかない。


「『海鳴きのアザルトゥ』は“認識された順序”から侵入する。つまり名前を呼ぶ、形を理解する、因果を繋げるほど侵食が深くなる。ならば……っ」


 波が大きく引き、僕を海に引きずりこもうとする。

 だが、予備動作が大きすぎる。


「『海鳴きのアザルトゥ』、おまえの居場所をソフィアの」法理をもって指定する」


 僕は光の輪に魔力を送り、『海鳴きのアザルトゥ』を縛り付ける。


『ギギギ!』


 海から耳障りかつ雑音のような音が聞こえてきた。


「宇宙的存在に対する法的執行宣言」


 見渡す限りの海が大きく波打った。


「被告『海鳴きのアザルトゥ』、本法廷は汝を見ない、理解しない。理解不能につき、存在を危険指定。よって判決を下す。

 人類他あらゆる生命及びシートン村への接近を禁ずる!」


 理解できないものは危険だから封印する。

 それがソフィアの法理が導き出した答えだ。

 前列ができれば、もう被告はローズマリーさんや村に悪さはできない。

 しかし、被告は騒ぎ出す。海が唸って、それが抗議や控訴の意思表示であろう。


「海の底に沈め、被告『海鳴きのアザルトゥ』よ。無期懲役だ!」


『ギィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!』


 海流が渦を巻いて中心部へ収束していく。

 僕が使った術式は『海鳴きのアザルトゥ』を海底の岩盤の下に沈めるものだ。

 外宇宙駆らこの世界に干渉する無明の神々は倒せない。だから封印するしか無い。そのための場所が今回は海底だったというわけだ。


「やった……」


 渦が消えた。海は今、凪いでいる。

 さすがは星辰律法院が研究、開発下法術だ。

 損害はなく、『海鳴きのアザルトゥ』を封印できた。

 頭から汗が流れ落ちてきたのを制服の袖出拭き取った。

 夜明けまで海を監視する。 

 地平線が薄っすらと明るくなり、やがて太陽が昇って浜辺を照らす。


「ハルトさん!」


 村の方からローズマリーさんが走ってきた。後方から村人に支えられたフィッシャーさんがやって来る。

村人たちも家の扉を開けて浜辺の様子を窺っている。

 

「鐘の音が聞こえてきません」


「亡くなった人たちは?」


「誰も来ません。お父さんも」


「そうか……」


 ローズマリーさんの笑顔に無理がないので、ほっとした。

 朝日が輝き、海が凪いでいる。


「子どもたちが笑うのをやめたよ」


「やはり最後に味方するのは法の理だな」


「ソフィア·アーク万歳!」


 村人たちが歓声をあげる中、やっと追いついたフィッシャーさんが言った。


「報酬をお支払いしましょう。さあ、わしの家へ」


「はい」


 僕たちは身体を陸に向かって反転し、海に背を向けた。

 海の波が打ち寄せる音がした。


 ざわ、ざわ、ドオォッ


 え? 

 僕は振り返った途端に本能で叫んだ。


「みんな逃げろぉ!」


 怒号のような大声にローズマリー三たちが立ち止まって振り返り、僕を見た視線の先に、それを見てしまった。


 カーン、

 カーン、

 カーン! 

 

 鐘を打ち鳴らす音。

 巨大な双頭の怪物が、波間から出現している。

 二つとも両目がない。

 二つの頭が別々の時間を見ている。

 だから、因果が狂って死者が生き返ったように時間が巻き戻るのだ。


 ガブッ!


 頭同士が常に相手の肉を噛み千切っている。


 ブチッ!


 なのに再生する。 

 しかもよく見ると噛み跡が「未来」に再生している。

 つまり、食べたから傷ができたのではなく、傷があるから食べている狂態だ。

 二つの頭は過去に、未来に、別々の時間を生きている。

 因果が壊れて居る。


『ローズマリー』


『ウミニカエロウ』


『ミンナイッショ』


 嘘だろ、星辰律法院の術が効かなかった?

 僕は何か間違えたのか? 

 村の男も女もみんなが叫び出す。


「うわああああ!!」


 咄嗟に、足が竦んだ人たちに向かって大声で指示を出した。


「山の方へ逃げろ! 早く!」


「は、はい。さあ、みんな走って!」


 ローズマリーさんが促すと村人たちは我に返って、子どもたちを抱えて逃げ出した。

 僕は一人で『海鳴きのアザルトゥ』に対峙する。

 ローズマリーさんたちが山に逃げる時間を稼ぐために。

 双頭の怪物が浜辺に近寄るごとに波が大きくなっていく。

 このままじゃ村が大波に沈んでしまう。

 沈むべきはあいつの方だ。


「被告『海鳴きのアザルトゥ』、本法廷は汝を見ない、理解しない。理解不能につき、存在を危険指定し、よって判決を下す。

 人類他あらゆる生命及びシートン村への接近を禁ずる!」


 効かない。

 『海鳴きのアザルトゥ』は刻々と浜辺に近づいてくる。

 お互いを食い合いながら。

 再び術式を唱えるが、やはり効かない。

 僕はどこで間違えた?  

 やつらはお互いに噛みついて肉を食い千切るが、傷をものともせず、次の攻撃を始める。 

 いや、学園と研究機関の術式に欠陥品などあるはずがない。 

 それなら、間違っているのは判決文の方だ。 

 しかし普通は定型文歯科使えないものなのだ。

 それが封印官の掟だ。

 

『アエウァ、アザルトゥ……マァ……』


『ィ……ナス……』


 二つの頭が次々と喋りだした。

 まさか、真名を読み違えたのか?


『ジャマァ』


『ミィ』


『ウィンジェン』


『ざま』


『みろ、にんげん』


『ざまみろ、人間』


 理解したと思ったが、その理解こそが侵食だ。

 僕の外理汚染指数が一気に危険水域まで跳ね上がる。

 法とは完成して初めて力を持つ。

 だから、やつらは完成下世界から来るんだ。


「『アザルトゥ・メイナス』は最初駆ら法廷の中に不法侵入してたんだ!」


 致命的な真実に気づいた。

 人間が「封印対象」として認識した瞬間から、法そのものが侵食されているんだ。

 つまり僕の作戦は読みが当たっていたが、成功した法廷そのものが、神の降臨条件だったんだ。

 『双頭のアザルトゥ・メイナス』はそれを見越したうえで罠を仕掛けてきたんだ。

 封印官を縄張りの中に呼び寄せるためだけに。 

 なんて狡猾な邪神なんだ。


「くそっ、こうなったら……」


 掟を破るのは規定に反しているし、罰を受けなければならないが。


『ヴォべ、バベワ、アザルトゥ・メイナス』


『呼べ、我はアザルトゥ・メイナス』


 この言葉を村人が理解したらよくて廃人、悪くて即死だ。

 一か八か、全ベットを賭けるしかない。


「記録確認」

「存在照合」

「世界法適用」


 僕は禁じ手の独自文に手を出すと決めた。


「被告存在の完全顕現を棄却」

「因果接続を禁止」 


 一言ずつ、はっきりと声に出して独自文を唱えた。

 

「被告、外宇宙の無明の神々が一柱『双頭のアザルトゥ・メイナス』に判決を下す」


 法術で巨大な鉄槌を作り出し、双頭の怪物の真名『アザルトゥ・メイナス』へ振りかざした。


「法理執行を延期する。期限は無期限だ!」


 これが四等封印官である僕にできる精一杯だ。


『ギイヤァ!』


『ギイヤァ!』


 巨大な鉄槌が二つの頭を打ち付け、『双頭のアザルトゥ・メイナス』が耳障りな悲鳴をあげ、海の中ですっ転んだ。

 だが沈んだにも関わらず、津波は起こらない。

 なぜなら、僕ごと封印したからだ。

 もう、覚悟は出来ている。


「代価は差し出す。僕の命と魂すべてだ」


 一筋の波が腕のように伸びてきて、僕を掴んだ。

 槌が鳴る。 

 法廷は閉じる。

 鉄槌が消えた。

 僕は一気に海の底へ引きずり込まれた。

 村は救われる。 

 命を懸けた甲斐があった。

 だが、僕だけが消える。



 *



 それは約束された未来のはずだった。

 星辰律法院の講堂で、教師が新人たちに対して封印記録を読上げている。

  

「こうしてシートン村における封印法廷は一度は失敗したものの、四等封印官ハルト·オコナーの独断出禁じ手である独自判決文を詠唱することによって救われた。だが……」


 教師があえて言葉を区切ったことにより、新人たちの間に緊張が漂う。


「恐怖とは敗北ではない。理性を捨てることが敗北なのだ」


「おお……」


 感動した生徒たちがざわめくと、教師は満足下に頷いた。

 しかし、


「最後のページのあとに次のページがある」  


「えっ?」


「馬鹿な、存在しないページだと!」


 本の表紙がめくれて、バラバラバラッと主張の強い音がしたあと、最後のページの次のページに存在しないはずの筆跡出こう書かれている。


『判決延期期限、残り三年』


 そもそも、その記録と本は誰が書いたかのすら、法の力に縋るしかない人間ごときには全くわからなかった。   



おわり




惜敗エンドです。

最後まで読み頂き、ありがとうございます。

趣味と性癖を詰め込んで書きました。

楽しんで頂けたら幸いです。


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