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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
外伝「望郷のトウカ」

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第24話「あいのしま」

10年前にこの小学校は廃校になったらしい。その教室に移動して、交渉は始まった。


「改めて、自己紹介するわ。佐藤ゆりあ。文部科学大臣で『魔法少女』の統括管理者よ。この2人は護衛」


私も自己紹介し直す。


「種田トウカ。半島解放軍、少将。『異能少女部隊』責任者。まぁ、今日付けで書類上から『消えてる』でしょうけど」


あえて崩して言う。ここに残るなら、本音をぶつけないと勝てない。


「先に聞くわ。あなた『日本人』よね?」


ああ、そうかまずはそこからか。と理解する。


「私が説明するよりも、中尉。横村中尉を呼んできて」


そう指示を出す。他の者は運動場でもよかったが、『寒いだろう』との配慮で3階の教室に入れられていた。


程なくして、横村中尉が入ってくる。


「横村中尉、自己紹介して」

「は!横村ツグミ。階級は中尉です」


明らかに反応があった。スマホを取り出して、何かを見ている。


「あの『横村ツグミ』?これ、あなた?」


後に知る、有名な拉致被害者の写真。

それが横村中尉の50年前の写真だった。


「はい。これは父が中学校の入学式で撮った写真ですね。何枚もポーズを取らされたので困ったのを覚えています」


横村中尉は笑ってそう言った。


「そう。充分『理解した』わ」


なぜか鎮痛な面持ちで佐藤大臣は答えた。

そして、次の瞬間にはそれが消えた。

なるほど、感情がないわけではないが感情と理性を分けられるタイプ。李ミリ同志と同じね。


「それであなた方の要求は?」


佐藤大臣が聞いた。


「『日本』に『帰りたい』それだけです」


(ここまでは李同志の『シナリオ』通り)


そう思う。ここから先にレールは存在しない。


「日本政府として、正式に回答するわ。答えは『NO』よ」


まさかの回答。


「考えみて、あなた方『拉致被害者』が勝手に帰って来たら?『この国』も『あちらの国』も確実にダメージを負うわ。だから『NO』よ」


それはわからなくもない。

もっと言えば私達は若く見える。さっきお茶を出したキョウコさんは同じ歳。異能(この国的には「魔法」)の存在が世間に知られてしまう。


「だから、代替案として、新しい戸籍・住民票・名前を用意します。それでこの島に『移住』という事であれば私の権限で許可します」


その提案に横にいる横村中尉の顔は明るくなる。


「全員の判断を確認してよろしいでしょうか?私は他の運命を決められません」


佐藤大臣は答えた。


「明日の朝、答えを聞きます。知っているかもだけど、今日は選挙でね。私も選挙区に戻らないといけないの」

「わかりました」


その返事を聞くと。


「梓ちゃん、お願い。明王義塾まで。それとこの人達の生活資材の搬入もお願いね」

「了解です。『ワープ』!」


一瞬で佐藤大臣は消えた。


♦︎♦︎♦︎


数ヶ月後。相島。


「どうもー!ミーチューバーのハヤトです!今日は猫の島として有名な『相島』に来ています!お!フェリー乗り場を降りたら、早速猫ちゃん!」


ハヤトは猫と戯れるシーンを撮影する。


「ここは島民75人に対して猫が約100匹。猫の方が多い島なんです!」


ハヤトは坂を登り、中腹にある小学校跡地を再利用した施設にたどり着く。


「そしてここが今月オープンの新施設、『あいのカフェ』です!」


ケーキとカフェラテでを食べるシーンを撮影する。


「撮影協力、ありがとうございました」

「いえいえ。条件は守ってくださいね」


代表の女性は種田トウカという30代に見える女性だった。


「わかってます。施設の女性は顔出しNGですね。理由って聞いてもいいですか?」

「言いにくいんですけど、ここDVのシェルターなんです。だから顔出しすると……」


そこまで言えばハヤトも理解した。


「わかりました。絶対に守ります!それから、また来ます」

「ありがとうございます。ここもっと天気がいいと半島まで見えるんですよ?」


そう言ってトウカは笑った。

ここはあいのしまなのだ。

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