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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
外伝「望郷のトウカ」

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第23話「半島と日本」

海を低空で飛行する事、1時間。

レーダー網にかからないように注意する。


(見えてきた)


目前にポツンと島が浮かんでいる。


「トウカ少将、どこに降りましょうか?」


第1小隊の横村中尉が聞いてくる。


「あそこの学校にしましょう。今日は日曜日で子供もいないはず」


そう判断して降りる。


15人が無事に降り立つ。

間違いなく、今踏んでいるのは日本の国土だ。


「ミサ……」


「ミサキ」と言いかけて修正する。

あの子はもういないのだ。

残ると決めたのはあの子でもう40歳を超えた大人なのだから。


「『催眠』が使えるものは島民の催眠を。派手に騒がれても困る。それと代表者を探さないとね」

「トウカ少将、どうやら今日は選挙の投票日みたいです」


第2小隊の久保中尉が体育館の方を指さして言った。


(じゃあ、行政の人間がいるはず)


「久保中尉以外はここで待機。中尉は私と島民との交渉に同行」

「は!」


全員の声が重なる。


降り立った運動場の脇、体育館の入り口に『投票所』と立て看板がしてある。


「すいませーん」

「はいはい、お姉ちゃん達どうした?」


中年のおじさんが出てくる。スーツを着ているし、どうやら役場の職員のようだ。


「我々は『半島革命軍』。ここに拠点を構えるために来た!」


これで政府側と交渉できるはずだ。


「やめようよ。そういう悪い冗談は」


おじさんは困った顔で言う。


「半島革命軍、って言われてもねえ……」


おじさんは頭を掻いた。


「ここ、県境でも分かりにくい島でさ。

 国境? そりゃニュースじゃ聞くけど……」


トウカは、言葉を失った。


――この島では、『国境』は生活の単語ではない。


(仕方ない、か)


「久保中尉、『投票所を占拠した』事にする。そうすれば、警察なり政府が出てくるはず」

「は!『催眠』!」


短く返事した久保中尉は早速取り掛かる。同じ空気を感じていたようだ。

催眠にかかったおじさんは早速スマホを取り出す。どこに連絡しているかわからないが、先程と打って変わって、必死に「本当です!」とか「嘘じゃありません!」みたいな言葉を言っている。


(これは思ったより時間がかかるわ)


その時だった。


「お姉さんたち、お茶でも飲まんね?あっちの人達も」


人の良さそうなおばあちゃんがそう言ってくる。なんとも言えない軍事侵攻だった。


♦︎♦︎♦︎


結局、押し切られるカタチでお茶をいただいた。私が『半島革命軍』だと名乗っても、


「おばあちゃんだから、そういうのはわからない」


と言われる始末。


(これが『日本』だったね)


としみじみ思う。

しかもこのおばあちゃん、65歳で同学年だった。同じ60年生まれ。


「へぇ、島民は60人ちょうど。世帯数は40」


そういう大事な情報を守る事さえない。世間話で出てくる。

そこへ。


「あなたが『半島革命軍』の代表者?」


どこからか瞬間移動してきたように、一瞬で3人組の女の子が出現する。

真ん中の女の子が喋っていた。

この子だけがスーツで残りの2人はオシャレな制服のようだった。


「私は佐藤ゆりあ。文部科学大臣。ただし、今日までね。選挙の結果次第ではどうなるかわからないから」


現職の大臣がいきなり登場するのに驚く。でも、李ミリ同志が言っていた通りの人物だった。ミサキと同じように幼少から異能を使って成長が止まった人間。


そう思うとどこか同じ匂いがするような気さえする。


「私は『半島革命軍』種田トウカ少将です」


そう自己紹介する。


鬼が出るか蛇が出るか。

交渉の始まりだった。


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