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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
第1章「さくら、魔法少女になる」

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第9話「(閑話)椎葉ユウの憂鬱」

「ユウ君、一緒に写真撮ってくれない?」


これは夢だと即座に思う。


小学校の卒業式の後の事だ。

今になって後悔している。

この時、写真を撮っていればーーと。


そんな事は知らずに、あの時と同じく夢の中の僕は答える。


「女子と一緒なんて、恥ずかしいからヤダよ」


と。あの時、彼女がどんな顔をしていたのか思い出せない。夢の中でも見えない。そして本人に聞く事はできない。何故なら死んでしまったからだ。



目を覚ますと、鬱陶しい感覚が下半身に纏わりついている。修学旅行の最終日に再発したおねしょ。その対策たる、オムツの感触だった。オムツを脱いでシャワーを浴びて、身体を清めても、下着はオムツのまま。

「ストレスによる心因性ですね」という医者のよくわからない診断。そして、彼女がいなくなった事。


僕の日常は凄まじい勢いで変わっていく。


「今年の生徒はどうなってるの?普段なら1人いれば多い方なのに2人もだなんて!」


修学旅行最終日での養護教諭の言葉だった。

1人は僕でもう1人は彼女、藤原さくらだった。その日こそ、からかう友達はいたが、今ではタブーになった。さくらはそれを苦に自殺したからだ。


そして、今日はさくらの葬儀の日だった。


親に連れられて葬儀場へ。制服のズボンはオムツのせいで不自然に膨らんでいる。羞恥はあるが、参加しないという選択肢はない。


祭壇の中央にさくらの笑顔の写真が遺影として飾られている。会場に漂う線香の匂いそれが修学旅行中の写真だとわかる僕はおかしいだろうか?そういえばおかしい事はこれだけではない。まだ葬儀の段階だというのに棺桶はない。司法解剖をしたから先に火葬したというのが理由だった。だから、さくらが死んだとされた日から、1週間も経った今日が葬儀なのだと。


さくらと仲の良かった柊のあなど、それが普通として受け入れて哀しんでいる。僕はどうしてもおかしいと思ってしまう。それは僕がどこかでさくらの死を受け入れられないからだろうか。


こんな都市伝説がある。


『警察庁の公安部にエスパーや魔法使いを集めた部署がある。そこの所属は全員、死人だというのだ。戸籍上死んだ事にして新しい戸籍で別の人間として活動する』


別の人間になっていいから生きていてほしい、笑っていてほしい。

こんな都市伝説を信じてしまうくらいに。


ああ、僕は——

さくらのことが、好きだった。

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