第22話「1月11日、衆議院議員選挙投開票日」
「令和の『ぬきうち解散』なんて言われてるよ?」
広井夏樹がそう軽口を叩いた。
「うるさいわね。知ってるわよ」
現職の文部科学大臣で、衆議院議員。佐藤ゆりあが開き直って言った。
「相島、行った事があれば一瞬なのに……」
そうこぼすのは岸本梓。『西の天才』と呼ばれる魔法少女。
「よりによってこの日なの、何か意味があるのかな?」
率直に言うのは三月沙織。4人が日本海の上を飛んでいた。
昨年、12月24日に長田洋子率いる『シークレット・ヘブン』が8都市に同時テロを起こした。対して、ゆりあは前代未聞の衆議院解散を行い、国民の耳目をそちらに傾けた。
しかも、『政権の生命維持装置』である『神示党』との連立解消。勝っても負けても中島浩二首相の交代という話題を振り撒き、マスメディアはもちろん、ネットでさえそちらで持ちきりになった。
その結果の投開票日が今日、1月11日なのだが、そこを狙って『半島革命軍』を名乗る集団が日本海に浮かぶ『相島』を占拠した。
しかも、厄介なことに『半島北側の国』である可能性が高い。
「護衛艦『いつくしま』より入電……」
「『傍受』の間違いだよね?」
「うるさいな!AMFG作動による魔導反応、15」
途中で沙織の茶化しが入りつつ、夏樹が報告する。
「夏樹ちゃん、ドローンで先行偵察。全員この場で待機」
島まで1kmほど。ゆりあがそう判断する。
(この日でよかった。誰だか知らないけれど、感謝するわ。中島首相は党本部から動けない、防衛大臣は選挙で地元。私の好きに動ける!)
「いや、ゆりあ大臣は結構好き勝手やってるよね?いつも」
相手の心理が読めるが空気を読まない。それが三月沙織だった。
「15人全員が小学校跡で待機中。島民に被害なし」
ドローンをフル稼働して夏樹が報告した。
「じゃあ、梓ちゃん、3人で登場しましょうか。沙織ちゃんは島民への催眠をよろしく」
「『自平党』に投票するように?」
「派手に騒がないようによ!」
流石のゆりあもイラついてきたようだ。
だが、その判断に迷いはなかった。




