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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
外伝「望郷のトウカ」

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第21話「半島を出よ」

その命令は突然下された。


「異能少女部隊、全員に告ぐ。『半島を出よ』」


『異能少女部隊』。

ミサキたち第2世代を除く、いわゆる拉致世代は、全員がすでに還暦を迎えていた。

だが――外見は誰一人として老いていない。


トウカを筆頭に、皆が30代前半にしか見えない。

異能による代償。

あるいは、この国に『消費され続けた時間』の結果だった。


異能研究所のホールに、15人全員が集められていた。

そこに立つのは、李ミリ。

国家科学院名誉顧問。

党でも軍でもなく、しかし両方に命令を通せる、異様な立場の女性。


彼女は一切の感情を排し、淡々と言った。


「もう、あなた達はこの国に必要ありません」


その言葉に、誰もざわつかなかった。

怒りも、悲鳴もない。それが『答え』だった。


「核が、ミサイルが、諸外国からこの国を守ってくれます。『異能』は……役目を終えました」


事実の確認をするような口調だった。


「そこで、『異能少女部隊』に最後の出撃命令を下します」


ミリは資料を開く。


「目標は、日本。某県、日本海に浮かぶ島――

相島あいのしま』」


空気がわずかに揺れた。


「ここを『半島革命軍』を名乗って占拠してください」


一瞬の沈黙。


「つまり、あなた達は『反乱軍』です」


ミリは、あくまで理路整然と続ける。


「国家の正規軍ではありません。

よって、国際法上『侵攻』には当たりません」


言い換えれば――


国家は、彼女たちを切り離す。

だが、殺さない。消さない。


「占拠後、武力行使は最小限に。

民間人への被害は『ゼロ』を想定します」


ここで、トウカが口を開いた。


「……その後は?」


ミリは一瞬だけ視線を上げる。


「その後は、あなた達の自由です」


自由。

それは、この部隊にとって最も縁遠い言葉だった。


「日本政府は混乱するでしょう。警察、海保、自衛隊――しかし『侵略』ではない。

反乱軍ですから」


ミリは、わずかに口角を上げた。


「そして日本は、『話し合い』を選びます。

……あなた達を、殺さない」


わずか30分。

15名の『異能少女』達は飛び立った。


♦︎♦︎♦︎


「いいの?一緒に行かなくて?」


ミリが言った。


「ミリ同志。いや、ミリ。あなたはあの時の約束を守った。その結果、世界中から孤立した。わたしぐらい一緒にいてあげる」


ミサキはそう言って笑う。

その顔に一筋、涙が流れる。


母親のトウカが見えなくなる。


「ごめんね。『10年、20年かかっても』なんて言ったけど、23年かかっちゃった」

「年が明けたから、24年だよ。正確には」

「細かいな……」


ミサキの顔にもう涙はなかった。

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