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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
外伝「望郷のトウカ」

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第6話「変化」

この国にも『梅雨』がある。

日本とは少し違う、重たくて肌にまとわりつくような湿気だ。


「……まあ、そうなるわね」


ため息をつきながら、タンスを開ける。

そこには、以前とは違う下着が並んでいた。


全部、ゴムの太い輪がついたものばかり。

そのまま履くのではなく、

股のあいだに分厚い布を挟んで固定するタイプ。


——つまり、これはもう『おむつ』だった。


(昨日も……その前も……)


夜のおねしょは毎晩になり、最近では昼間にも一度は『失敗』してしまう。


訓練中や、文字を書いている時。

ちょっと力を使った拍子に、身体が勝手に緩んでしまう。


(『異能』のせい……なんだよね?

 そうじゃなかったら……私……)


この招待所では洗濯も管理も職員が行う。

つまり、私の失敗も全て把握される。


タンスが『こう』なったということは——

もう完全に、職員も赤城さんも、


『私は『異能少女』であり、『失禁』は日常的なもの』


……そう理解した、ということだ。


胸がきゅっと苦しくなる。


少女としての生活が、

ひとつひとつ削り取られていくようで。


変わったのはそれだけではない。


♦︎♦︎♦︎


1週間前。


「はじめまして、半島解放軍少将の白オックです」


脇にいた背広の男性が日本語に訳そうとする。私はそれを止めた。


「大丈夫です。そのくらいの半島語はわかります。はじめまして種田トウカです」

「おお、素晴らしい。今日は訓練の様子を見せてもらいますよ」

「はい」


そうしていつも通りの飛行訓練を行う。記述にあった通り、掃除用具のホウキにまたがると速く高く飛べる。今は訓練として制御の練習している。狙った高さ・場所に飛ぶ訓練だ。


「素晴らしい!この調子で頑張ってください。新しい子も探していますから」


白さんは終始、上機嫌で帰っていった。


「……うまくいったな」


白さんの車を見送りながら、タケシさんが言った。軍の視察も全てタケシさんの計画だった。


(「この国で権力を持っているのは『党』と『軍』だ。それを利用して、『役に立つ』事をアピールするんだ!」)


「ええ、これで軍にも『訓練』という名目で『異能』の練習ができる。タケシさんの計画通りにね」


私がそう続けると、タケシさんもこっちを見て笑った。


その結果、今日から『102招待所』は『半島解放軍 異能研究所』と名前が変更された。



♦︎♦︎♦︎


その夜。島根県江津市沖。


波の音だけが響く真っ暗な海。

その中を、小さな船がゆっくり進む。


「……そっと運べよ。中身は『ナマモノ』だからな」


船上でセブンスターに火をつけ、紫煙をくゆらせる男——林。いや、朴ソンギュだった。


小船から、大きな貨物船へ。中継して送り出す。

それが変わらない“仕事”だった。

積み荷の麻袋がわずかに動く。


中には——

眠らされた小柄な少女。


朴は麻袋の端を指先でつまんで、にやりと笑った。


「トウカちゃん。新しい『お友達』だよ」


波が船腹にぶつかり、

鈍い音が響く。


少女の入った麻袋は、

静かに貨物船へ引き上げられていった。

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