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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
第3章「シークレット・ヘブン」

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第64話「平行線」

東京都八王子市。


「ピッ…ピッ…ピッ…」とモニターからの音だけが病室内に響く。


佐藤ゆりあ。現職の文部科学大臣にして、魔法少女の統括管理者。現在のシステムを作った者。

対峙するのは長田洋子。元・公安部員。小隊ドクトリン。『浄化』の発明など、魔法少女の基礎を創った人物。


2人とも黙っているのは、何を語っても平行線になるのがわかりきっているからだ。そのまま5分程過ぎた時、ゆりあのスマホが鳴った。長田は『どうぞ』とジェスチャーで意思表示する。


「ええ、わかったわ」


相手の言葉にゆりあはそれだけ返す。

そして、洋子に告げる。


「さて、ここ以外の都市はほとんど戦闘は終わりました。私達の勝利です。あなたの理想はもう実行不可能です」


事実だけを告げるゆりあに。


「違うわ。『始まった』のよ。佐藤ゆりあ。あなたがした事は魔法少女の兵器化、擬似軍隊化よ。他国から見れば立派な脅威よ」


洋子も事実だけを告げる。


「それが『防衛力』というものです。できれば戦いたくないって思わせるだけで侵攻されるリスクは減ります。我が国はどこの国から攻撃されてもおかしくないですから」


ザックリと言えば、国連では『旧敵国条項』というものが存在する。「第53条第1項:安全保障理事会の許可なしでも、第二次世界大戦の「敵国」に対して軍事行動を含む強制措置を取りうる」というものだ。形骸化はしているが、制度上、不可能ではない。ゆりあはそれを言っている。


「釈迦に説法ね。だから私達は魔法少女の制度を作った。あなたはそれを強固なものにした。だからもう一度原点である。この国の『独立』を目指すべき。だから私は戦った」


その言葉にゆりあが笑った。


「『戦った』としている時点で『負け』を認めてますよね?」

「ふふ、そうね。でも傷痕ぐらいは残させてもらう。あなたの『常勝』を支えるそこの子かあなた、どちらかに消えてもらうわ」


着ていたスーツの内ポケットから拳銃を取り出す。濃紺の金属部分に木製のグリップ、コルトパイソンだった。


「AMFGだっけ?あれのせいで魔法は使えないのでしょう?」


言葉で相手は倒せない。目指す未来が違う以上、平行線になってしまう。ならば、相手を物理的に倒そうとするのが長田洋子という人間だった。


「瑠奈さんも私も倒したとしても、もうあなたの理想は叶いません。もう一度言います。『私達の勝利です』」


あくまで理性的に振る舞うのが佐藤ゆりあである。


そこへ。


「上田先輩!」


突然の乱入者だった。ゆりあも洋子もその男の登場に驚く。国家公安委員長、山岡龍馬だった。


「どうしたの森恒(もりつね)君?ずいぶんと老けたわね。40年振りかしら?」


森恒一夫(もりつね かずお)。山岡龍馬の仮の名前だった。50年以上前からの共犯者。


「長田洋子。いや、上田理子。公文書偽造、行使・戸籍法違反で通常逮捕する」


そう言ってゆっくりと拳銃を取り出す。相手が拳銃を持っていて、銃口が無辜の市民に向けられている、警察官では当たり前の行動だった。国家公安委員長も広い意味では警察官である。


「これで完全に『詰み』ですね。長田先輩。いえ、上田先輩でしょうか?」


言ったゆりあと銃口を向ける山岡とを交互に見る洋子。そして、ニッコリと笑い。


「これまでのようね。

佐藤ゆりあ。言っておくわ。

これが『終わりの始まり』よ」


パンッ!


乾いた銃声が病室に響く。

洋子は自分のこめかみに発泡し、ゆっくりと倒れた。

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