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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
第3章「シークレット・ヘブン」

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第48話「(閑話)木津根あげはの覚醒」

大阪府高槻市、明王義塾学園大阪校。


「そろそろ教えてくれる?なぜ私だけ居残りなの?」


木津根あげははムツミを問いただした。一方で問われたムツミは持っていたタブレットを操作して、あげはに見せる。


「これを見ろ・・・・わかったか?理由が」


訓練時計測結果

 木津根あげは『レベル:B』

 西田真琴『レベル:D』

 陸奥伊都子『レベル:D』


それは残酷だが事実。呆然と彼女はそれを見つめる。


そこへ。


「相変わらず、大阪は本部の防御が緩いわね」


聞こえた声。次の瞬間、火炎が襲う。

ムツミに抱き抱えられてあげはは難を逃れた。まるで『守られる側』のように。



数週間前、佐賀県鹿島市。


「国から『赤紙』が来たぞ。稲荷神社では2番目だ!」


父親が血相を変えている。

『特別招集令状』と書かれた赤い用紙。


「頑張って務めてこいよ!」「しっかりね!」「がんばれ、お姉ちゃん!」


両親や妹の期待を背に旅立ち。待ち受けていたのは


『魔法少女におむつが必要なんて聞いてません』


羞恥。


『能登さん、だっけ?恐れいったわ!』

『いい魔法ね。ウチの『スプリング』に入らない?』

『あげは。お前さんは居残りだ』


劣等感。


「逃げろ。後はこっちで何とかする」


そう言ってムツミは抱いていたあげはをおろす。


「冗談じゃ、ありませんわ!」


このままでは終われない。誰にこの感情を向ければいいのかも、わからない。呼び出した国家にか?無責任に送り出した家族にか?理不尽に高い周囲の環境にか?何の努力もせずに才能だけで認められる仲間にか?


否、自分自身に。である。


「『カケマシクモ、カシコミ、ウカノミタマノオオカミノ、ミナヲタタエル』!」


全身が光って変身する。

白狐である事は変わらない。だが、2足歩行の人型で巫女装束を身に纏ったものである。


火焔を吐く。


傍らのジャングルジムが紅く加熱され、アルミ製の柵は溶け落ちる。


「それまで『テンペスト』緊急停止」


ムツミが静かに告げた。その手に持っているタブレットの表示を見る。


計測結果

木津根あげは『レベル:E』


不躾だと思っていたランクが誇りに変わる。


「よくやった!」


ムツミがニカッと笑う。そして。


「サトミも、ありがとうな」


先程、襲われた方を見る。さっきまで自分が変身していたのと同じ人型の白狐。その変身が解かれて正体を現す。同じ明王義塾の制服を着ている。


「はじめまして、木津根あげはさん。広島支部所属『チーム・レッド』の泉サトミ。あなたにはこう言った方がわかるかしら?京都、伏見稲荷の『隠し巫女』よ」


少しだけ納得する。


「ムツミ教官、たまたま出動があったからこんな展開なんですか?」

「ああ、『そこ』か。本来なら5人を大阪観光でもさせて居残りってプランだったんだ。それに昨日見た感じ、サトミと同じ感じを受けたからな!」

「昨日の夜、いきなり電話して来て、『大阪に来い』ですよ?まあ、後輩の為ならしょうがないですけど」

「サトミももう18だもんな。進路は?」


ここだけ聞くと本当に教師のように聞こえる。


「成績はいいので『指定校推薦枠』で大学かなぁ、って。そこで少し考えて、実家に戻るのもアリだと思うんです。他の子と違って『赤紙』枠は『死んだ事』になってないですから」

「そうだな、将来の事はゆっくり考えればいい。『魔法少女』の退職金は1億。しばらくは『自分探し』できるさ」

「そういうムツミさんは、その1億を投資信託に回してしっかり毎年300から500万のリターンを受け取っている。ですよね?」

「なぜそれを!」

「だから古い魔法少女達は『腹黒ムツミ』なんて言っているんでしょ?」

「それ現役の時から」


こうしてこの2人の会話はいつまでも続いた。



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