第45話「先輩チーム登場」
「ざっくり言うと、魔法は大きく分けて二つ。
『物理干渉』と『精神干渉』──ここまではいいかな?」
ムツミ教官が黒板をトントンと指で叩く。
私たち三人の視線が彼女の指先に集まった。
思っていたよりも、魔法の授業は“ちゃんとした授業”っぽい。少なくとも、昨日の訓練みたいにお玉を折ることはなさそうだった。
「次に君らの待遇の話に進めるね」
質問がなかったので、ムツミ教官は次の項目に移る。
「表向きは『明王義塾学園』の生徒って事になる。知っての通り、開成や灘・ラサールの次と言われる有名私立校だ。そこの『特別学級』が君たちの身分となる。まあ、言ってしまえば『学生』だ」
ここまで一息で説明する。
「『魔法少女』は今や国の『特別公務員』扱いだ。それは他の先進国と変わらない。さらにどの国もこの存在を隠している。理由、わかる人?」
あげはちゃんが手を上げる。
「表に出すと利用されるから!」
自信満々でそう答えた。
ムツミ教官も口角を上げる。
「半分、当たり。1つは国同士のパワーバランスが変わってしまうからだ。世界一の『魔法の国』、『連合王国』では魔法少女だけで120名。我が国はそれに次ぐ80名程度だ。ただ現在ではスタンピートと襲撃で10名が今年に入って戦力外になっているが。これに対して、『同盟国』は40名。発展著しい『隣の大国』も40名と少ない」
「何が問題なの?」
あげはちゃんが質問する。
「君たちが昼から模擬戦する、『チーム・スプリング』は自衛隊の大隊、約500人を模擬戦で20分で無傷殲滅した。しかも『対魔法策』がある状態で、だよ。だからどの国も『魔法少女』や『魔女』の存在を公表しない。それは『抑止力』でもあるんだ。もっと言えば『身体強化』された君たちなら拳銃や自動小銃なら効かない。普通の軍隊相手なら、君たちで充分戦える。未訓練の状態で。だ」
そしてムツミ教官は私達3人を見て、笑った。
「『世界の軍事バランスが崩れる』だから世界は隠すんだその正体を」
その時のムツミ教官は笑っているのになぜか怖かった。
「それでは紹介しよう。『チーム・スプリング』の3人だ」
まず入ってきたのはショートカットの小さい子。小学生ぐらいに見える。見るからに『やんちゃ』とか言われそうな女の子だった。
「桃園若葉。中2。最も人数の多い『水』系の魔法を使うが、その中で1番ランクが高い。さっき教えた計測不能の『レベル:E』だ」
「ムツミさん!ハードル上がるって!」
照れたようにムツミ教官に言う若葉さん。そうか同級生なんだと思ってしまう。
そうしているうちに、次のメンバーが入って来た。
今度の人は、ロングヘアで白いカチューシャが印象的だった。同じロングだけど、伊都子さんとは系統が違う。伊都子さんはキレイ系、対してこちらはかわいい系。さっきの子と真反対のおっとりとした印象も受ける。
「辻あやめ、中1だ。我が国ナンバー1の『精神干渉』系、魔法少女だ。同じく『レベル:E』」
「辻あやめです。よろしく」
短く、ニコリと笑顔で挨拶する。これで去年まで小学生だったのか!と思うような立派な胸部が揺れる。
そして、最後の子が入ってくる。身長は私と同じくらい。セミロングの髪を耳の後ろで2つに左右に分けて結んでいる。間違いなくクラスで1番人気になりそうな、かわいいとも美人とも取れる整った顔だった。
「加入半年で『天才』。『マルチスキル』。『レベル:E』と『チート主人公』こと、藤原さくらだ!」
「絶対違うからね!藤原さくらです!よろしくお願いします!」
「気をつけろ!生身で自衛官と渡り合うからな!」
さらにムツミ教官がイジる。
この時、私には分からなかった。この3人がどれほどの『怪物』なのかも。




