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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
第3章「シークレット・ヘブン」

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第38話「初めての大阪」

「すいません、遅くなってしまって!」


私は頭を下げて謝る。


「あはは、大阪あるあるだよ。大阪駅と新大阪駅を間違えたり、梅田駅が2つあったりね」


迎えに来てくれた女性はショートカットに金髪の毛先に根元が黒い。ジャージにエプロンといった格好だった。


「私は織田ムツミ。あなた達、訓練生の教官になる。よろしくね。西田真琴ちゃん。それから荷物は車のトランクに入れてよ」


すごくフランクな対応の教官だった。

言われた通りに荷物を乗せて、ワゴン車の後部座席に座る。すでに2人が座っていた。


「まずは寮に向かうね」


そう言ってムツミ教官の運転するワゴン車は走り出す。

自然と風景より、隣に座る子が気になる。黒髪をセミロングに伸ばしていて、白いブラウスに赤いスカート。なんだか巫女服みたいだと感じてしまう。私と目が合う事もなく、ずっと風景を見ていた。

もう1人の子も窓の外を不機嫌そうに見ている。ウェーブがかった髪を下の方で1つに結び、耳にはヘッドホンをしている。タートルネックのセーターに茶色のジャンバースカートという格好だった。


(どっちもすごく美人)


なんだかすごく場違いなところに来たみたいで、気後れする。そんな私などお構いなしに車は高速を使ってぐんぐん進んでいき、30分程で目的地に着いたようだ。


「ここが寮だよ。降りて」


なんの変哲もない7階建のワンルームマンション。鍵を渡される。私が205号室、巫女風の子が206号室で、ウェーブヘアの子が207号室。3人で横並びの部屋らしい。


「部屋に制服を準備している。『下着』までちゃんと着て、荷物を置いて15分後に再集合ね」


そう言って、ムツミ教官は車のエンジンをかけて走り去っていく。


与えられた部屋に入る。特段変わったところもなく、普通ワンルーム。家具家電どころかフライパンや片手鍋、さらには調理小物までついている。強いて言うなら、カーテンやベッドの布系が黄色でトータルコーディネートされてる事ぐらいだ。

クローゼットを開ける。言われた通りに制服が準備されている。そしてこの部屋で1番の違和感。私にとっては安心感。ケースで置かれた『おむつ』だった。


(良かった!これで交換できる!)


集合場所の大阪駅と新大阪駅を間違えた事、そこからすぐに車で移動だったので交換するヒマもなかった。幼児向けのと同じデザインだが、明らかにサイズは中3の私でも入るサイズ。そしてそれが『Mサイズ』となっている。つまりは『L』や『S』があるのだろう。



何事もなかったかのように制服に着替えて、集合する。すでに2人は来ていて、ムツミ教官に詰め寄っていた。特にウェーブヘアの子は凄い剣幕だ。


「どういうことですか?」

「あれ?言ってなかったっけ?」


ムツミ教官の目が泳いでいる。出会って間もないけれど、あれは誤魔化してると感じる。

ウェーブヘアの子が絶叫する。


「魔法少女におむつが必要だなんて聞いてません!」


ムツミ教官は絶叫したウェーブヘアの子を無視して、私が来たのを見つけると言った。


「よし、全員揃ったね。それじゃ、1人づつ『確認』するよ?」


黒髪の子の周りをぐるりと1周して、最後にスカートをまくる。それを繰り返す。


「全員オッケーだね。文句は言うけど、素直に従ってくれてありがとうね」


ウェーブヘアの子に向けて言った。そんな回答が返って来ると思っていなかったのか、ウェーブヘアの子はちょっとだけ恥ずかしそうに顔を背ける。


「それじゃ、今から大阪支部に行くけれど、あくまで『仮設』だから、文句は受け付けないよ」


そう言って歩く事1分。なんと隣の建物だった。


「ここが仮設支部だ。新人をおいそれと重要施設に入れる訳にはいかないからね」


連れてこられたのは保育園。いや、その跡地を再利用された建物だ。その1つの教室に案内される。


「ここが座学を行う場所だ。『うさぎ組』覚えておくように」


1つ手前の『りす組』はパソコンや雑多にものが並んでいたが、ここはモロに保育園そのものだった。ムツミ教官のエプロン、私達のおむつのせいでまるで大きな子の通うそれみたいになってる。


「そして、これが『テンペスト』だ。これをつければ魔法が使えるようになる。呼ばれたら取りに来るように」


そういってアダッシュケースに3つ並ぶそれを出す。


「木津根あげは」

「はい!」


ウェーブヘアの子が立ち上がる。ちょっと卒業式みたいだ。そしてそれを装着している。


「陸奥伊都子」

「・・・・」


無言で立ち上がって受け取る。そういえば、まだ声を聞いた事がない。


「西田真琴」

「はい」


私は立ち上がって、ムツミ教官からそれを受け取って装着する。


(なに?これ?)


身体の中に違和感が駆け巡る。違う、感覚が鋭敏になったのだ。


「さて、最初の訓練だ。これから厨房でカレーを作ってもらおうか?」


ムツミ教官が言った。


(え?なんでカレー?)


誰もが『?』という顔で厨房に移動する。材料はすでに用意されていて、早速取り掛かる。


「真琴さんだっけ?あなた料理は?」


あげはさんが聞いて来る。


「得意って程ではないけど、人並みには・・・」


歯切れ悪くて私は答える。


「伊都子さん、あなたは?」

「できる」


即答。そして初めて声を聞いた。YouTubeで聞くことのある、合成音声みたいな声だった。結果、伊都子さんの指示で動く事に。ちなみにあげはさんは「やったことない」らしい。


1時間後、出来上がる。お米を研いで炊飯器に入れ、野菜の皮を剥いて、切る。それを肉と共に炒めて、水を入れ、ルーを入れる。


それだけでなぜこれが訓練か身に染みた。


魔法少女というのは常に身体強化されているらしい。つまり今までの感覚で行うと、皮剥き器をひん曲げたり、野菜をまな板ごと切ったり、混ぜようとして金属製のお玉が折れたりした。


厨房にいい匂いが立ち込める頃、ムツミ教官が顔を出した。


「そろそろかな?」

「・・・・(コクリ)」


伊都子さんが首を縦に振る。


「ちゃんと『訓練』だっただろ?」

「はい、今までと全然違いました」


あげはさんは訓練の意味がわかれば素直に従えるらしい。途中から明らかに前向きだった。満足そうにムツミ教官が笑う。


「全員、この訓練の意味が理解できたと思う。さて、もう1つ『意味』を教えよう。全員、自分のおむつを確認してごらん?恥ずかしいなら別室に行ってもいい」


「え!ウソでしょ?」

「・・・・・」


2人とも気がつかなかったらしい。私はいつもの事なので流してた。


「さっきの部屋に新しいおむつがあるから、交換するといい。カーテンで間仕切りできるからね。カレーの鍋は私がみてるから」

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