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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
第3章「シークレット・ヘブン」

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第35話「探しものはなんですか?」

競争にはメリットもデメリットもある。

例えば『汐留インターシティー』という建物。大手デベロッパーが本気でインバウンド層向けに開発したビルだったが、肝心のテナントの入居率が芳しくない。つまりは競争に『負けた』建物だった。


その数少ない入居者の1つが長田洋子が擁する『シークレット・ヘブン』の隠れ家だった。


「この部屋を使ってね。シャワーはあっちで、着替えはこのチェスト。お金はさっき渡したスマホに入っているから、洋服なんか気に入らなければじゃんじゃん買ってね」


椎葉ユウは困惑する。アパートのワンルームみたいな部屋に窓の外には東京湾とレインボーブリッジ、お台場のテレビ局も見える。長田さんは何を思って僕をここに連れてきたのだろうと。


「あ、それから着替えたら、メンバーと顔合わせね。みんなあなたと同じだから気にしなくていいからね」


おむつの事だろうと見当をつける。長田さんはそういうNPOみたいなことをやっているのだろうか?

部屋を出て、エレベーターで上の階へ。パーテーションみたいな仕切りが何もない広い空間に机と冷蔵庫、ソファーとモニターが置かれている。


「今日から新しいメンバーが増えます。椎葉ユウ君です。仲良くしなくていいけど、困っていたら助けてあげて」


「はい」とか「了解」みたいな声がバラバラとする。15人くらいの男女がいて、女性が12人と多い。


特にこれと言った縛りもなく、その日を終えた翌日、長田さんから呼ばれた。


「あなたの答えを知るために、ここに行ってほしいの」


渡されたのは新幹線のチケット。広島との往復券だった。


「初めてだから、この2人と行ってくれるかな?」


僕と同じくらいの女の子と小学生の男の子が並んで立っている。


「わかりました」


特に予定もない。それならどうなってもいい。そんな気持ちだった。


東京の路線は迷路のようで、スマホなしに移動は怖い。修学旅行でもスマホ頼りだった。その迷路みたいな乗り換えを、男の子はいとも簡単に行う。名前を辻村勇二くんと言うらしい。


勇二くんの活躍(?)で簡単に東京駅のホームに立つ。新幹線に子どもだけで乗るのは初めてだが、周囲はそんな事気にしていなかった。


「お兄ちゃんは誰か探しているの?」

「ああ、幼馴染をね」


そう言うしかない関係に胸がざわつく。


「勇二くんは?」

「お姉ちゃんを。『さくら』って言うの!」


一気に勇二くんに親近感を感じる。もう1人の女の子はウザそうに見てるだけだ。昼過ぎに広島駅についた。


そこからは観光客と変わらない。お好み焼きを食べて、平和記念公園に行った。


「あの人にしましょう」


それまで必要以上に話さなかった女の子が言った。


「すいません。薬のサンプリングにご協力お願いします」


それまでの態度が嘘のようににこやかに話かける。作業着の男性は怪訝そうに彼女を見る。


「こちらが謝礼です」


そう言って一万円札を見せる。まるで魔法のように男性の態度が変わり、渡された薬を水で飲む。約束通りに一万円札を受け取って、その場を後にする。


5分もすると黒い霧のようなものが男性から出てくる。同時に何か記憶に引っかかりを覚える。


(そうだ、僕は『コレ』を知っている!)


脇にいる、勇二くんも食い入るように男性を見る。すると、女の子が引っ張って脇道に連れて行かれる。


「巻き込まれるわよ!もう少し離れて!」


真剣な表情に気圧され、パチンコ屋の立体駐車場から見る。


しばらくすると、上空から、4人の少女が現れた。


「あれが『魔法少女』。アタシも前はあちら側だったの」


つぶやくように女の子は言った。


「これは『テンペスト』このスマートウォッチをつけると魔法が使える。正確にはコレは『テンペスト・レプリカ』って言う海賊版みたいなものだけど」


女の子はさらに解説してくれる。


「なんで、その事を?」

「探しているんでしょ?あなたは幼馴染を。あっちの子はお姉さんを。だからかな?アタシは誰も探してなかった」


戦っている魔法少女4人に目を凝らす。

そこにさくらの姿はなかったけれど、僕はさくらの生存に希望が持てた。

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