第24話「対 AMFG」
静岡・山梨県境、防衛省・富士演習場。
「ヒトマルマルマル、実戦訓練開始!」
「了、各小隊は鶴翼陣形へ」
その時だった。
ポスッ!
大隊長のこめかみに氷の銃弾が当たる。
「大隊長被弾!死亡判定!訓練終了」
陸上自衛隊、第6師団隷下 第44普通科大隊。普段なら福島県郡山市に駐屯する彼らがここまで来て、訓練するのには理由があった。
「やはり、瞬殺されましたね」
「ああ、まさか2000mの狙撃を成功させるとは思わなかったが。さすが日本で唯一、実戦経験のあるグループだ。小娘と侮ってはダメだな」
大隊長は黒川オサム。防衛大学校出身のいわゆるエリート。だが、選民思想やエリート意識は皆無。部下にも慕われる兄貴分タイプの上官だった。
「ヒトヒトマルマルより2戦目を開始。次は『対 魔法少女』用兵装を使う。それから全員89式小銃を回収、ペイント弾式小銃に装備変更」
「既に初回よりペイント弾装備です。つまりこの1時間を隊員は休息に充てられます」
黒川オサムは思った。この副官は初回瞬殺を、つまり自分の死亡を見越していた。と。
同時刻。魔法少女陣営。
「私、出番ないかも」
「本番は次でしょ。大島先生の話だと『アレ』が出て来ますよ」
「どうする?また速攻狙う?」
「 『AMFG』だっけ?1回、どんなものなのか試してみたくない?」
「賛成。瞬間起動しないかもしれないから、11時5分に撃ってみよう?」
放課後にコンビニの前で立ち話でもするように少女3人は作戦会議を進めた。
11:00。黒川陣営。
「作戦時刻を確認。『AMFG』起動。各小隊の『小型 AMFG』も起動!」
「ディーゼルエンジン始動。電源供給問題ナシ。続いて、本体電源起動。問題ナシ。出力上昇中」
「第1から11小隊の『小型 AMFG』起動完了問題ナシとの報告」
その時、演習場内にいた鳥が一斉に飛び立つ。
「『AMFG』起動完了。魔力反応をモニターに出します。これは!」
距離200に1人、反応があった。もう2人は効果範囲ギリギリにいる。
「おそらく着弾観測だろう。本当に中学生か?軍隊の真似が上手いな」
黒川がつぶやいた。
「第4小隊で1名被弾」
「やはりか、2000mの狙撃が外れたな」
「観測手、下がっていきます」
「結構だ。鶴翼陣形を取り、包囲殲滅せよ」
同時刻、魔法少女陣営。
「危なかった!前にドームに突っ込む経験がなかったら、そのまま墜落してたかも!」
「こっちも射程や威力が半減させられてるな」
「探知もノイズ混じりで厳しそう。近くなら割と大丈夫だけど」
3人が顔を見合わせる。
「チーム・スプリングさくらです。『 AMFG』の効果と範囲、確認。勝っていいですか?」
『こちら本部。佐藤ゆりあです。重症までは許すわ。圧倒しなさい』
「了解です!」
「だってさ」
3人はニヤリと笑った。
15分後、黒川陣営。
「対象が3つに分かれました。それぞれ北からABCと呼称します」
「対象A、第1小隊と交戦開始。同じく、Bが第2小隊、Cが第3小隊と交戦開始」
「よし!各個包囲して殲滅せよ」
「第2小隊より報告。対象は我々と同じく81式ペイント小銃で交戦している模様。数名に命中し、死亡判定です」
それならば彼我兵力差3:500。圧倒できる!と思った。
15分後、黒川の顔色が変わっているのだが、それは次回。




