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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
第1章「さくら、魔法少女になる」

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第23話「ナツキレポート4」

京都府舞鶴市。

国内で3度目のスタンピートが起こった。


広井夏樹はウンザリとしながら棚を見上げていた。1度目は50年前、2度目は4ヶ月前に起こった。今回も人為的どうかを調査に来たのだが・・・


ここは病院。山のように薬の種類があった。


(木を隠すなら・・・か)


早々に薬の探索を諦めて、病院内を探索する。梓の魔法のせいで窓ガラスがなくなり、ところどころで虫が侵入してくる。


どうやらいわゆる『精神病院』だったらしい。

格子のついた窓に、通路を隔てる鉄格子。紐がついて持ち出し不可能なライター。などが散見される。


(日本の精神医療の悪いところを煮詰めたような病院だね)


「!」


『何か』に夏樹は気づいた。

ここじゃない、行くべき場所は。そう思い、ホウキで飛び立った。




大阪府高槻市。

旧保育園の園庭に夏樹は降りた。


「久しぶりね。夏樹ちゃん」


出迎えたのは高野舞。2年前まで、夏樹の指導教官だった。


「お久しぶりです。文科省から出向ですが、公安職員も兼ねてる舞先生」

「あんまりな挨拶ね。実際、その通りだけど」


そう言って2人で笑った。


「2人は?」

「ホールでダンボールを開封しているわ」


早速、中に入る。


「やっちゃったね」

「そだね」


2人の声がする。1人は小柄だがちゃんと高校生に見える、さらさらストレートヘアがトレードマークの『西の天才』岸本梓。問題はもう1人だ。小学校低学年に見える容姿とボサボサの長めの髪。精神感応のエリアの広さなら今だに日本トップの少女、三月沙織。


夏樹は彼女が苦手だった。日本の魔法少女で早くから魔力に目覚めた者は、成長が止まる。トップの佐藤ゆりあに理事長の水田マリ、それに夏樹と沙織もそれに当てはまる。


要は『自分の非常識さを突きつけられて、見ていられない』のだ。


「何してんの?」


夏樹が声をかける。ダンボールから、キャリーケースか空気清浄機みたいな装置を取り出している。


「あっちで買って来たけど、電源が合わないの」


困ったように梓が言う。


「ちょうど良いところに『電源』が来たね」


沙織が言う。それに夏樹がイラっとする。人をモノとか道具として見る。自分が普段やっている事がこんなに非常識なのかと。


「それでこれ何?」

「 AMFG。それのプロトタイプ。今朝、向こうで買って来た」

「アンチ・マジック・フィールド・ジェネレーターの略だっけ?それだと、起動させた瞬間、私の魔法が使えなくて、コレ止まるよ?」

「そっか!」


変圧器を空港で手に入れて梓が戻って来て、起動させる。


「試してみようか?『いってらっしゃい♪』」


梓がふざけた呪文を唱える。

10cm四方のガラス板を的にしたぬいぐるみを分断するカタチで転移させたはずだ。けれど、梓とぬいぐるみの中間地点にガラス板が現れて割れた。


「魔法が『使えない』訳ではないけど『的が絞れない』?」


夏樹も試す。いつも通りにはいかない。


「例えて言うなら、『ゴキブリが20匹いる部屋で中1の数学の方程式解いてる』感じ」

「あー、わかる!『数を数えてるのに横で関係のない数字言われる』みたいな!」


梓と夏樹で感想を言い合う。


「これ、飽和攻撃するか、この装置自体を破壊するとか、無効化を考えないといけないね」


ポツリと夏樹が言った。


「対人戦想定?ビースト戦でこれが動いているって状況ありえないよ?」


珍しく、沙織がまともに取りあう。


「前回と今回のスタンピートは人為的におこされた可能性がある」

「どうやって?」

「魔石を粉末状にする。テンペストを作成する際も研磨するから、粉末が出る。前に試作品作成中にラボで魔力中毒者が出た原因がそれだった。今回は混ぜられた薬が出回ってる」


少し場を沈黙が支配する。


「最悪の場合、これが動いている状況でスタンピートって可能性も考えておかないと」


ここにいる3人は5年は魔法少女をやっている。つまり、それがどれだけ絶望的状況かリアルに想像できてしまう。


「それで、夏樹がここに来た理由は?」


沙織の空気を読まない、読めないのがここではプラスに作用した。


「そうだった。まあ、さっきの話に繋がる部分ではあるんだけど・・・」

「スタンピートが人為的って部分ね」


梓が補足する。


「前回は『ドン横キッズの溜まり場』、今回は『問題のある精神病院』が舞台。多分、身体拘束されたビーストが何体かいたんじゃないかなと思って」

「そうだね。いたね」

「つまり、『人為的にスタンピートを起こしてる連中』は、日本の問題点、あるいは『闇』みたいなところでスタンピートを起こしているんじゃないかなって」


そこまで聞いて、沙織が言う。


「『次』はどこ?」


その問いに誰も答えられなかった。

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