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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
第4章「魔法少女ワールドカップ編」

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第74話「試合前」

大会2日目(現地時間7:00)、「ビギナーの部」1回戦。

日本代表宿泊ホテル。


「さくら先輩、おむつ交換してもらっていいですか?」

「ずいぶん緊張してるね、大丈夫?真琴ちゃん?」


おむつを通す足が震えている。


「真琴ちゃん、『勝てるか?』とか考えてない?」

「はい、さくら先輩も凄い勝ち方だったし……」

「大丈夫、負けても。相手は魔法のメッカ、連合王国だよ?」


対戦相手は連合王国、アシュリン=オサリヴァン。『ビギナーの部』では、それだけしかわからない。なぜなら、9月以降にデビューした子達だからだ。昨日、私の戦った『エキスパートの部』は4年前のデータがある。有名だと、どんな魔法を使うのか事前にわかっている。


そう、わからないから『怖い』のだ。


♦︎♦︎♦︎


同時刻(現地時間16:00)。東京都千代田区、霞ヶ関。文部科学大臣室。


「夏樹ちゃん、出来た?」

『「Winx Club(ウィンクス・クラブ)」を超えるAIを作るのは、この短時間だと不可能だよ」

「できなかったの?」

『オーダーは「Winx Club」に勝つ事、でしょ?それなら、もうできてる』


ゆりあはスマホを片手にニヤリと笑った。


「待ってなさい。フランク=ロームフェラ!」


♦︎♦︎♦︎


同時刻(現地時間2:00)。自由の国、ニューアーク市。ロームフェラビル。


5番街にそびえる、一際高いビルの最上階が彼の執務室だった。フランク=ロームフェラ。ロームフェラ財団トップにして、投資会社『ホワイト・ロック』最高顧問。彼はスマホを手に、自身の孫娘と会話している。


「ケリー、本当に出場するのか?」

『ええ、お祖父様。911で私の両親を喪ってから、私に財団内に後ろ盾はありませんもの。数年内に叔父様が私を財団から追い出す可能性だってありますわ』


ケリーが産まれて1年たたずに、ケリーの両親はテロによってこの世を去り、彼女が語ったような状況になっている。


「意思は固いんだな。ならば、『勝て』。前回優勝者を倒した日本に、だ。もちろん、最大限のバックアップはする」

『もちろんです!ロームフェラの辞書に『敗北』はありませんもの!』

「そうだ、いい報告を明日は期待している」


そう言ってスマホを切った。

すぐさま、別の相手に電話する。


「プラント大統領か?私だ。日本に圧力をかけろ。『追加関税』でも『スーパー301条』でも構わない!以上だ」


♦︎♦︎♦︎


少し後、(現地時間16:20)。東京都千代田区、霞ヶ関。文部科学大臣室。


ゆりあのスマホが鳴る。


「はい、佐藤ゆりあです。小浜首相、どうかしました?」


電話の相手は小浜素子。1月に総理に就任した女性首相である。


『ゆりあさん。想定通り、プラント大統領からホットラインで通達がありました。エキスパートの部、2回戦で自国が負けた場合、日本を再占領し51番目の州にすると。旧敵国条項まで持ち出して恐喝されました』

「てっきり、追加関税あたりかと思ったけど。もっと強弁だったわね」

『ご指示通り、回答を遅らせておきました』

「ありがとう、何かあればまた連絡をお願いね」


♦︎♦︎♦︎


この時の私は、『世界が動いている』なんて思いもせず、真琴ちゃんを応援していた。

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