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東方塵芥録

作者: らら

どうも、ご無沙汰だと思います。ららと申します。

初めての東方二次創作作品です。

キャラ崩壊など二次創作で起こり得ることは多分起きています。ご了承ください。

『幻想郷』

それは山奥にある果ての楽園。そこは誰よりも平穏を愛する素敵な巫女がいるが何故かちっともその通りにいかない不思議な世界。

いつも神社でくつろいでいる素敵な巫女・博麗霊夢は各地を奔走していた。

「相変わらず酷い匂いになったものね。ここは。」

人里の遥か上空で霊夢は呟いた。数日前から人里の衛生環境は酷いことになっていた。各地から下水があふれ出し、衛生環境が悪化した。その結果、多数の病人が出てしまった。永遠亭の薬の在庫が無くなりかける程に。


ある意味ではレミリアの起こした紅霧異変並みにはた迷惑なこの異変の首謀者に霊夢はすっかり怒り心頭だった。

霊夢はまず間欠泉でやらかしたことのある地霊殿に向かった。

「ようこそ。博麗の巫女。お空なら間欠泉センターよ。」

「あんたは知りたいことがすぐ知れて楽だわ。」

それだけ言って霊夢は間欠泉センターに向かった。


「間欠泉は至極いつも通りだぞ。博麗の巫女よ。」

守屋神社の神・八坂神奈子は霊夢にそう言い放った。

「早苗にも調査させているんだが、足取りがつかめないようでなぁ。私たちは人間の信仰が必要だからなぁ。早苗は血眼になってるよ。」

「そ。精々頑張んなさいな。」

一瞬散々迷惑をかけられたこいつらがいなくなるメリットがよぎった。

一日中飛び回って疲れた霊夢は博麗神社に戻った。


「よぉ、霊夢!忙しそうだな。」

「ほんとよ!どっかのよくわかんない妖怪のせいで神社でお茶も飲めないわ!!」

神社で待っていたのは住み着いている鬼でも、狛犬でもなく。金髪の人間の魔法使い・霧雨魔理沙だった。

「どうだ?何かわかったか?」

「何にもわかんないわよ!」

「案外、人里にいたりしてな。」

「あんな所にいるのなんか余程の物好きだわ。」

「なぁ、一回行ってみないか?人里に」

「私もうあそこ行きたくないんだけど。」

「ほろほら、行くぞ霊夢!」

魔理沙は箒に乗って飛んで行った。片手に霊夢の手を握って。

「ちょっ!?離しなさいよ!このバカ!!」



「嫌な匂いだなここは。」

「ここに何かいるわけ………」

「わーーーーーーーーーーーーい!!!」

「「……………………………………………………」」

「霊…夢?よ、よかったじゃないか。異変の元凶がいて……」

魔理沙の隣には楽園の素敵な巫女の名前が泣き出しそうな鬼の形相をした霊夢が静かに浮かんでいた。


「栄養たくさんだぁーーー!!!」

転げるように笑っている妖怪に霊夢は亜音速くらいは出ていると思える速度で降下していった。

「夢想封印っ!!!」

「へ?ひゃぁ~~~~~~!!!!!」

霊夢は底なしの笑顔で言った。

「これで異変解決ね!!」


「で、なんでこんなことをしたのかしら?」

霊夢は自分の足元で小さくなっている妖怪に目を向けた。

くぐもった赤を基調とした服に深い切れ込みの入ったスカートを身に着けていた。

「最近、満足にご飯が食べれていなくて……………。だから食べるものを増やそうと思って……………………」

「あんた、普通の食べ物は食べれないわけ?」

「私の主食は汚濁水です!」

「どうにかできないわけ?その主食。」

「そんなこと言われましても…………。あ、でも前食べた魚は美味しかったなぁ。」

「じゃぁ、魚食べればいいじゃない。」

「川がきれいすぎて魚なんていないんですよ。だから増やそうとしたんです。」

霊夢はため息交じりに呟いた。

「めんどくさいわねぇ。」

「霧の湖にでも連れて行けばいいんじゃないか?」

魔理沙が上から降りてきた。

「霧の湖ねぇ。確かにあそこなら魚がいるわね。でも多分わかさぎ姫が発狂するわよ。」

「そういやいたなぁ。そんなやつ。」


「ならその子、うちで引き取りましょうか?」

銀色の髪のメイドがそこにいた。

「「咲夜!?!?」」

「ねぇあなた、この異変はどうやったの?」

「え?自分の能力ですよ?最近何故か強くなったんですけど、私、汚い水を扱えるんです!」

「それって、下水とかも?」

「はい!できますよ!!」

「ねぇ、あなたうちで働かない?うちなら三食魚を出せるわよ?」

妖怪は目を輝かせて言った。

「よろこんで!私、水澱鋏子(みずおりきょうこ)って言います!!」


「おい、霊夢。これでいいのか?」

「いいんじゃない?あいつなら変なことにはならないでしょ。」




〜博麗神社〜 

『宴会だぁーーー!!!!!!』

人里の異変の解決の宴会が開かれた。

「はぁ、やるのは良いけど片付けくらいして欲しいわよねぇ………」

「まぁまぁ、私も手伝ってやるからさ!」

「ありがとね、魔理沙。」


宴会が終わると億劫な片付けが始まる。紅魔館や白玉楼はある程度片付けるのだが、他の妖怪、特に鬼の連中は絶対に片付けない。その上、誰よりも飲み食いするのだからたちが悪い。

「魔理沙。そっちの方を頼むわね。」

「任せとけ!」


「はぁ~。終わった〜。二人だと早いわね。魔理沙次からも手伝ってくれない?金は払わないけど。」

「頼むんだったら金払ってくれよ。じゃ、私は帰るよ。またな、霊夢!」

魔理沙は箒に乗り去って行った。

「はぁ、眠いわぁ。もうちょっと早く終わってくれないかしら。」

霊夢はそう言って、居間に戻った。


「あれ?そういえばあれどこにやったっけ?あー、神社に忘れてきたか……戻るかぁ……あいつは……寝てるだろ!」


箒星が見える夜空、魔理沙は進行方向を神社に変え、飛んで行った。


〜翌朝〜

「ん〜〜。よく寝たわぁ。って……何なのよこれ〜!!!!!」

昨日片付けたはずのゴミが散乱していた。

「よぉ、霊夢!ってなんでこんなことになってんだ?」

「知らないわよそんなこと!これは異変ね!退治しなくちゃ!」

「萃香辺りがいたずらでやったんじゃないか?」

確かに萃香ならやりかねないと思う。でも、

「あいつ、まだ寝てるわよ。」

「でも、なんのためにこんなことやるんだよ。」

「動機なんてどうだって良いわ!博麗の巫女として異変を解決する!それだけよ!」

霊夢は居ても立っても居られない様子で能力を使い空に浮かんだ。

「つってもお前、行くあてあるのか?」

「博麗の巫女の勘。」

「ちゃんと当たるんだから怖いよなぁ。」

魔理沙は口振りとは裏腹に何処か楽しげな表情を浮かべていた。



〜人里上空〜

「あれ、怪しくない?」

「ん〜、どれどれ?」

「あの人里の端にいるやつ。」

霊夢が指す方には可愛げな黒のワンピースを身に着け、両手を挙げている少女がいた。

霊夢は少女に向かう。

少女は黒いワンピースを身に着け左目の眼帯に赤いボタンを付け、鉄製のアクセサリーを首や耳にあしらっている。


「ん?おぉ!博麗の巫女じゃないか!私は屑原塵香(くずはらじんか)っていうんだ。」

霊夢は挨拶を無視して問う。

「ねぇ、あんたここで何してるの?」

「ゴミ操ってる。」

「は?」

「上を向いてご覧?」

「上?」

言われた通り上を向いた霊夢は絶句した。そこには人里が軽く無くなるような規模の隕石があった。

「おい、霊夢!何だよあれ!?」

「でもね、幻想郷の周りには結界が張ってある。それによって幻想郷の外のものは幻想郷に入れない。あんたの企みは不可能よ。しかもこんなことをしてただで済むと思わないことね!!」

「思ってないよ。ただで済むとも、不可能ともね。」

「覚悟が出来ているのね。じゃあ、早速…」

霊夢はスペルカードを準備する。

「霊符 夢想…」

「いいのかい?博麗の巫女。あの星屑は私が操っている。ここで私の集中を乱してあれが自由落下しようものなら破壊は出来ないかもしれないけど、ヒビくらい入ると思うよ。それでもいいなら、攻撃しなよ。」

不敵な笑みを浮かべ黒のワンピースの妖怪は言う。

さすがの霊夢も躊躇した。異変解決のために人里滅びました、では本末転倒である。

「霊夢。あの結界は内側からなら出ることが出来るのか?」

「さぁ?知らないわ。」

「じゃあ、やってみる価値はあるってことだな!」

魔理沙は箒を上に向け限界高度まで上がる。

「いくぜ!恋符 マスタースパーク!!!!!」

幻想郷でも指折りの破壊力を持つスペルカードが隕石に炸裂する。

「っっ…流石に粉砕は出来ないか……」

マスタースパークは隕石の表面に大きなクレーターを作るに留まった。

「どうすればいいんだよ、あんなの。」


「ふおぉぉ!!!幻想郷!やはりここは常識に囚われてはいけないのですね!!!」

響き渡る声を出して緑髪の少女・東風谷早苗が飛来する。

「霊夢さん!お久しぶりです!ところであれは何ですか?」

「隕石よ。」

「メャチャクチャやばいじゃないですか!!!」

「で、あれを呼び出してるやつを攻撃しようにも変なことすると結界にヒビが入るらしいのよねぇ………」

「紫様は…」

「冬眠。」

早苗はガックリと肩を落とす。


「お困りのようね。博麗の巫女。」

「妹連れてこい。」

「妹様はお眠りでございます。」

紅魔館の主・レミリア・スカーレットと従者・十六夜咲夜が現れた。

「面白いことになっているじゃない。」

「あれ?パチュリーはどうしたんだ?」

魔理沙が呟いた。

「あぁ、パチェなら日光でダウンしてるわ。」

「なんで吸血鬼より弱いんだよ………」


「力が必要なんだろう?こいつも使ってやれ。」

「神奈子様!」

片手に八咫烏を引っ提げ、やってきた。


「これだけいれば破壊できるかしら………」




「楽しそうだったね。あれ、もうすぐ落ちるよ。」


頭上から轟音が響く。

「咲夜!能力で着弾のタイミングを調整してちょうだい!」

「また、難しいことを言うわね……」

「うにゅ?あれを攻撃すればいいの?」

「みんな、やるわよ!!!」



「霊符 夢想封印!!」

「恋符 マスタースパーク!!」

「神槍 スピア・ザ・グングニル!!」

「開海 モーゼの奇跡!!」

「爆符 ギガフレア!!」


5人の一斉攻撃が隕石に着弾する。


「夢想転生!!!!」

「魔砲 ファイナルスパーク!!!!」

追加のスペルカードをもって隕石は粉砕された。


「あれいろんな素材を組み合わせて強化した星屑なんだけど………破壊できるんだ………」

塵香はポツリと呟いた。

「あんたの隕石は破壊したわ!さぁ、大人しく退治されなさい!」

「ちょっとだけ抵抗してみたり。『屑符 ダストアサルト』」

塵香の周りに細長い無数の弾幕が浮遊し飛散した。

「最後に弾幕ごっこと洒落込もうじゃないか!!」

「へへへ。やっぱり異変はこうでなくっちゃな!」

「やるわよ、魔理沙!」

「私もお供しますよ!」

「日光あるから無理。咲夜、遊んであげなさい。」

「承知しました。お嬢様。」

「うにゅ?」


塵香は楽しそうな表情を浮かべ、スペルカードを繰り出す。 

「捨符 古びた人形(アンティーク・ドール)

塵香の分身体が現れ、それぞれが弾幕を繰り出した。

「メイド秘技 殺人ドール!」

咲夜のスペルカードで分身体が消滅した。

「まだまだいくよ。『汚染 スプレッドスレッジ』」

塵香の辺り一帯に形容し難い色のもやが広がる。

「やらせませんよ!『開海 海が割れる日』!」

早苗がもやの拡散を防ぐ。

「塵符 ソルファーオキサイド」

淀んだ空気が広がる。

「へへ。全部吹き飛ばしてやるぜ!!!

『彗星 ブレイジングスター』!!!」

魔理沙の起こした風圧は塵香の作り出した空気を消し去った。

「最後だ!『屑符 星屑の(スターダスト・)煌めき(スパークル)』!」

塵香によって弩級の弾幕が形成される。

「ええ、これで最後ね。『霊符 夢想封印』!!」

霊夢の夢想封印は塵香の弾幕を貫いた。



「やっぱり、無理かぁ………」

ボロボロになった塵香はそうつぶやいた。



「これで異変解決ね!」 

「そうだな!」

霊夢と魔理沙は神社に到着するなりそう言った。そう言ってしまった。

「お!異変解決したのか?じゃあ宴会だな!!!みんなに知らせてくる!!!」

「萃香!?」

「聞かれちまったな。じゃ霊夢、後はよろしく…って、うおっ?!」

「一人だけ逃げられると思わないことね!」

さっさと飛び去ろうとした魔理沙の服を鷲掴みにして霊夢が言った。

「わかった!わかったから離してくれ、霊夢!」

「離したら逃げそうだから嫌。」

「そうか、そうか。魔理沙さんに離れてほしくないんだな。一緒に居てやるよ、霊夢!」

「はぁ?!そんなんじゃないわよ!」

霊夢は少し赤面した。

「ほほう。それはどうだか。」

魔理沙は満足げに霊夢を見回した。

「ていうか、ごみ処理が面倒なんだったらこの異変の首謀者にやらせればいいんじゃないか?」

「あら。魔理沙にしてはいい案じゃない。そうしましょうか。」

「おい!私にしてはってどういう意味だよ!」

「ほら、さっさと行くわよ!」


「2日連続なのにみんなよくこんなに盛り上がれるわね………」

霊夢は疲れた様子で酒を飲んでいた。

「ま、落ち込んでるよりいいじゃないか。」

隣に座る魔理沙が言った。

「そういえばあんた、隕石を破壊するとき私が2回攻撃するってなんで分かったの?」

「何年一緒にいると思ってんだよ。あのくらい簡単だぜ。」

「あんたってたまに気持ち悪いわよね。」

「おい!なんてこと言うんだ!私と霊夢の仲だろ!!」

「さ、呑みましょ。」

「はぐらかすなよ!」

「後片付けのことを考えなくて良い宴会っていいわねぇ。」

霊夢はちらっと塵香の方を見る。

「わかってますよ。巫女さん。」

「じゃ、よろしく〜」


こうして屑原塵香の起こした『屑隕異変(せついんいへん)』は幕を降ろした。

いかがでしたでしょうか。

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