巨大湖
上空から見ていると、巨大な黒い湖が見えた。
「あそこがチェックポイント?ほんとに?」
僕が尋ねると、イフェが、
「間違いないわ」
と言った。
人影が見えて、サイとキンチャだとわかった。それぞれの相棒の他の二人は離れて立っている。
「あそこへ行けますか?」
「行ってみましょう」
白い人が応えた。
「ロクサ、イフェ。無事だったか」
サイが言った。
「無事なもんか。満身創痍だよ!」
「イフェは、なぜ怪我一つしてないの?」
キンチャが青い顔で聞いた。
「キンチャ。イフェは異星人のアンドロイドなんだよ」
サイが諭すように言った。
「なんで知ってるんだ、サイ?」
「レースの相棒から聞いたんだ」
「じゃあ、じゃあ、私がしていたことはなんだったの!」
キンチャが取り乱して言った。彼女は腰のホルダーから銃を取り出すと、迷わずサイに照準を合わせる。
「重火器を使用してはなりません!」
白い人々が叫んだ。
キンチャは涙を流しながら
「サイ。私と一緒に死んで」
と言った。
「この湖は石油です。火気で爆発的に燃え上がる危険性があります!」
白い人々が言った。
石油?
「キンチャ。一緒に死ぬよりは、一緒に生きていこう」
サイがキンチャに微笑んだ。キンチャはその場にしゃがみこみ、銃を取り落とした。
「キンチャ。俺が悪かった。また一緒にやり直そう」
サイがキンチャに歩み寄り、キンチャは幸せそうに泣き笑いした。
「イフェ。チェックポイントにダイヤがあるはずじゃなかったのかい?」
僕が尋ねると
「隕石が落下して大穴ができて、周辺にダイヤができているはずだけれど、石油が湧いてダイヤを回収するのは困難みたいね」
とのことだった。
飛行艇でみんな送ってもらった。
レースはご破算。
でも上層部が異星人とやり取りして、この星のあり方が変わってゆきそうなそんな気配があった。
「そのう、サイ、キンチャ、イフェ。僕らこれからいい関係でいられるかな?」
「もちろん!」
みんなの笑顔が眩しかった。