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イフェの正体
痛みに目が覚めた。ちょっと動くと体中に激痛が走り、動くのを諦めた。
「イフェ?」
「待ってて、救援を呼ぶから」
「救援なんて来るのか?」
白い人々が、飛行艇でやってきて、僕は彼らに骨折した箇所を固定されて、運ばれた。
イフェは傷一つなかった。
「私はアンドロイドだから」
「参ったな。僕らの種族を見張ってたんだね?」
「まあ、近隣の星系から受け入れられる要素はあるから心配しないで」
白い人々が言った。
「イフェ。キンチャを許してやってくれ」
「ええ」
「イフェ。これは」
白い人がレース前にサイが僕らに渡したナビを持ってきた。
ジー、ガガガ。
「ロクサ、イフェ。そろそろレースで道に迷ってる頃だと思う。これまでバギーが走ってきた道をトレースしてあるから、これをもとに無事に戻ってくれ」
サイの声が再生された。
「イフェ。サイは本気で君のことを想ってるみたいだよ」
「でも私はアンドロイドだから」
キンチャもかわいそうなんだよ、と言えなかった。
「チェックポイントでダイヤを回収してから戻りましょう」
「できるの?」
「ええ」
飛行艇は渓谷を飛び越え、残りの行程をひとっ飛びで過ぎた。