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切り立った崖
渓谷地帯に差し掛かった。
高低差がかなりあり、落っこちたら一巻の終わりだと思った。
「ロクサ、イフェ!」
通信装置からキンチャの声がした。
「キンチャ、やりすぎだよ!君、いったいどうしちゃったんだい」
僕は呼びかけた。
「私は、みんなに復讐して、最後に笑うのよ!」
「なんでそんなに思いつめたんだ?」
「ロクサ!あんたも大嫌い!レースの相棒に私を選んでくれると思ってたのによりによってイフェを選ぶなんて!」
ああ!選択を間違ったのは僕なのか?
ががががが。
攻撃されて、メインのライトがやられた。
次はバギーの足元を崩される。僕らの乗ったバギーは大きく傾き、落下し始めた。
「アンカーを」
イフェが命綱を断崖にうちこんだ。
「なんで君はそんなに冷静なんだ?」
信じられず、僕はわめいた。
宙ぶらりんの僕らを置いて、キンチャたちは先へ進んだようだった。
じりじり崖をバギーは登り始めた。
しかし、アンカーが重みに耐えきれず、
「ロクサ!」
イフェが叫び、バギーは谷底へ落下していった。