スタート地点
「では、最後の参加者がここまで辿り着きましたので、レース本戦に参りたいと思います」
レース中継をするヘリコプターからアナウンスがあった。
「各自、食糧、武器、装備してください」
武器?聞いてないぞ。
「やあ、ロクサ。最新型のナビを贈るよ。くれぐれもイフェをよろしく」
「おいおい、サイ。キンチャが取り殺しそうな目で見てるぞ」
サイは大きくため息をついた。
「人のことより自分達のことを最優先してくれ。文字通り殺人レースになるかもしれん」
「おい、どういうことだ?」
「チェックポイントでダイヤの原石を拾って戻ってくるんだが、お互いに牽制して武器を使って良いことになっている」
「そんなの知ってたら参加しなかったぞ」
「イフェは言わなかったのか?」
「ああ。聞いてない」
何か彼女なりに思惑があるのか?
僕はイフェを完全には信じないでいようと思った。
イフェはレース用バギーにレーザー銃を取り付けていた。
「それを使うつもりかい?」
「いいえ。使わずにすめばいいわね」
夜間の道を照らす強力なライトをつけて、予備に念のため小型のライトもつけた。
食糧は一週間分。水もたっぷりとポリタンクに積んだ。
崖や谷があった場合には強力なチェーンのアンカーが発射できる仕組みだった。
「準備が整い次第出発してください」
次々とバギーが走り出した。
僕たちはもたもたしていたが、装備品に納得してから出発した。
「なにこれ?」
「サイが最新型のナビをくれた」
「……動いてないわよ」
「なにい?」
サイ、おまえ、どういうつもりだ?!