表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

化物は残ります。

静寂の後、今が好機とばかりに、ビィー、カイナ、女騎士は攻勢にでる。


ビィー「はぁ!!」

カイナ「やぁぁ!」

女騎士「ふっ!」


三人が一斉に、バラスに斬りかかる。

だが、黙っては殺られないバラスだ。腕で斬撃を受け止めながら、ビィーを蹴り飛ばす。

腐っても、ゴブリンの王だ。

立て続け様に、カイナの体を掴み、俺に目掛けてなげる。

女騎士も、片手剣で応戦するも、蹴り飛ばされる。


バラス「舐めるなよ!人間風情が!」


怒髪天を衝いたのであろうか、バラスから赤いオーラ?気?のようなものが見える。

魔物なら出来るのであろうか?やってみたいと思った。


バラス「ははは、人間共もう、容赦は出来んわ!バラバラに壊してやる!!」


女騎士「これは、王級が出せる魔気!!?やはりゴブリンの王だったのですね!?」


ビィー「おいおいおい!?王級って本当か!?長年旅人をやってきたが、見たことないぞ!?そんなもの!?こんな村を拠点とし、根城にするつもりだったのか!?こいつは!」


カイナ「王級?王ってゴブリンの王だったんですか!?

道理で、並のゴブリンより、格段に強いわけです。」


バラス「ハハハハ!そうだ!もう慈悲もなにもないぞ!これが出せるのは、限られたそんざ……え!?そんな…まさか!」


黒いオーラ?気?さっき魔気っていってたよな?黒と青が混ざった、魔気が俺の周りを漂わせる。

それこそ、バラスなんかより、大きい魔気が俺から湧き出てくる。


雪「こりゃぁ。けったいやな〜。やってみたら出来るもんやん。ただ、フン!って力で入れただけで出来るなんて、そこらの化物でも出来るんちゃうん?」


バラス「黒い魔気…呪の魔気ではないか!?それこそ、あの方と同じの…お許しください!殺さないで。お願いします。」


ビィーやカイナは、恐怖のあまり動けなくなる。

女騎士は、動こうとするが身体が拒絶反応をおこす。


女騎士「喉元に鎌を当てられてる感覚…まるで死神ですね。」


ビィー「もっと、厄介なのが、俺達と一緒に居た。騎士様だったとはな。小便チビリそうだぜ。」


カイナ「……///」


何故か、カイナは恐怖と羞恥心で動けなくなっていた。

緑のズボンの股ぐら辺りは濡れて黒くなっている。


雪「俺なりに、やらせてもらぉ〜かぁねー。

散々殺ったんや。殺り返される事もあるっちゅうことやのぉ。

覚悟しいや!」


勢いよく走り出し、体当たりを当てる

2mある巨体も吹き飛ばすほどの威力だ。立て続け様に、右腕を切り落とす。

特定の魚のヒレと同じだ。

危ないし毒のある魚は、まずヒレから落とす。

刺さると危ないし、抵抗されると怪我をする。

そのまま、左腕も切り落とし、左足、右足と切り落とす。


バラス「だずげ…で。

にんげんざま。おねがいじまず。」


涙ながらに懇願する、ゴブリンの王。

四肢を切断され、そこらのゴブリン達と同じ大きさになった。

首を持たれ泣き腫らす。


雪「おーめらも、同じ事したやろ?人間たちにそんな、人間に助け求めてどないするん?

のぅ?バラスちゃん?」


首筋に剣を当てる。生きてる魚でも、必死に抵抗するように

四肢の無いバラスは、体を弱々しく揺らす。


バラス「イヤダイヤダイヤダイヤダ!!おがぁざん!だずげで!」


雪「死ぬまぁえに、親に助け求めるんか?自分

ドアホの塊やがな。ほな、堪忍な。バラスちゃんよぉ。」


バラスは上に投げられ、雪は空中で、微塵切りにする。

木端微塵とはこのことだ。


雪「ふぅ〜。」


バラスの死体はバラバラになり、息絶えた。


ビィー「……うぉぉぉぉ!!」


ビィーが声を上げる。

それは、悲しみより喜びがある叫びだ。

これ以上村を壊されない、汚されない。

只々、敵を討った喜びだ、死んでいった仲間の為に叫んだのであろう。その、目端でカイナはホッとしていた。これ以上、犠牲が出ないことに。

たが…


女騎士「………今のは」


深く考え、物理法則を無視した斬撃。

呪い…気…バラスは怯えていた…色々な思考を巡らせる、女騎士である。


雪「終わったんやなぁ。さぁぁてぇ

後片付けやな。バラスちゃん達が散らかした物片付けんと……ん?」


ビィーが喜びを上げてる中、教会の近くに、大きな…それも炊き出し用の鍋より、二周り大きい鍋が見えた。

少し凹んでいるが、穴は相手はいないことを確認すると、教会近くに井戸を発見する、井戸まで歩く…その最中


カイナ「どこに行く?鎧」


後ろから、着いてくる、カイナ

今は勝った美酒に、喜び溢れていればいいものを

言葉が通じないなら、指で教えればいい。

指で、井戸を指し、鍋に指す

その意を理解した、カイナは


カイナ「鍋に湯沸かすのか?」


首を縦に振る。

そのまま、包丁を切る動作をすると、察してくれたのか。


カイナ「……待っていろ。」


カイナがボロボロの建物に入って行き、食材を取ってきた。


カイナ「お前料理できるのか?」


もう一度首を縦に振る。

カイナが、食材を取りに行っている間に、街の瓦礫で出来るだけ四角い物を4つ持ってきて、固定した。


女騎士「……」


女騎士は、自分の左腕の応急手当をしている時に、カイナ、雪の行動を見てか、静かに薪を集めだした。

倒壊した、家の柱であったであろう、大きいのから、境界付近に落ちていた、枯枝を用意し


ビィーは、器やスプーン・フォークを集めるついでに、生き残った、村人達を呼びに行ってくれた。

村人達の女性衆も、これから何が起きるかを察してくれた為、食材や調味料をも集めてくれて、フィーナが近くに来てくれた。


フィーナ「鎧さん!この包丁使ってください!」


魔物だと分かっていながら、笑顔で包丁を貸してくれた。

色々な準備ができていく中、少し返り血で汚れていることを思い出し、井戸水を組み上げ、頭から何度も被り、しっかりと手を洗う。

これ以上錆びないかが心配だが。

さあ、調理開始だ!


雪「約40人ぐらいかのぉ?まあ、鍋もんやし!湯を沸かしながら、食材切りつけよか!

にしても、フィーナだっけかー?えらい業モンやな、この包丁、見たことない、野菜がバシバシ切れるわぁ〜。

こんな包丁うちの店も欲しかったのぉ〜」


見たことない野菜、調味料もよくわからない、見たことないハーブや液体、唯一塩だけは岩塩だってことはわかった

舐めてみたいが、先程姿見鏡で確認したが、顔が無かった。

けど、試したくなるのが人間だ。試しに顔のあったであろう場所に塩を入れてみた。

味がした…むしろ食べている感触がある。凄く塩っぱい…

だが、嬉しかった。俺は次々に調味料を口のあった場所に入れていく。

醤油みたいな味の液体、唐辛子漬けの泡盛みたいな味の液体、魚醤、ニンニクオイル…色々調味料を試した結果、子どもでも老人でも、皆で心温まる優しい味付けにしようと思った。

鍋から出る、アクを頑張って取り、味付けをし終わり、器に持っていく。

一人一人に、俺から渡す。

化物でも良い奴だって思ってもらいたい下心もあったが、まずは、生き残ったことを喜んでほしかった。それだけだ。


女騎士「これは…美味しいですね。

疲れに効きます。」


ビィー「おいおい、騎士様。

こんな、美味いもの簡単に作れるのかよ。

神官騎士様じゃねぇけど、疲れに効く優しい味付けだな


カイナ「鎧………上手いぞ。」


フィーナ「鎧さん、お料理上手なんですね!とても美味しいです!」


村人達「上手い…上手いぞ。死んでいった奴らに食わせてやりたかった…」


男「何で…何でアイツは死んじまったんだ!

死ぬなら美味い飯食ってから死ねよ!世にも珍しいのによ!あんなに、憎んでいた…。

魔物に助けてもらえて、更には飯まで作る魔物だぞ!一目でも見たかよ!見てないならあの世で後悔しろ!俺等を置いて逝った馬鹿野郎ども!」


一番最初に助けた男が叫ぶ。

更に、皆が皆、口を開く。束の間の喜びもあれば沢山の悲しみもある。

残酷かもしれない、けれども死んだ人間は多かった。

仲良かったもの、恋仲になるはずだったもの、家族だった人達も、慕った部下達も…。

どんどん、おかわりしてくる村人、俺の料理でお腹いっぱいになってくれるなら、それでいい…にしても、味がわかって良かった。

これで、こんな悲しい雰囲気の中、不味いものが出来てたら、それこそ、切ないぞ…


雪「いんやぁ〜。こいつはどうしたもんかや〜。

言葉で励ましたくても励ませれんから、料理したんやが、逆に居た堪れんくなるわぁ。ん?」


雪の下に、小さい一人の子どもが寄ってくる。


女の子「鎧さん?パパとママはどこ?」


子ども家族親が死に一人だけ、生き残ってしまったのか?

居るだろうと、思っていた。

この子はいくつなのだろうか?

見たところ、5歳くらい?まあ、親が恋しくなる年齢でもある。

これから、この子はどうなるのだろうか?わからない。

誰かが引き取るのか、一人で暮らしていくのか?こんな瓦礫まみれになった、村で…目の前の子どもは、目に涙を堪えている。

静かに、跪き、彼女ぐらいの目線に合わせる。

両手を広げ、優しく抱きしめてあげた。

サビ臭くないか、血生臭くないか、そんな事を気にしているほど、余裕は無かった。


女の子「う…うぇ…ひっく…うぁぁん!!!」


ビィー「騎士様…」


カイナ「…」


女騎士「魔物が……ありえません。」


フィーナ「鎧さん…」


その光景が信じられないとばかりの、皆の視線

このアルセルアラバの世界では、魔物と人間は完全に別々で暮らしている。

どっかのゲームや物語みたいに、仲間になったりテイムなど、そんなものが存在しない世界である。

故に、その光景が異様であった。

むしろ、助けに来たことでさへ、気まぐれかと思われていたレベルだ。

魔物の生態など、あまりハッキリとはわかっては居ない為か、俺みたいな魔物も中には居る。

そんな認識しかされない。


雪「すまん…もっと早う来てれば、良かったんや。」


女騎士「どこに行かれるのですか?鎧さん」


女の子の頭に手を置き、指でクルクル周囲を指す


女騎士「親を探して差し上げるのですね。私も手伝います。」

女騎士 (目を離したら、何するか、分かりません。この存在が脅威になれば、正直今現状太刀打ちは、まず出来ませんもの。

今はとにかく、この鎧の情報を知らなくては、本国に報告出来ません。)


女の子が泣き止み、周囲を探しに行く。

父と母を探しに、手を繋ぎ、瓦礫が多い場所は抱き上げ探す。

その女の子の家であった場所まで行くと…


女の子「パパ…ママ…?」


家があった場所…瓦礫の下に手が見えた。

瓦礫を退かし、確認する…女の子の父と母であった。


女騎士「……」


静かに、十字を切る。

それが全てを意味をする…


女の子「鎧さん…パパとママが……うぅ…」


また、涙を流す。


雪「全ては救えへん。堪忍な…」


後ろから、また抱きしめて、頭を撫でる。

まだ、小さい子には、かなり厳しいほど残酷な現実。

この世に神が居るのであれば、ここまで残酷な試練…現実をこの子に付きつけるのかと、本気で思った。

あれから、どれだけ時間が経ったのであろうか。

ビィーが女騎士を呼びに来る。

亡骸を広場に集め、燃やすとの事だ。

皆が協力しあい、一人一人大切に運ばれていく。


ビィー「騎士様よ、あの子の父親と母親、一緒に運んでやってくれないか?」


雪「ああ…わーっとる。」


ビィーには、理解できない魔物の言葉だが、言葉の通じる珍しい魔物であると同時に、人間に害はなさない。

むしろ、協力的な魔物だと理解した。

魔物は喋る際、唸ったり鳴き喚いたり下品な笑い声で話す。


ビィー (だが、この騎士様はどれでもない。

まるで、俺たちと同じように鳴く?いや、喋るだな。

優しい魔物だろうか?だが、この騎士様はどこかで、見たことある。)


雪「ほたら…いこか。

お嬢ちゃん…オトンとオカン連れてくに。」


ハサハ「ハサハ…私の名前だよ…」


涙を流しながら名を告げる。

まるで、そう呼んでほしいと思ったからか。

その瞬間だけは、言葉がわかったように繋がった。


雪「そうか…ええ名前やな。

ほな、ハサハ、まずは、オトンから連れてくに…」


頭を撫でながら、ハサハの父や母の元へ連れて行く。

そして、父と母を広場に連れていき、最期の別れの時がきた…


ハサハ「パパ…ママ…何で、置いてくの…?ハサハ、良い子にしてたよ…?パパとママの言うとおり、逃げたんだよ。

また、後で一緒に…一緒に遊んでくれるって言ったのに…な、んで…」


亡骸達に日が灯る。

肉が焼ける臭いだが…全く心地の良くない臭いだ…

色々な人が泣く…叫ぶ…それは、当たり前だ。

こんな悲劇が起きなければ、いつもと変わらない笑顔、怒り顔、泣く顔、困り顔、色々な表情で明日を迎えられた人達が、亡くなる…無くなるのだ。

その人達の、時間が…。

フィーナの父…カイナの両親、弟…ビィーの息子達…

皆が亡くなった。

ハサハだけでは無いのだ。

ゴブリンキングが起こした悲劇は、二度と忘れられない記憶になるだろう。


雪「ん…?」


燃えていく人達の周りに小さな玉のような物が、泣く人々の元へ行く。

他の人は気づいていないのだろうか?

ふと、声がした。


???「娘を頼みます。」

???「私達はもう、娘と居ることが叶わないので…鎧の魔物さん…お願いします。」


雪「なんや…と…ハサハを育てろ、言うんか。

わぁった…子を育てたことはないが出来る限り、ええ子にするわ…せやから、安らかに、あの世で見守っとり。」


こうして、俺はこの村に残ることを決めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ