邪神、登場!
白い光に包まれたと思ったら、暗闇の空間が広がっていた。
どこまで続いているのかわからない暗闇。
一体何が起きた?
俺は朝目覚めて、作業着に着替えて欠伸を堪えながら出社するとこ…いやガッツリ欠伸はしていたな。
通勤中に白い光に包まれて…
ん?もしかしてこの現象は!?
異世界転移!?
「うるせえ!」
!?
誰だ?
いや待てよ…声がするって事は…いるんだな!?神s…
「黙れやインキャがぁ!!」
いや…俺の知ってる神様じゃないぞ…
こんな乱暴な口調なはずは無い…
そもそもここはどこなんだ?まさか、俺、死んじゃいないよな…?
「死んだんだよテメエは!!」
「え?」
「ホーリーバースト…上位聖魔法によって跡形も無く消し飛んだよテメエは!派手になぁ!!」
「え…」
「え…じゃねえんだよポンコツがぁ…!テメエは死んだ!因みにここは霊界でも三途の川でもなんでもねえ。邪界だ。想定外な死因の場合、魂はここへ流れる形になっている」
想定外の死…
つまり現代社会の日本で俺は、存在するはずの無い魔法…上級魔法で殺されたのか…
「苦労したぜ。聖魔法の習得は。最近おb…」
てか今気付いたけど心も読まr…
「そら読むもクソもねえだろうがよ!自分の体を見てみろ!…いや今は視線も動かせねえか。魂だからな」
言われてハッとする。
意識はあるのに何処かぼんやりしていて、あった筈の手足、いや五体全てがなくなっている感覚…そうか俺は本当に死んだんだ…
「あの邪神様、それで俺は誰に殺されたんですか?」
「俺だ」
「は?」
「だからさっきも言っただろうが。俺のホーリーバーストによって跡形も無く消し飛んだんだよ、テメエは」
「……いやいやいやいやおかしいでしょそれ。俺なんかしました?」
「…いや?」
「は?」
「ただ、」
「ただ?」
「普通にイラつくんだよ。テメエみたいなのはな。」
「だからって殺していいとはならんでしょ普通に!!」
「…まあならねえな?ただバレなきゃいいだけだ。バレねえうちにサクっとウチの世界に転生してもらおうって事だからな!!」
「ふざけんなよお前!」
「うるせえ!!死は希望だとかほざいてたなお前?望み通り死を堪能してもらうからなぁ!思う存分になぁ!」
「お前じゃ話になんねえ上司出せよ上司!」
「いるわけねえだろうが馬鹿が!大声を出しても無駄だからな!!ここは閉鎖された空間…誰にも干渉はできない」
「ああああああああああああああああああ」
「へっへ!ばーか!無駄だっつってんだろうが!さて、サクっと設定して地獄へ送ってやるよ!アンデットにとっては普通のことでも人間のお前にとっては地獄だろうがな!」
「アアアアアアアアアアアアアア!!!」
「往生際が悪いぞお前!!待ってろよお望み通りアンデットになってスローライフとやらを満喫してろやギャハハ!!」
俺の真下に魔法陣が形成される。
だが俺は必死に叫ぶ。
確かに俺は死を望んでいた。死は希望。救済。救われない者にとってそれは平等な幸福なんだ!
だからといってこんなふざけた奴に命を弄ばれるのは我慢ならない!
神にも法があるとわかった以上はこいつを見過ごすわけにはいかない!
悪あがきをさせてもらう!
無意味なのはわかっている。それでも俺は魂の叫びはやめない!
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魂は世界へと飛び立った。