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流れ星の下、公爵令嬢は華麗に。

作者: 社畜3年目

「シュガーこうしゃくれいじょう、まりー、わたしはきみとのこんやくをはきする!」


「それは、どういうことでしょうか?」


「はっ!きさまとのけっこんをやめるということだ!そんなこともわからんのか、このあくじょめ!」


「え!いやだよ。まりかはかいくんとけっこんするんだよ!」


「はい!そこまで、まりかー、セリフ違うよー。そこは、理由をお聞かせくださいますか?でしょ」


「えー、やだー。かいくんとけっこんするのー。」


また、セリフ間違ったよ、うちの娘。保育園のクリスマス会で劇をすることになって、主役になったと喜んでたのに、これは先生たちも大変そうだ。わが娘ながらすみません先生方。


クリスマス会で子どもたちと保護者による劇をやることになり、保護者はその他大勢役で参加するので、パーティ会場で踊る貴族たちの役に当たった私は、旦那と一緒にわが子に目を向けていた。


偽聖女にまんまと騙された王太子である第一王子が、真の聖女にして公爵令嬢の女性に、流れ星が流れる聖なる日に王族が主催するパーティーで婚約破棄を宣言し、公爵令嬢を断罪しようとするのだが、証言は全て嘘、証拠も全て偽物で、逆にざまあされて、公爵令嬢は本当に好きだった第三王子と結ばれるという話らしい。


悪役令嬢の断罪ものや、その逆パターンもアニメ化されてきてるけど、保育園の劇として教育的にいいのだろうか。


男子も女子もスーツやドレスを着るので、衣装係を作ろうかという話もあったんだけど、買った方が安いということで、あっさり買うことになった。演劇用とかだと安いのね。卒園式用のはそこそこするんだけど。


「まりー、きみは、せいじょのゆみーをかいだんからつきおとしてけがをさせようとしたな、みろ、このゆみーのあしのほうたいを!」


「えっ、それ、きのうみんなでこうえんにいったときに、ゆみがはしってこけたからじゃん」


「はーい、まりかー。先生の手に持ってる紙を見てー。セリフにそんなこと書いてないよー」


何という大根役者、親の顔が見たいよ。旦那はさっきから何ニヤニヤ見つめてるんだよ。だから、失敗しても緊張感がないんだよ。とりあえず、次のシーンのダンスの時に足を踏んで置くとしよう。


「まりーさま、つみをおみとめになって。そうすればかいんさまも、つみをかるくするようにいってくださるわ!」


うまいなゆみちゃん。ゆみちゃんのとこはお母さんが今日はどうしても休めなくて、旦那さんだけしか来てないけど、旦那さんが目を輝かせて、ゆみちゃんを見てる。


「はーい。みんな頑張ったねー。ちょっと休憩してから、続きするよー。お父さん、お母さんが方もどうぞ休憩なさってください。本日はどうもお忙しいところありがとうございます。」


おっ、休憩だ。足を踏み損なったのでとりあえず今、踏んでおこう。


「おかーさーん。まりかどうだったー?うまかったー?」


「うん。まりかは最高だよ!」


甘すぎるだろ旦那!


「かいくんは、ぜったいゆみちゃんにはわたさないんだー」


いかん、旦那がかいくんを睨み出した。


「うん。まりかよかったよー。でも、かいくんじゃないて、カインだからね。先生の持ってる紙をちゃんと見てよー。」


「うん!」


満面の笑顔のまりかの頭を撫でつつ、旦那の目線から、かいくんが見えないように、ポジショニングする。5歳児に圧かけんなよこいつ!


はあ、本番まで、まだまだ先は長そうだ。


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