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居候がもう一人



子ども用の服いい加減買ってこなきゃなぁ。


うちに来たときの服を洗って使いまわしてる子どもの姿を眺めつつ思う。ただの布だし身動きもままならないんじゃ。子どもって結構動き回るし。


私が無害なせいか逃げ道やら外から攻めてくるやつに対しての武器やらを求めて邸をぐるぐる。めっちゃ行動力の塊だ。すごいなぁ。私そこまでできないもの。


でも表に出るのどうし……



「お前さえ化け物に食われれば天候も良くなる!」


「んなわけあるかボケジジィ!!止めろ、離せええええ!」



あー?なんかこの騒がしい感じ、デジャヴ〜?



「ついに街の奴らが攻めてきたんでしょうか……」



ちょ、ステイステイステイ!子どもその1!それ火かき棒!武器にならないから!いや、スキを突けばなるかもしれないけど!ダメ!めっ!ステイ!


今日は普通の服だから首根っこを引っ掴んで押し留めて引き寄せ、ころりんと室内に転がして自分一人で様子を見に行こうとして子どもが出てきたら面倒だなと廊下にあった飾り台を扉の真ん前に置く。


これももちろん私の邸サイズだから大きい。


ちゃんと確認してきたら出してあげるからね。あれ?これ死亡フラグか?ん?


そんな一人漫才を心のうちでしてる最中も下は騒がしくなる。ああはいはい今行きますよー!



「ボアアオオオオオオオオオオオ!!!!!」



ない口を思いっきり開けて両手を前に前ならえのように突き出して。廊下と階段を一気に段飛ばしで降りて最短でエントランスホールに降りていくと物凄い悲鳴をあげて子どもその2と言い合いをしていた爺様は逃げ出していった。


今度の子どもはー?おおう、縄で縛られ芋虫状態の黒髪緑目のいかにも気の強そうな坊っちゃんとな。


これは子どもその1と気が合わなさそうで困るな。


邸で育てられるだろうか。いやその前に私をスキあらば殺しそうな目と口の悪さだ。


庇護してくれる化け物いないとこんなたいそうな邸で子どもだけで暮らせるわけないんだから、大人しくしなさい。


ギャーギャーなんか悪口言いまくるのを知らんふりして片手に握り開け放たれたままの玄関扉を閉めに行き、錠を下ろして子ども1を待たせている部屋へ。


一旦床に芋虫君を下ろして飾り台を退かす。その1の声が聞こえたからホーンと返事をして無事を示してから芋虫君を持って、扉を開けて。


いやーいい顔するね!子ども同士何か通じるものがあったりするのかな?



「おい!なんでガキが監禁されてんだ!やっぱりてめえが街のガキ喰ってんのか!」


「ハァ、また、ですか?」



って、思ったけど噛み合ってないね君たち。


誤解を解くのを子ども1に任せたまま私はふかふかの猫脚椅子に腰掛ける。


これでお茶でも飲んだら貴婦人ぽいなーなんて考えながらホーと一声漏らすが二人には聞こえないようだ。


あー……服どうしようか。服。服。私もそろそろ白の単純な作りのワンピースじゃないの着たいなぁ。おお?


白は変わらずフリル、レースのふんだんにあしらわれた貴婦人の普段着ワンピースなんて感じの服に早変わり。


いいねえ。こんなの着てみたかったんだよ。いかにも異世界の古びた邸の女主人って感じじゃないすか!奥さん!


鼻歌すら出そうなほどご機嫌でいるとガタンともう一脚あった椅子を倒して子ども1が私を指差し目を真ん丸にして口をぱくぱく。



「な、また!また変な力使いましたね?!どんな原理でそんな奇っ怪な術を!無駄遣いするなら僕の服も出してください!」



怒られてしまった。そりゃそうだよね。でも他人に出したことないし……。



「ホー……」



出ない、出ないよ多分。子ども服!くれ!って願ってもうんともすんとも言わないから私は鳴くしかないのだ。


そんな悲しげな声もずるいずるいの訴えにおされて私は渋々立ち上がり室内をうろうろ。


お風呂の時は浴槽に向かって出ろ出ろして出てきた。ならクローゼットとか引き出しに願えばいける?


そうして視線を一番近い引き出しに向け(目はないけど)子ども服子ども服出ろ出ろ。できれば子ども1にピッタリのサイズで色は何でもいいや。一着、二着、三着でもあれば着回しできるよね?出ろ出ろ、出てこい!



「ホー!」



やったー!引き出しを一つ開けると三着の上下セットの子ども服が!


私の喜び溢れる声に成功を悟ったのだろう。子ども1が2を放置して駆け寄ってきて同じように喜ぶ。


やればできるじゃないですか!とかさっきまでの態度が嘘のように私に抱きついてきた。おお、初めてここまで懐かれた!てへへ!お姉ちゃん嬉しいよ!


キャッキャッする私たちに約一名に怒りの声が飛ぶが無視だ無視。



今日は甘えん坊記念日だ!子ども1を可愛がりまくるからね〜!



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