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1-8 更なる高みへ【ザフール一行(1)】

 街から離れた草原で馬車に揺られながら、次の冒険に出向くパーティーがいた。

 ザフール一行だ。


「いやぁ、それにしてもついてるな」

「えぇ、またもやギルド長から直々にクエストを頂戴できるとは。信頼されている証でしょうね」


 リーダーのザフールが上機嫌にそういうと、僧侶のポペも頷く。

 ギルド長からの直接のクエストだ。

 Aランクパーティーになって早数年。

 その成果が実を結びつつあるのだ。


「しかも未開拓ダンジョンの探索ときた。腕が鳴るぜ」


 戦士のトルエンが意気込む。

 まるで子供のようなはしゃぎようだ。

 だが心躍るのも無理はない。

 なんていったって、あの未開拓ダンジョンなのだから。


 未開拓ダンジョン。

 それは誰しもが憧れる冒険の舞台だ。


 冒険者にとってダンジョンとは、いわば使い古された宝箱だ。

 宝がないわけではない。ただ何度も冒険者たちに入られたダンジョンからは大したものは手に入らないのだ。

 前回、ギルド長から直接依頼されたダンジョンの攻略も大したことはなかった。

 取ってくるようにお願いされていた依頼の花は手に入れられたが、それだけだ。

 その花も特に珍しくはなく、ダンジョンに潜れば普通に手にはいる。


 そんな風にいまいちな扱いをされているダンジョンだが、未開拓となると別だ。

 ごくまれにダンジョンは自然発生し、未開拓ダンジョンとして姿を現す。

 発生のメカニズムは解明されていないが、そんなことザフールたちには関係ない。

 彼らが関心を抱いているのは、未開拓ゆえ手つかずのまま眠っているはずの金銀財宝、それにマジックアイテムだ。


「マジックアイテムか……見つけたらどうする、売り払うか?」

「なに馬鹿なこと言ってるの。勿論、私たちが使うのよ」


 愚かな提案をするトルエンを、魔法使いのマギシアがたしなめる。

 マジックアイテムは一生に一度お目にかかるかどうかの代物だ。

 無論、売り払えば莫大な金が手に入るが、冒険者たるもの、使ってこそだろう。

 強力なものならば、Sランクになるのも夢ではない。


 そんな事情で絶好調の彼らだが、実はもう一つ理由がある。

 長年の悩みが解決したばかりなのだ。


「運が向いてきたのはキエルを追い出したおかげかもね」


 マギシアが核心に触れる。

 そう、キエルの追放が上手くいったのだ。

 パーティー内に人を馬鹿にする雰囲気が流れる。


「それにしても昨日のキエルの姿を思い出すと、まだ笑ってしまいますよ。ははは」

「血の気がサーってひいてな、あれでもAランク冒険者なのかよ」

「バカなことを言うな、トルエン。あいつは冒険者でもなんでもねぇ。ただのホラ吹きだ」

「がはは、そうだな」


 ポペとトルエンの笑いにつられて、ザフールも思い出し笑いをしてしまう。

 キエルを追い出したあの夜は最高の見世物だった。

 最後まで特別な眼だと、ホラを吹いていたキエル。

 少し殺気を当てただけで、血相を変えて逃げる様は、道化師顔負けの滑稽ぶりだった。

 これで笑うなというほうが無理な話だった。


(少し殺気を読み取れるだけのカスの分際で)


 今までそれを特別な眼がなんだと、騙してきたのだろう。

 それぐらい一端の冒険者なら誰だってできるのだ。

 そんな詐欺師を追い出すことができ、ザフールは清々としていた。


「それにしてもあいつ、あんなに金を溜め込んでたなんてな」

「えぇ、全くですよ。いつも古臭い装備だと思っていましたが。あのようなことをしていたとは驚きですよ」


 キエルの話はまだ続く。

 トルエンとポペは昨日見つけたキエルの財産のことを嬉しそうに言い合う。


「まぁね……」


 喜ぶ二人に反して、マギシアは曖昧(あいまい)に相槌を打っていた。


「マギシア、まだ引きずっているのか。みんなで決めたことじゃないか」

「分かってるわよ」


 ザフールに分かっているといいつつも、マギシアの表情にはまだ迷いが残っていた。

 キエルの財産を取り上げた件がまだ納得できていないようだった。

 何を馬鹿なことで悩んでいるのだとザフールは思う。

 だいたい、元はといえばマギシアの発言が事の発端なのだ。


 キエルが逃げ去った後、ひとしきり笑い終わったマギシアが落ち込んでいるキエルの様子を見に行こうと提案したのだ。

 それは面白そうだと思い、ザフールたちは早速キエルが泊っている宿の様子を見に行った。

 すると装備も何もかも置きっぱなしで、もぬけの殻だったのだ。


「装備を置きっぱなしにするとは冒険者の風上にも置けない奴だ」


 装備に愛着があるトルエンはあからさまに軽蔑の声を上げた。

 そんな空気だ、自然と装備や財産を取り上げる話につながるのも無理はなかった。


「まぁ今まで甘い汁を吸っていたのですから、それの恩返しだと思って頂くことにしましょう」


 ポペの言葉にザフールも同意する中、マギシアだけは神妙な顔をしていた。

 もっとも、その後何も言うことはなかったが。

 だが今の様子を見る限り、わずかながら後悔をしているようだった。


「どうしたんだよ。マギシア。あいつだって、俺たちの役にたってうれしく思ってるはずだぜぇ」

「別に何とも思ってないわよ。それより、道はあっているのかしら! キエルがいないから間違えたとか言い訳しないように、しっかり確認しなさいよ!」

「ああ!? 馬鹿にしてんのか。てめぇ」


 トルエンとマギシアが口喧嘩を始めそうになる。

 若干不穏な空気が流れる。


「まぁまぁ。お二人とも落ち着いて。すでに終わったことです。あの役立たずの財産はすべて売却済み。装備を新調できて、万々歳ではないですか。そんなことより、今は未開拓ダンジョンに向けて集中しましょう」


 ポペが間に入り、仲裁に入る。

 彼の言う通り、ザフール一行の装備はすべて新品だった。キエルの装備含めてすべてを売り、それを元手に買い替えたのだ。


「…………」

「ふんっ」


 勿論マギシアの装備も新しい、彼女がこれ以上とやかく言える立場ではないのは明らかだ。

 自分でもわかっているのか黙る。

 そんな彼女の様子を見て、トルエンもひとまず溜飲が下がったようだ。

 ポペが安堵のため息をつく。


 ザフールはというと彼らのやり取りを話半分に聞いていた。

 彼にとってキエルは笑うべき対象ではあるものの、悩んだり話題にあげたりする存在ではすでになくなっていた。

 脳内にあるのは今後、自分たちがつかみ取ることのできる輝かしい未来だけだった。


(ようやくキエルがいなくなり、重荷が消えたんだ。戦闘に特化した俺たちなら、更なる高みを目指せる。これからが俺たちの本当の冒険なんだ)


 思わずニヤリと笑ってしまう。

 ダンジョンに到着するのが待ちきれなかった。

 ガタンゴトンと馬車は目的地に進んでいく。

「面白いじゃあないか!」「続きが楽しみー!」


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