ゼノギアス 〜はるかに遠きアニメの形見は〜
このゼノギアス。発売時期の関係からよく元ネタに「新世紀エヴァンゲリオン」の名が囁かれます。それは筆者も否定しません。世界観とかは全然似てないんだけど、出てくるワードや雰囲気とかがクリソツです。元ネタというか、あえて意識したというべきでしょうか。当時のブームに乗ったと言えなくもありません。
ガゼル法院がワケ分かんない会話を交わすシーンなんか、まんまエヴァのゼーレが話し合ってるシーンだし、神と巨大ロボットがリンクするシナリオもほぼ同じです。謎の組織の暗躍や陰謀論や聖書や予言をストーリの随所に仕込んでるのも共通してます。意味深なセリフ回しや正体不明のギミックなんかもそっくりです。これは恐らく確信犯でしょう。
もちろん、だからといって本作の評価を落とす理由には全くなるものではありません。ただ、元ネタはエヴァにとどまらず、古典的な名作SFから名前を引用してたり、かなりマイナーなロボットアニメからもネタを引っ張ってたりと、それこそコアなマニアなら思わずニヤリとするネタが多数仕込まれているらしいので、この作品は元ネタを探す楽しみ方も多分にオフィシャルなのでしょう。筆者も個人的に「機動武闘伝Gガンダム」のエッセンスをビシバシ感じます。
ただ、エヴァは作品として有名なのでよく引き合いに出されるのでしょうね。実は筆者は本作をプレイした数年後にエヴァを視聴したのですが、当時言われてたほど似てるとも思いませんでした。これは多分、演出とか、見せ方を似せてるだけであって、物語の核とかテーマといったものが全然別物だからでしょう。
筆者が感じたところ、これは元ネタなんかじゃなくて、パロだなと思いました。見せ方を当時の人気作、エヴァにあえて似せることによって、当時のブームに乗っかったというか、ブームに乗ってたユーザーの心理をちょっとくすぐった、程度のものだと思います。パロ好きな筆者にしてみればむしろよくやったもんだと感心したもんです。
それよりも、本作が後の作品に与えた影響の方がずっと大きいでしょう。
よく「エヴァ以降」なんて言葉を聞きますが、ゼノ以降もかなりあると筆者は思ってます。実際、本作以降のサブカル作品でかなり本作を意識してると思われるものは結構見ます。あえてタイトルは言いませんが、かなりメジャーな作品にも思い当たるものがあります。それほど本作の影響力が大きかったんだと思いますし、実際にはそうじゃなかったとしても、受け手である筆者自身がそう感じてしまうということは、それだけ本作のイメージが強く植え付けられたことの証左でしょう。