ゼノギアス 〜すべての演出にして楽曲なるもの〜
それと本作は物語終盤、ディスク2枚目に突入すると、いきなりノベルゲームみたいになる! なんてイジられてるのを散見します。筆者も最初は戸惑ったクチです。が、エンディングを見ればその仕様も納得です。物語が佳境に入れば入るほど、あの演出が生きてくるのです。もしかすると制作サイドは本作をそれこそノベルかADVでやりたかったんじゃないでしょうか。もしそうなら全てを融合させた神仕様と言うべきでしょう。ノベルっぽいパートが終わった後は再び世界を自由に回れるわけですから。
その後で見られるエメラダ絡みのイベントも泣けるんだこれが。そしてまた自由に回れるようになった世界は1枚目のディスクとはかなり様変わりしてます。なにしろ世界が滅亡の危機に瀕してるわけですから。そういう理由もあって、ノベルパートを入れざるを得なかったのでしょうね。でも、演出として成功してるのですから無問題です。大体、世界中の人間が化け物になっていくなんて展開、RPGでやられたらトラウマもんです。それ実際にやっちゃったら回収騒ぎになってたんじゃないでしょうかね。ま、勝手な思い込みですけど。
これらのストーリーを盛り上げるBGMも名曲揃い。見せ場にはハズレのない名曲を入れてくるので否が応でも盛り上がります。もちろん、イベントシーンだけでなくフィールドBGMもいい曲が揃ってる。曲を思い出しただけでも名場面が蘇って泣けたりするほどです。これらの楽曲をピッタリな場面に持ってくる製作陣のセンスの良さが窺えます。これって映画とか、映像作品でも重要な部分なんでしょうが、本作はゲームだけど、そこもかなり重視していると感じます。いや、世のゲームがBGMを軽視してると言いたいわけではないのですが。
しかしこのゲーム、なんと一番最初のイベントにエンディング曲をぶっ込んでるんですよね。シタン先生が遺跡のオルゴールを復元して、その曲を聞いたフェイが既視感を覚える、というシーンなんだけど、このオルゴールがフェイの過去と関連するアイテムで、終盤でその真相が分かるという凝った仕掛け。
で、エンディング曲を聞いてると、どっかで聞いた曲なわけです。まあ、空中戦艦のBGMがアレンジバージョンなのでそれもそうなのですが、他にも聞いたことがあるな、と。それでまた最初からプレイしなおした時、初めてこのイベントで流れるオルゴールの曲が本作のエンディングテーマだと分かるという凄まじい演出! これ知ったとき、製作陣はどこまで計算ずくなんだと驚愕したもんです。
ここまでBGMにこだわったゲームというのも、筆者の記憶には他にありません。