ゼノギアス 〜作り手のみぞ知る〜
これはあくまで筆者の邪推なのですが、この「異様に長いラスボス戦」仕様は、ひょっとするとストーリーの盛り上がりに欠けるから、あえて長くして難易度も上げて、プレイヤーを無理やり感動させようという魂胆なのではないでしょうか? なんの根拠もない憶測に過ぎませんが、もしそうであればクリエイターにあるまじき妥協です。
ストーリーが素晴らしければ、感動できるのなら、アッサリめのラスボス戦は拍子抜けどころか、ユーザーに何度も感動をリフレインさせることのできる親切設計です。
事実、本作は数ターンで勝負がつくし、何ターンも引っ張ってりゃラスボスが自爆して無理やり勝てる仕様になってます。筆者は大いに支持します。
どんな大作でもクリアできなきゃ遊んだとは言い難いし評価も出来ません。少なくとも筆者はそう考えてます。翻ってプレイヤーのモチベーションをクリアまで維持できないようなゲームなら、それは語ることもできない作品だと言わざるを得ません。この、プレイヤーがクリアできるかできないか、は、筆者にとってはゲームの大きな評価基準のひとつなのです。
それを考えると本作の仕様は非常に正しい。エンディングまで60時間超はかかる大作ですが、ラスボスまで辿り着ければ誰でもエンディングは拝めます。見たければ何度だって繰り返し見れます。何度でも感動の余韻に浸ることができるのです。
この「無理矢理でも勝てるラスボス戦」仕様は、ひとえに制作サイドの自信の現れでしょう。プレイする者を皆、感動の渦に巻き込む自信があったからこそ、誰でも勝てる、手軽にできるラスボス戦仕様に違いないのです。
それはゲームのシステムにも見られます。本作はRPGでありがちな、レベル上げの必要があまりありません。ストーリーを進めるうちに勝手に上がっていくバランス。あるゲーム誌のレビューに、「ADVをやってる感じがした」みたいなのが載ってた記憶がありますが(定かではありませんが)、これはそういう仕様なんだな、と、かなり後になって気付きました。
そういうRPG的作業を廃したのも、本作はストーリーを楽しむゲームなのだということが理解できます。
まあ、超必殺技を習得するために作業を迫られたりもするのですが、このへんは大人の事情でしょう。
そういえばラスボス戦の後にもう一回バトルがあったけど、こちらはイベントバトルの意味合いが強いし、こっちも簡単に勝てるのでカウントしてません。実際、あのバトルって、意味があるのかも筆者にはよくわかんなかったし。