説明しよう
この世界にはスキルというものが存在する。その中でスキルは三つに分けられる。
一つは、その種族が持つ潜在能力、これを種族能力という。これはその種族だけが持っているので他種族には使えない。つまり、人間族は龍のブレスを吐けない。ちなみに、ハーフの種族はどうなるのかというとハーフは生まれない。これはどうにもならない、【世界の理】で出来ない様になってる。
【世界の理】は一種の防衛システムである。神様は皆が仲良く暮らす世界を創ろうと思ったんだが、残念ながら他種族で争うようになってしまった。何をやっているんだろうか、皆で静かに寝れば済む話だ。代表的な例は魔人族と人間族だ。だが、神様はどの種族にも滅んでほしくなかったので、【世界の理】を作り、その中に【勇者】と【魔王】を作った。ちなみに、【魔王】と【勇者】どっちが勝つかは【世界の理】がどっちが勝てば種族の均衡が崩れないかを予測しより被害が少ない方を勝たせる。つまり、「まだ俺は負けるわけにはいかない!」「何!貴様なぜまだ戦える!?」「うおおおお!」「ぬわーー!!」なんてこともあるのだ。たとえ勇者が魔王の圧倒的な力によって灰になっていても魔王を倒すのが一番被害が少なかったら【世界の理】によって魔王は倒されるのだ。ちなみに【世界の理】でハーフが禁止されているのは種族能力の設定とかが面倒でいっそのこと禁止にしてしまえ!だそうだ。酷くいい加減だがそんなんで神様やっていけるのだろうか。
もう一つは固有能力というものだ。これは、完全にその者の持つ才能であり他者に真似することはできない。つまりは、【走者】というスキルを持てば、そいつには走る才能があり、固有能力のおかげで走ることに関しては一流になる。たとえ、魚が【走者】を持ってもそいつは天性の走り屋なのだ。異論は認められないのである。
最後に努力能力という。これは、万物に平等に与えられるスキルだ。魔法や技能もこれに入る。つまり、この世界は努力すれば誰でも雷を斬れたり、空を飛んだり、超高密度のエネルギー砲によって跡形もなく相手を消し飛ばすことができるのだ。それが石であっても生物であっても変わらないのである。特に人間族は努力第一だ。元々が貧弱な人間族は努力能力によって強くなるしかないのである。種族能力が解放されればその分人間族はすごいことになる。元々が全てにおいて他種族に劣っているせいか、人間族の種族能力はすごいことになっているのだ。解放されればの話だが。
俺の種族は悪魔だ。【暴食】だとか【色欲】だとか色々あるが種族的には『悪魔』っていう一括りだ。まあ例えば、悪魔は自分の欲望などを満たすことで強くなるので、欲望を満たそうと色々考える。そのおかげで悪魔は頭がいいのである。より効率を上げるために【並列思考】なんてのもある。
後は、悪魔は魔法が得意だ。スピリチュアルな世界の住人である悪魔はイメージ的には凄い神秘的な魔法は使いやすくなっている。というか、スピリチュアルな世界の奴はマテリアルな世界の奴らにとって反則だ。なんたって物理攻撃が効かない。そりゃまあそうだろう。精神に剣を振って攻撃できるかって言われればできない。まあ魔法は効くんだが、それでも魔法はスピリチュアルな奴らの得意分野なので分が悪いだろう。
俺の固有能力は【怠惰】だ。その名の通りぐーたらしてればどんどん俺の【怠惰】は進化する。そして【怠惰】はぐーたらするためのスキルだ。例えば硬くなる。眠りを邪魔されることのないようにどんどん耐性を上げていく。スキルも常時発動系と能動系に別れるが、【怠惰】はそんな中で常時発動系のスキルが多い。【怠惰】には攻撃的なスキルは少ない。そりゃあ攻撃なんてしなくても怠惰でいれるだろう。だから攻撃的なスキルはないに等しい。ただ、攻撃に応用できるスキルはある。自分が動かなくてもものとかをとれるようにサイコキネシスとかもできるし、自分が動かなくても瞬時に移動できるようにテレポートとかもある。
つまり【怠惰】は怠惰に生きるためにある。そんな俺には他の奴らがどうやっても理解出来なかった。元々俺は何もしたくなかった。なぜ皆そんなに動くんだろう。そんな風にアクション映画みたいに動く必要はないというのに。その思いは転生してからさらに強くなった。なぜ皆静かにして眠れないのだろうか。ぐだーっとしてるだけで力は手に入るというのに。友人に念会話で話をしたところ、それは彼らの存在意義だそうだ。ただ【傲慢】に【強欲】に【嫉妬】し【憤怒】し【色欲】に【暴食】し【怠惰】に生きる。
そういうものらしい