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人違い勇者でも世界を救えるっ!!  作者: リア(Lea)
第一章
6/13

ついに俺TUEEE!

ユリアが正式なパーティーメンバーになってから早くも三週間と三日。俺は目標のレベル10になっていた。


「俺はもうレベル10なんだが、ユリアはあとどのくらいかかりそう?」


「多分あと四日くらいにはレベル10」


ここ三週間半で分かったことといえば、彼女の正確だ。普段はクールだが、たまに熱心なところがあって、かなり可愛い性格をしている。


「四日かー・・・その間に俺がレベル11になるかもよ」


冗談で言ったのだがユリアは本気にしたらしく、


「・・・私がレベル10になるのが先」


と対抗した。


「じゃあ、どちらが先にレベルアップするか勝負だ。勝った方は次のクエストを選べる権利を進呈しよう」


「ん。負けない」


「あと、ユリアさん」


「なに?」


「あのリン・カルシスターからもらったステータスについての説明書にレベル11からはステータスユニークアップって書いてあるんだけど」


説明書によるとレベル10まではステータス準備期間で、レベル11から本格的にステータスアップが開始される。と書いてある。が、これが何なのかわからないのでユリアに聞いてみたということだ。快くユリアは答えてくれた。


「レベル11からは全てのステータスアップ値、レベルアップ必要経験値が人によって変わる。主に強敵を倒すことで増える値が大きくなる。ステータスアップポイントは変わらず五つだけど」


「分かった。ありがとう。そんじゃ勝負だ」


クエストはゴブリンナイトの討伐。ゴブリンの城が発見されて攻略しようと思ったらそのゴブリンナイトが出てきて、攻略の邪魔になったから殲滅してほしいと書いてある。(取り巻き倒せないのに攻略は無理じゃないか、とは言わないでおく。)数は視認した限りでは二十はいたという。武装は片手曲剣片刃のいわゆるシミターと五角形の盾らしい。

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「おおー!城ってこんなにでかいのか」


「もう近づけばゴブリン達に見つかる」


「わかってるよ。とりあえず俺が突っ込むからお前は魔法バシバシ撃ってくれ」


「そうやって自分が経験値多く入るようにする魂胆?」


む!?なぜバレたし!?


「まあ、そういうことで。じゃあ!」


と言い残して俺はゴブリンのいる方向に突っ込んだ。ユリアは納得できない顔でこちらを見ていた。

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「グジャァァァ!!」


当然見つかり不特定多数のゴブリンに見られる。そのうちの一体が俺に盾を向けた。もちろん想定済みだ。俺は剣を肩に担いでジャンプした。


斜め切り スタンオーバー


これはノックバック効果もあり、スタン効果もある非常に有用な技である。もちろんこの世界ではノックバックもスタンも絶対に起こるわけではないが。だが、仰け反りくらいは発生する。


案の定、盾持ちゴブリンはよろけた。俺は毎回、毎回貴重なポイントを筋力に3も使った。これくらい発生して当然だ。そして俺の鍛えられた器用さによって綺麗に腕を切り落とす。それを見たゴブリン達が全員で攻撃してくる。


「いや、流石に無理があるだろッ!!」


俺は逃走した。さっき呟いた通りこれは無理がある。俺一人であればの話だが。


「エレクトリカル・アロー」


青いスパークがゴブリン達の剣と盾に流れる。それだけで十分だった。ゴブリン達はRPGでいう麻痺状態になった。そこに俺がゴブリン達の首や足を斬る。


「バッシャァァ!」


という音を出しながら息を引き取るゴブリン達をグロイの苦手な人が見たら絶対吐くであろう。俺はそういうのを気にしないが。飛びかかる血を浴びながら無言で斬っていく。

----------------------------------------------------


「ざっとこんなもんか」


ゴブリン達、三十匹程を先程の方法で倒していきユリアはレベル10になった。


「リュウヤは?」


「俺のレベルか?ちょっと待ってろ。・・・レベル10か。お前の勝ちだな」


俺はあと692EXP必要だった。ユリアはドヤ顔だった。俺はため息をつきながらウィンドウを閉じようとした。のだが、


「ん?リュウヤなに?この固有スキル?」


「はい?」


俺のウィンドウはパーティーメンバーのみ解読可能にしてある。故にいまユリアが俺のステータスを見れているのは不思議ではない。だが俺にスキルは無い。


「これこれ」


それなのに、見てみるとあるじゃないですか。


「・・・はあ?」


スキル名は無限加工と言うらしい。内容は、

『自分に触れていればどんな物質(気体、液体、個体問わず)も自分の思い浮かべた形に変形、圧縮強化させることができる。また、物体と物体を分裂させることができ、逆に物体と物体を合成させることができる。ただ、加工するものが硬ければ硬いほど加工時間が長くなり、大きければ大きいほど加工時間が長くなる。これらは熟練度を上げるほど短縮される。筋力が高いほど硬い物質を加工しやすく、器用さが高いほど精密に加工でき、大きいものを加工しやすい。また、加工する物の大きさ、面積、体積、質量が分かる。』

というものだった。


「本当になんでも加工できるなら結構なレアスキル」


そうなんですか。


「でも俺、いちおう剣士なんですが。職人スキルはいらないと思うんですが」


そう。俺はこの世界でいちおう剣士なのだ。故にこのスキルは必要ない。むしろなぜこの様なスキルが発現したのだ。もっと英雄らしいスキルをくれ。例えば武器に光属性を付与するとか。


「使い道ならあるじゃん」


ユリアが言った。


「何に?」


「自分で武器を作れる」


「・・・なるほど。確かにそうだ。今まで俺は何を見てきた。漫画やアニメ、ラノベ等多くの異世界召喚物語を見てきたではないか。大体、俺TUEEE系ジャンルでは多くの主人公達が自分で拳銃などを作っていたではないか。そうだ、俺もそれに習えばいい。拳銃やアサルトライフル、弾丸の構造は分かっている。なら作らないという選択肢は無い。俺も俺TUEEE系の第一歩を踏み出していいはずだ・・・」


「何いってんの?リュウヤ、キモいよ」


こうして俺の拳銃の作成作戦が始まった。

----------------------------------------------------


「金は十分にある。素材屋や鍛冶屋に行けばなんかあるかもしれない」


まずはプラスチックだ。この世界にあるかは知らんが、とりあえず素材屋に行くことにした。ちなみにユリアは、リュウヤが何やるのか分からないから今日は宿でゆっくり読書でもする、と言って宿にこもった。


その素材屋は移動ができるのか、タイヤが着いていた。


(なんか、凄い店だな。)


「すみませーん。プラスチックってここにありますか?」


「あるよ、さっき入荷したばかりだよ」


良かった。この世界にもプラスチックが存在して。

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無事、プラスチックを手に入れた。ついでに鉄と鉛と銅と布も買っておいた。次は火薬だが、


「すみません」


「はい。何だい?」


速い。音速並みに速い。


「火薬ってあります?」


「火薬だね。もちろんあるよ」


良かった。火薬もあるらしいな。


「これだね。これが、点火用の火薬。これが爆発用の火薬だよ。右から燃焼速度が早い順になっていて、遅いほうが爆発力があるよ。もちろん全部コーティング済みだよ」


なるほど。種類豊富だな。とりあえず実験なので一番速い燃焼速度の物を買う。


「君、結構買うね。今買ったので何するつもりかな?」


「まあ、ちょっとね。完成したら話してもいい」


「気になるなあ。まあ、爆弾とか作らなければいいか」


「別に爆弾を作るつもりはない。新しい武器を作るんだ」


「へえ、面白そうだな。次あったときに見せてくれよ」


「ああ、分かったよ」


店員さんと謎の友情関係が生まれた。

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フィールドに出て森に入る。モンスターはとりあえず蹴散らしておく。


「さあ、始めるか」


まずは拳銃の形。思い浮かべるはグロック17のようなセミオートマチック・ハンドガン。中身も構造もしっかり作る。するとプラスチックと鉄が光った。それがどんどん拳銃の形に変化する。光が消え、そこには拳銃があった。まさにグロック17の形で。


「凄いな。これが異世界ファンタジー」


確かグロック17の弾丸は9mmパラベラムっていうやつだったはずだ。だが見たことは無いのでグロック17の口径を大きくして威力の強い弾丸を打ち出せるようにしよう。


10.5mmくらいにしたら次は弾丸だ。まず鉄で空薬莢を作る。雷管、フラッシュホールもちゃんと作る。弾丸本体は鉛を変形させ、その周りを銅で覆う。空薬莢の中に火薬を入れ、弾丸を入れる。あとは加工で弾丸と薬莢の間を埋める。これで完成。マガジンも作り試射してみる。もちろん木を狙って。


「パアァァン!」


と発泡音を出しながら弾丸が飛んで木に命中。命中精度は問題ないようだ。


「おっしゃ!完成!」


あとはマガジンと弾丸を大量に作り宿に帰る。

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宿に帰り、余った素材を置く。それからマガジンをしまうためのケースと拳銃のホルスターを布で作る。布を買ったのはそのためだ。マガジン七個入るケースを作り、素材屋へ。


「こんにちはー」


「おお、さっきの人か。早いな。もうできたのか?」


俺はうなずき、


「おう、これだ」


俺は拳銃を見せる。


「なんだこれ?」


店員さんは不思議そうに拳銃を見た。


「これは火薬の爆発力を使って弾を猛スピードで飛ばすことができるものだ」


店員さんは驚きこちらを見る。


「なに!?その小さいのが大砲?」


「まあ、それに似たものだ」


俺はドヤ顔しながら言う。店員さんは感心したようにこちらを見る。


「へえ、すごいなあ。これが大砲とは。名前はなんていうんだ?」


「名前か?名前は・・・」


そういや名前をつけていなかった。12mmパラベラム(仮)だからグロック17ではない。ええと、とりあえず『Ballet 001』にしておこう。


「バレット001って言うんだ」


「へぇ、カッコいいな」


「だろ?まあ、弾丸の材料がなくなったらまたここに来るよ」


「ああ、そのときは色々買っていくといい」

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「入るぞー、ユリア」


ノックをしてユリアの部屋に入る。


「・・・なに?」


「ふっふっふ、見るがいい、この新兵器をッ!」


「それがリュウヤのいう拳銃ですか?」


「そうだ。これは弾を火薬の爆発力を利用して猛スピードで・・・」


先程と同じ説明をしたらユリアは今まで見たこと無い驚きを見せた。


「その小さいのが大砲!?そんな兵器どこから・・・」


だが表情は結構クールだった。まあ今までもそうだったが。


「作ったの。さっきも言ったっでしょう」


「・・・」


ユリアは唖然した。


「と、とりあえずこれで狩りが楽になる」


「・・・まって」


「なんだ?」


「遠距離攻撃係は私だから」


「お、おう。そうだ。こいつはあくまでサブウェポンだ。今まで通り剣をメインに戦うぞ」


「ならいい」


ユリアは安心したように言った。ユリアはポジションを取られたくないらしい。


「それはそうと、明日のクエストどうすんの?」


「ゴブリンの城の攻略」


「まじか。あそこまで行くの辛いんよな」


「でも行く」


「はいはい。約束だからな。ちゃんと守るよ」

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次の日


「いやー、疲れたッ!」


ゴブリン城に到着したときはめちゃくちゃ疲れていた。


「ここで疲れてたら攻略無理だよ?」


「わーってるよ。大体ここの攻略とかどっかの強い人とかがやるもんじゃないの?」


「その強い人はもう先の街に行ってる」


「そうか、ならこのクエストって難易度どんくらい?」


「上級」


・・・馬鹿ユリア。


「大丈夫。なんとかなる」


「いや、ユリアさん。なんとかならなかったらどうすんの?俺らの人生ここで途絶えるよ。悔いはあるからね」


「大丈夫なんとかなる」


だからなんとかならなかったらどうすんの、って話ですが?


「とりあえず中に入ろう」


「はあ、了解」


ため息をつきながら中に入る。

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「意外と綺麗だな。てっきり俺は、石畳の間から草が生えてたり、壁が崩れかけてたりするものかと」


それがRPGの常だったし。ということは口にせずに周りを見渡す。本当に綺麗だ。見とれてしまう。


「多分この城の最上階にボスがいると思う」


「まあ、そうだよな」


そこにたどり着くためにどれだけの時間を掛けるのか、ちょっと怖いな。見たところ十階はあるぞ、この城。なんて考えていたら、


「ギジャァァァ!」


という声が聞こえた(鳴き声って全員違うのか)。


「前線は俺が抑えるから援護射撃よろしく!」


と言い残して俺は突撃した。ゴブリンの武器は、小太刀ほどの長さの幅広の曲刀だった。


(あれは盾持ちより倒すのは難しそうだ)


そう。小太刀とは攻防一体の刀で、幅広い曲刀となると攻めるのは難しそうだ。だが幸いなことに、ゴブリンは五匹しかおらず、ユリアの援護射撃があればなんとかなりそうだ。というわけで、


「逃げるか」


逃走。その間にユリアがファイア・ボムを撃つユリア。爆発なら剣じゃ防げない。


「小爆発だから一匹に一つか。えげつないな」


最初の関門を楽々突破。戦利品を回収していると気になるものを見つけた。


「なあ」


「・・・なに?」


「これなんだ?」


見つけたのは一匹のゴブリンが身につけていた宝石のようなものだった。ただの宝石なら何も言わずに掻っ攫っていくのだが、青い光が弱々しく点滅している。


「何だろう?なんかの魔石?拾っておいて損はないと思うけど」


「魔石かー・・・じゃあ拾っておくか」


言われた通り拾ってポーチに入れる。あとで素材屋に行って鑑定でもしてもらおう。


「よし、じゃあいくか」


一通り物品掻っ攫って次のエリアに向かう。

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「・・・ああー!疲れたー!」


「・・・右に同じ」


六階に来るまで結構な時間と体力を使った。


「ゴブリン達数多すぎだろッ!何匹いるんだよ」


「でも、上に上がるにつれてゴブリンの数は減ってきてる」


「そのかわり強くなってんだよ!全く、量より質だよなぁ」


そんなことを話しながら歩いていると、


「これ、なに?」


ユリアがなにか見つけたようだ。それは俺にも見えた。


「なんだ?こんな仰々しい扉は」


そんなことを言ったが、察しはついた。多分中ボスの部屋の扉であろう。


「中に入る?」


ユリアの提案に俺は乗る。


「ああ、だけど注意しろよ。滅茶苦茶強いゴブリンとかいるかもしれんからな」


と言って扉に近づくそしてユリアと一緒に開ける。


「おお、暗いな」


中はかなり暗かった。


「暗くてよく見えない」


とユリアが言った瞬間、


「バチィ!」


と鳴って光が点いた。その部屋の奥にいたのは、巨大なゴブリンだった。


(でか!?もはやこれ、ゴブリンじゃないだろ!?)


とっさに逃げの体制を作るが、


「待って」


とユリアから声がかかった。


「なんだよ。あいつと戦うなんて無謀もいいとこだ」


「見て」


ユリアが部屋の奥を指さした。見てみると、


「階段か?」


ユリアはうなずいた。これじゃあ倒さないわけにはいかない。


「分かった。あいつを倒すぞ。無理だと判断したらすぐ逃げるからな」


ユリアはうなずいた。無謀な戦いかもしれないが、Ballet 001はまだ使ってないし、大した怪我もしていない。ユリアが過剰にヘイトを稼がなければいけるかもしれない。


俺はBallet 001をホルスターから抜いてゴブリンの頭に狙いを定める。


「ルガァァァァ!!」


ゴブリンが突進してきた。が、ユリアがファイア・ボムで対抗してゴブリンがひるむ。そのすきに俺が拳銃を七発撃つ。


「ルガァァァァァ・・・」


ゴブリンが倒れた。


「・・・なんか、あれだな。拍子抜けだな・・・」


ユリアがうなずく。まあこんなもの頭に撃たれたら誰だって死ぬだろ。とりあえず俺は残りの十発をゴブリンの頭に撃った。ゴブリンは本当に死んでいたらしくアクションは無かった。


「それ、強い」


「ああ、これぞ科学の力。故郷の技術こそ最強也」


俺はBallet 001をホルスターにしまい、ゴブリンの死体を探り始めた。ユリアもそれに続く。探りながら、


(これ、対物ライフルとか作ったら英雄の力とか無くてもよくね?)


と思ってしまった。今度作ってみよう。


「・・・リュウヤ、何考えてるの」


「いいや、うん。なにもやましいことは考えていないぞ。ウン」


ユリアが怪しい人を見る目でこちらを見ている。


「よ、よし。とりあえず探り終えたし、ここでステータスを確認しないか?」


ユリアは頷いた。


「ええと、ステータスは・・・は?」


なんとステータスはおかしいことになっていた。

NAME:睦月 龍也、Gender:male、Group:human、Guild:none、Party:ユリア・アレクライト、PartySpecialSource:Braves Army、Lv:12、EXP:15/62312、HP:1530、MP:0、STR:174、AGI:185、VIT:153、DEX:148、INT:165、LUK:13、Skill:[UniqueSkill:無限加工]、Status Up Point:35

ユリアも同様に滅茶苦茶上がっていたらしい。これは上級クエストをゴリ押しでやっていたからなのか?何より器用さが結構上がっている。これはありがたい。


ていうか俺、ポイント全然使ってなかった。


「とりあえずポイントを振り分けよう」


ユリアはうなずいた。

NAME:睦月 龍也、Gender:male、Group:human、Guild:none、Party:ユリア・アレクライト、PartySpecialSource:Braves Army、Lv:12、EXP:52583/62312、HP:1530、MP:0、STR:192、AGI:185、VIT:153、DEX:165、INT:165、LUK:13、Skill:[UniqueSkill:無限加工]、Status Up Point:0

振り分けたら結構強くなった気がした。


「よし、行くか」


俺らは階段を上った。

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七階からはゴブリンが少なく楽に攻略ができた。だが、階段の目の前に中ボスらしきやつが居座っていたので少々面倒くさかった。だがBallet 001の威力が思った以上に強く、全てを瞬殺できた。九口径ではこうもいかなかっただろう。そして今、俺達二人がいるのは九階の階段前。デカイ奴らが三匹もいる。


「やっぱり対物狙撃銃作ろう」


「何いってんのリュウヤ。またぶっ壊れ作ろうとしてるでしょ。」


なぜ、ユリアがゲーム用語を知っているのだ・・・


「それよりあれ、どうするの?」


「目を狙って殺す」


「じゃあがんばって。私も援護する」


「いや、俺一人で十分だよ」


「経験値取られる」


あ、そういうことですか。まあいいけど。


「じゃあ、行ってくる」


「ん。援護するから」


「了解」


俺はいつもの通り突撃した。ゴブリン三匹が俺に視線を集める。その間にユリアが杖を掲げて詠唱する。


「エレフィスト・ソード」


水を纏った土の剣が数本生成される。これは俺の知らない魔法だ。それらがゴブリンに襲いかかる。


「ザクッ!グザッ!」


という音を出して目や腕に刺さる。


「おお!スゲー!なんか固まってるし!」


「メキメキメキ!」


という音を出しながらゴブリン達が固まっていく。固まり終えたらユリアがファイア・ボムで、ゴブリンの頭を綺麗に爆発させていく。


「この戦闘に関しては俺の貢献は殆どゼロだから経験値はちょびっとしかもらえないな」


にしてもユリアの魔法は初心者魔法でも攻撃力高いな。頭を爆発で跳ね飛ばすなんて、えげつないわ~。


「ユリア、さっきの魔法なんなんだよ!教えて!教えて!」


「さっきの魔法スキルはエレフィスト・ソードといって、水と土の属性の剣を生成する魔法。斬られる、あるいは刺されるなど剣によるダメージを負えば、土がこびりついて固まる」


ほえ~。怖いスキルをお持ちで・・・


「次、十階だよ」


「そうか。もうここまで来たんだな」


「準備、大丈夫?」


準備万端か、と言われると否と答えるしかない。残りのマガジンは装填済みのも含め、五つで、ボス戦にはちょっと少ない気がする。だが、行けなくはない。


「まあ、大丈夫だ。多分?」


「なら行こう。さっさと倒して宿のシャワー浴びたい」


「そうだな」


確かに。気づいていたが結構疲労が溜まっている。これは宿に帰ったらポイントがあれば振り分けて、シャワー浴びて寝るな。


俺は確信した。

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十階

外から見た限りでは、多分ボス部屋しか無い狭さだったと思う。


「皆(二人しかいないが)心して扉を開くように!」


ユリアがうなずいた。いざいうときや物々しい雰囲気の時俺はふざけたくなるのだ。


ギギギ・・・という音を出して扉が開く。そこには今までの守護者ゴブリンとは比べ物にならないぐらいの大きさを誇るゴブリンがいた。少し唖然していると、


「貴様らは我らゴブリンに楯突く者共か」


ゴブリンが喋った。


「イエス!オフコース!」


「その通り」


俺とユリアが同時に答えた。


「ならば貴様らを地獄の底に落とすとしよう」


「いいけど、こっちも全力で殺しにかかるから」


「覚悟、して」


そして俺はBallet 001をホルスターから抜き取り、頭を狙って七発撃った。だが、


「我をなめるなぁ!」


あまり、効かなかったようで、三発は弾かれた。


「レーニング・バラード」


今度はユリアの攻撃。十五本ほどの燃え盛る炎の棒に青い電気が纏わりつく。そして一斉に発射。だがそれも少し傷を付けただけだった。


「ぬがあぁぁぁ!この周辺のゴブリン共を統率している我をなめるなぁぁ!」


お次はゴブリンのターン。いつの間にか持っていた両刃斧で俺らを攻撃していった。


「やば・・・逃げるか。おいユリア!お前も斧に当たらないよう逃げ回れ!」


「了解」


いやー、あいつこんな時でもクールだな。とか思っていると俺の頭上に斧が・・・


「いや、死ぬ死ぬ死ぬぅ!!」


とっさの回避。そして俺が元いた場所は木っ端微塵斬りになっていた。


(このままじゃ倒すのは無理だな。どうす・・・)


「ビュゥゥン!」


(・・・あっぶねー!俺の真横スレスレだったぞ!)


と、ふざけたことを考えているが実際そんな呑気な場面じゃない。ゴブリンは俺だけを狙っているし、意外と足速いし、斧に当たれば木っ端微塵だし、銃弾効かないし、ユリアの魔法も効かないし・・・


「お前弱点ねーの!?」


「我に弱点など存在しないわぁぁ!」


「ビュゥン!」


弱点、弱点、弱点・・・俺はそれだけを探していた。そして見つけた。


「目だ」


そう。どんな相手だろうと目が弱点だ。目を潰してしまえばなんとかなる。・・・さて、どうやって目を潰すか・・・


「そうだ・・・ユリア!今飛べるか?」


ユリアの飛行魔法は見たことが無いが藁にもすがる思いで聞いた。答えは、


「無理ー」


というやる気のなさそうな声。


「何故!?」


「魔力がない」


・・・なら、方法は一つ。


「グニョグニョ」


「なに!?」


無限加工で足止めをし、その間にBallet 001で目を潰す。筋力を増やしておいたおかげで素早く壁を作ることができた。


「まあ、最初からそのつもりだったけど」


ゴブリンは俺が作った壁を壊そうとしている。が、それより早く俺のBallet 001が火を噴く。バン、パンといい音を出してゴブリンの右目を狙い、撃っていく。そして、七発目で目に当たった。


「ブシャァァァ!」


と勢いよくゴブリンの血が吹き出る。


「ぐおぉぉぉ・・・」


そして俺は左目を狙う。これは一発目で当たった。


「があぁぁぁ・・・」


「このまま地に沈め」


俺は無限加工を使いゴブリンを土に埋め始めた。


「待て!頼む!お願いだ!俺を殺さないでくれ!頼む!」


・・・何だこいつ。


「やだね。お前は殺す。俺らの経験値になるんだ」


「レベルアップ、楽しみ」


ユリアさん?可愛い顔して怖いこと言わないの。


「そ、そうだ!お前の手下になる!それでどうだ?」


「目はどうする」


「目は・・・な、治・・・」


何いってんだこいつ?何も知らんのか?


「知ってるか?」


「ッ!?」


「目って絶対に復元しないんだよ。だからお前は使えないし助けない」


ゴブリンは唖然した。そして藻搔いた。


「・・・なぜだ。なぜ俺はこんなことをされなければいけないのだッ!」


「邪魔だし、経験値になるから」


「ザックザク」


ユリアさん、ルンルン気分で言わないでそういうこと。黙ってたら可愛いんだから。


「というわけで、じゃあな。地獄の底に落ちろ」


その言葉で地面が元に戻った。あいつは今頃土の中の奥深くだろう。


「さて、あいつが死んだら経験値貰えるかな?」


「できれば、多めにほしい」


「そうだな。結構苦労したからな」

----------------------------------------------------


宿でステータス確認をしたらなんとレベル20になっていた。ポイント振り分ければもうかなり強くなった気がする。

NAME:睦月 龍也、Gender:male、Group:human、Guild:none、Party:ユリア・アレクライト、PartySpecialSource:Braves Army、Lv:20、EXP:583/99671、HP:2170、MP:0、STR:260、AGI:255、VIT:217、DEX:235、INT:225、LUK:15、Skill:[UniqueSkill:無限加工]、Status Up Point:0


ちなみにユリアはレベル19で悔しがっていた。

ボスゴブリン弱っ!!

なぜ、いちいち拳銃と書くのではなく「Ballet 001」と書くのか。

だってかっこよくない?



(銃の知識は皆無なので多分書き直します。)


7/16 Bullet001の口径を修正しました。

12mm→10.5mm

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