新たな優しい仲間
「よっしゃー!レベル5到達!」
骨熊討伐から三週間、中級クエストも少し混ぜながら経験値稼ぎをし、とうとうレベル5になった。ステータスは、
NAME:睦月 龍也、Gender:male、Group:human、Guild:none、Party:none、Lv:5、EXP:2/22312、HP:850、MP:0、STR:124、AGI:125、VIT:85、DEX:51、INT:115、LUK:6、Skill:none、Status Up Point:5
という感じだ。もちろんいつものように筋力と器用さにステータスを振る。そして今はリザードというトカゲ型のモンスターの討伐クエスト中だ。こいつを討伐するときに厄介なのが、左手に持っているバックラーだ。これのせいで思うように攻撃が当たらず跳ね返されてしまう。が、思ったよりこいつらは筋力が無く、強めに剣で叩いてやれば怯むのでそのすきに首を切り落としてしまえばいい。
そんなこんなでこのクエストはクリアしてしまった。なのでそのまま次のクエストへ向かう。次は人形緑スライムの討伐だ。基本的にはスライムと変わらないが、接近されるとかなり厄介な相手らしい。
森に着くと女の人の声がした。向かってみると女の子が四、五匹のの緑スライムに囲まれていた。
「・・・来ないで、・・・来ないで、・・・気持ち悪いです!」
その女の子の抵抗も意味が無く緑スライムは着々と進行を続けている。ここで俺が助けなかったらどうなるだろうか。まあ、もちろん助けに行くが。初めてスライムを倒した時と同じように色の濃い核の部分を狙う。ブシューという音を立てながらスライムがしぼんでいく。このまま殲滅してしまいたい、がここは女の子を助けるほうが先だ。その女の子の手首を強引につかみ、安全な場所へ連れて行く。
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「大丈夫ですか?」
と言いながらその子を見る。背丈は推定154~158センチくらい、胸は身長によらず結構ある。恐らくB~Cくらい。服装は黒を基調とし、濃い赤と深緑の模様が入ったローブ。右手には杖、髪型はショートボブで色は茶色、目の色は蒼い。顔は普通に小顔で可愛く、人々を魅了するような顔立ちだ。
「大丈夫です。ありがとうございます。私は少ししか魔法が使えず近距離戦はできないもので。私はユリア・アレクライトと言います」
彼女が答える。
「俺は、睦月龍也。ムツキが名字で、リュウヤが名前だ」
「・・・あなたがムツキさん?」
「俺をし知っているのか?」
「いえ、パーティー募集中の名前にあなたの名前があったので。帰ったらお伺いしようかと」
なるほど。つまり・・・
「唐突ですがお願いします。私とパーティーを組んで下さい」
ということだ。だがこれは幸運だ。ユリアからこの世界について色々聞いたりできるかも知れない。後で聞いてみよう。魔法が使えるらしいしな。
「失礼なのはわかっています。ですがお願いします。私とパーティーを組んでくれませんか?」
そんなに切羽詰っているのか?
「あ、ああ。じゃあ分かった」
「ありがとうございます」
頭を下げながらユリアが言った。
「ああ、俺のことはリュウヤでいいよ。それと敬語はいらない」
「じゃあそう呼ばせてもらう」
「それでいい。じゃあとりあえずしばらくよろしく」
「よろしく」
よし。これで仲間を一人手に入れた。その後、人形スライムを殲滅して、ユリアのことについて色々聞いた。彼女は二ヶ月ほど前にここに来たらしい。レベルは4で、使える魔法がいくつかあると言っていた。魔法には属性があり、火・土・水・電気・風・闇・光の七属性がある、と彼女は教えてくれた。他にも無属性というのがあるらしいが、天然のものにしか籠められておらず、人間には扱えないらしい。因みに彼女が使える魔法については今度一緒に狩りをする時のお楽しみ、と言っていた。
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次の日
俺とユリアは骨熊の討伐に向かった。骨熊と言っても前に討伐したような大きさではなくまだ生まれたばかりの小さなやつだ。(スケルトンも子供を生むのだろうか?)前衛で俺が引きつけている間に彼女が狙いを定めてくれるそうだ。とりあえず俺が引きつけ、逃げ回る。
「私が合図したら伏せて」
ユリアが叫ぶ。それにうなずき縦横無尽に駆け回る。
「そこ!」
ユリアの合図が聞こえた。言われたと通りに頭を下げる。すると骨熊の右目が小さく爆発した。さらに、小さくも青いスパークが左目を直撃した。そのまま骨熊は後ろに倒れ、骨がバラバラになる。
「おおー!凄いな。少し諦めてたけどこの世界にも魔法があるんだな!」
よかったよかった、と呟きながらユリアの元に行く。
「凄いな。さっきの魔法、なんか固有名とかあるのか?」
「先程の小さな爆発はファイア・ボム、青いスパークはエレクトリカル・アローっていう名前。名前そのまんま過ぎて初心者感ダバダバだけど」
威力はめっちゃ強かったけど?
「あとは、ホロウ・エアリアル、もう一つは今話したのとは比較にならないほど強力な魔法」
誇らしげに言う彼女に少し期待の目を向けながら尋ねる。
「どういった魔法なんだ?」
「固有名はフレベリアル・フェザー。二つ名は<魔火羽>。この魔法は自分の背中に火の羽を生やすという魔法。そのまま飛行もできるし、羽から火炎を射出したりもする」
「その魔法はそんなに凄いのか?」
ユリアが首を縦に振り肯定する。
「まず飛行できる魔法またはスキルなんて滅多にないし、それに仮にあったとしてもそれは飛行専用のがほとんど。さらにこの魔法は先程話した初心者魔法とは違い、個人専用魔法だから、私にしか使えない」
なるほど。・・・ん?ちょっと待てよ。
「なんで他のスキルがそんな初心者なのに、それだけそんなに強いんだよ?」
俺の純粋な質問に彼女が答える。
「この魔法は私お父さんが象徴石を作ったときにはもう使えた」
「なぜ?」
「さぁ?」
・・・まあ強いのはいいことだ。とりあえず俺達は帰って報酬を貰い、宿に帰る。彼女もこの宿に居候しているようだ。
「そういえばこの宿、なんでこんなに安いの?」
「ああ、俺も気になって聞いてみたんだが、この宿はなんか帝立ってところと王立ってところから支援を受けているらしいんだ。なんでも二ヶ月前、対魔神軍攻略団っていう魔神と戦うためのギルドが、レベル150級モンスターに全滅させられて魔神軍と戦える人がいなくなってまた低レベル層の人たちを強くするためなんだって」
つまり、滅茶苦茶強いモンスターにやられたから一から組織作りということだ。
「なるほど。そういうことだったの」
納得したように彼女が言う。
「そういえば、これからユリアはどうする?パーティー、本当に俺と組んでいいのか?」
ユリアが首を縦に振る。
「なんかリュウヤとなら気が合う気がする。というわけでよろしくお願いします」
「分かった。じゃあよろしく」
これで俺のパーティーが結成されたわけだ。そういえばこの世界について色々彼女に聞くんだった。
「なあ、ユリアこれから暇?」
「これからすることといえば寝ることくらい」
「じゃあちょっと話があるんだけど」
彼女は首を傾げる。
「なんかよくわかんないけどわかった。着替えてからそちらの部屋に行かせてもらう」
少し矛盾した返事をして俺の隣の部屋に向かう。
(部屋隣だったのかー!?)
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「話したいこととは?」
「ええと、とりあえず魔神軍がどんなやつなのか知る限り教えてほしい」
「分かった。魔神軍とはその名の通り、魔神が作った軍隊。拠点はここから約一万キロメートル先の魔城という場所らしい。目的はまだ分かっていない。だけど、さっき倒したベアースケルトンや、スライムなどは全てあの軍隊が創り上げたものだというのは分かっている。これらを魔物とみんなが言う。魔物は複製が可能であり、いくらでも生み出せる。それとは違い、魔人というものがいる。肉体的にはそこらへんの人間と体の作りは変わらない。けど、一つだけ違う点が。彼らは魔神の加護を授かっているらしい。魔神の加護とは、魔法攻撃力が増加する代わりに、魔神には絶対に逆らえないというものらしい。私が知っているのはこれくらい。役に立った?」
「ああ、ありがとう。とても役に立つ」
一万キロメートル先の魔城に攻めるのは辛そうだな。ちまちま先に進まなければたどり着くのは無理だろう。
「ちょっといいか?」
「・・・ん?」
「俺はその魔城に攻め込もうと思う」
「・・・ッ!?いくらなんでも無理。魔神を屠れるのは勇者軍という英雄率いる軍だけらしい。英雄がいなから今は絶対に・・・」
「流石に今じゃないよ。三、四年先だ。だが絶対にいつか攻め込む」
「魔神と戦うには推定325レベルは必要だって王立が公表している。その周りにいるモンスターだって300レベルは必要だし、そもそも、100レベルいける人なんてほとんどいないから。それでもリュウヤは325レベルまで到達できる?」
確かにまだ10レベルまで到達していない俺から見たら325レベルは途方もない道だろう。だが、
「それでも俺は魔城に攻めなければ行けないんだ」
「・・・なんでそこまで魔神を?」
元の世界に帰りたいから、と即答しなかったのは懸命な判断だろう。もしそんなことを言ったらお前頭おかしいんじゃねえのと言われ、部屋をさっさと出ていってしまうだろう。だが、それ以外の理由はないし、俺はとっさに作り話ができる人ではない。
「これから話すことは本当だ。別に信じなくてもいいけど、できれば信じてほしい。なんせ信じろと言っても簡単に信じられる内容じゃないからな」
「いや、信じる。とっさに嘘が言えるような人じゃあなさそうだから」
なぜバレたし。
「じゃあ話すよ」
「お願い」
「実は俺、この世界の人間じゃないんだ。」
「・・・ん?」
「こことは違う、別の世界から来た」
「ちょっと待って、別の世界?それじゃあ誰かに召喚されたとか?いや、そんなのできる人なんていないはず・・・」
「確かに、俺をこの世界に召喚したのは人じゃない。神だ。それもボクっ娘神様」
「一人称が僕の神様は神界序列第一位の創世神、リン・カルシスター様?」
「ああ、そうだ。そいつに俺は元の世界で槍をぶっ刺されて死んだ。それからなんか生き返って、変な場所で色々話を聞かされた。あいつは僕の力が奪われたから取り戻せと自分勝手な理由でこの世界に召喚した。で、魔神を倒せたら元の世界に戻してあげると言った。まあ色々面白かったからいいけど」
「リュウヤを刺した槍はおそらく創造槍トルドカルスターだと思う。その色々な話とは?」
「魔神が六~七年後くらいに攻めてくると聞いた。後はこの世界の話を少しと象徴石について」
「なるほど。他になにかあったことは?」
「確か、英雄の力を授けたとか君のステータスは最初から少し高いとか」
「英雄の力?じゃあリュウヤが英雄?」
「いや、そんな気はしない。けど、力は後々覚醒するって言ってた」
「なるほど。大体分かった。とりあえず信じる」
(よかった。信じてくれたみたいだ。)
「それじゃあ、改めてお願いしたい。俺のパーティーで一緒にレベル上げをして、一緒に戦ってほしい」
ここでパーティーを抜けると言われても文句は言えないだろう。なんせ神を倒すために一緒に戦ってくれと言っているのだから。しかも変な理由付きで。
「・・・分かった」
「ありがとう!」
「いや、別に。それに英雄の力を授かった人がパーティーリーダーなら勇者軍と成立する」
すると彼女は象徴石の窓を開いた。
「今、リュウヤの話したことの証拠がある。ほら」
彼女が俺に象徴石を見せてくる。ほとんど読めないが名前、ギルド、パーティーのところだけ読める。パーティーの欄に俺の名前があり、その隣には、PartySpecialSourceなる文字がある。調味料のソース(Sauce)ではなく、HTMLによく使う属性の意味を持った方のソース(Source)だ。なのでこの場合パーティーの特別な属性ということだ。その欄にはBraves Armyと記されている。直訳すると勇者達の軍隊。
「なるほど。こんなものが表示されるのか」
「というわけで、私はリュウヤを信じてみる」
「ありがとう。じゃあとりあえずこれからの目標を立てよう」
「まあまずはレベル10到達。レベル325まで一体何年かかると思う?」
「そうだな。途方もない道だな」
「・・・まったくその通り」
「とりあえず今日はこれで解散!ありがとうな。ユリア」
「どういたしまして。でも、私はいつか魔神を倒せる気がする。リュウヤとなら、いける気がしなくもない」
ユリアは微笑して部屋を出た。
因みに魔神の読み方は[ましん]、魔人は[まじん]です。
6/20 3:50
すみません!ヒロインの設定を少し変更させていただきました!私が
「これでは書きたい物語を描けない!」
と思ってしまったもので・・・
この小説は私の単なる趣味なのでお口に合わない方がいらっしゃると思います。
これからも小説を勝手に変更してしまうことが多々ありますが、今後とも宜しくお願いいたします。
6/25 18:56
誠に申し訳ない!魔法の説明を変更させてもらった!
これからも小説を勝手に変更してしまうことが多々ありますが、今後とも宜しくお願いいたします。