いざ、異世界へ
「さて、じゃあこれからについて話そう」
「ああ、そうしてくれ。できれば俺を元の世界に戻す方向で」
「いや、今はまだそれは無理だ。だが・・・」
無理なんだ。連れてきたのに無理なんだ。
「だが?」
「だが、君がこれからあることをしてくれれば君は元の世界に戻れるよ」
「何をすればいい?」
「今、僕の力は不覚にもある神のせいで弱体化されてしまっている。その神が活動不能になれば僕の力は取り戻せる」
「だから俺にその神を殺せと?」
「その通りだ。よくわかったね。僕の力が戻れば君の存在する元の世界に帰れるよ」
「馬鹿じゃねぇの!?」
「何故だい?君がちゃちゃっと神をしばいてくれればそれで済む話じゃないか」
「お前は俺が神を殺せると思ってるのか?」
「思ってるよ」
「その根拠は?」
「今はない。けど今から与える」
「は?何言って・・・」
「ブオォォォ」
すると俺の周りが光りに包まれた。
「おお!?何だこれ!」
「よし。これで大丈夫」
そう彼女が言うと光は俺の中に吸い込まれてった。
「おあ!?なんか入ってくるぞ?うお!?」
「さて今君に何をしたか気になるかい?」
「いやもちろん気になるけど」
むしろこんなことをされて気にならない人なんかいない。
「今僕が君に与えたのは魔物や魔人、それに魔の神と書いて魔神を屠る力を与えたんだ。最後の魔神は普通の人間には倒せないが僕が与えた能力はいわゆる英雄の力だ。君ならやつにとどめを刺せる。その力は後々覚醒するよ。」
「おおーなんかゲームっぽい!」
こういうのはなんか面白くってドキドキしてしまうのはゲーマーの性だ。
「お!ゲームが好きか。ならこれから話すことは君をわくわくさせると思うよ」
「なんだなんだ?」
「今から君の体力や筋力、その他多くのステータスが可視化される。君のレベルや武器・スキル熟練度もそこに書かれる」
おおーそれってもうゲームじゃん。まるっきりゲームじゃん。
「更に君の世界にはないが魔法もそこで習得できるよ」
「ちょっと待った。急展開過ぎやしないか?そこまで行ったらもうこの世界がゲームじゃないか」
「そりゃあこの世界は君の世界のファンタジーを元にして作ったんだから、当たり前じゃん」
「あんびりーばぼー・・・」
だがここである疑問が浮かんだ。
「ちょっと待て。それなら俺が死んだらリスポーンとかもできるのか?」
「流石にそこまで非常識な世界にはしてないよ」
ですよね。
「あと俺のステータスはどうやって見ればいいんだ?」
「あ、そうか。危ない危ない忘れるところだった」
そう言うと彼女は俺に手のひらを向けて、
「魂よ、この者の能力を形にせよ」
と言い俺の額に中指を当てた。すると、
「キュゥゥゥゥン!」
と俺の脳から音がなり消えた。
「オッケー。これが君のステータス、象徴石だ。にしても・・・」
気づくと彼女は赤黒い角の様なものを持っていた。
「かなり黒いね。少し赤も混ざってるし。あ、でも形だけはかっこいいね。混沌龍の一本角か」
「で、それはどうやって使うんだよ」
「じゃあこれを持って、人差し指で三回つついてみな」
すると少し紫がかった光文字が出現した。
「その窓も象徴石と同じく人それぞれの文字や形をしているから人に見られることはないよ。名前だけは相手にわかるけど」
書いてある文字は上から、
NAME:睦月 龍也、Gender:male、Group:human、Guild:none、Party:none、Lv:1、EXP:0/2000、HP:600、MP:0、STR:90、AGI:100、VIT:60、DEX:20、INT:90、LUK:5、Skill:none、Status Up Point:0
となっている。
「君のステータス、最初から結構高いんだよ。これなら最初は単独でもなんとかなるかな。あ、でも運だけ人よりかなり低いね」
「ばりばりMMOだなこれ」
「君はこれの使い方がわからないと思うから使い方をまとめた紙を渡しておくよ」
そう言うと彼女は折られた紙を差し出した。俺はそれを受け取りジャージのポケットにしまった。
「よし、それじゃあ準備万端いってらっしゃ~い」
「お前は最初から最後まで馬鹿なのか。この世界の説明をしろ。俺の言語がどこまで通じるかもな」
「ああ、忘れてた忘れてた。ごめりんちょっ」
「可愛くねーよ!?」
「えーまず最初に巨大な村に君を転送します。他にもいくつも町村はあるからね。君が心配している言語については通じるよ。書きが君の世界とは違うけど問題なく書けるし読めるよ。英語も通じるし時計も一応ある。モンスターは朝も湧くっちゃ湧くけど夜に外壁から出たらモンスター湧きまくるから注意してね。武器とかはクエスト受注場から借りられるからそこんところは問題ない。後は死なないように注意してね。最後に魔神は六~七年後くらいに攻めると思う」
なるほど。生活に支障が出る心配はないか。モンスターや魔神についても分かった。
「よし分かった。もう大丈夫だ」
「よし、じゃあ準備はいい?僕にはもう会えないかもよ。そんな貧弱装備で大丈夫?というか君高校生なのになんで制服じゃないの?」
「うちの高校は私服ありだ。んでもって部活が終わったときにお前が襲ってきたんだ。今もプラスチックトランプとバッテリー切れのスマホがポケットの中に入ってるよ。あとジャージなめんな。これ結構耐久度あるからな」
「君はゲーム部とかなのかな?まあいいや。そいじゃまた合うときは平和な世界で」
「おう。俺が世界を平和にしてやる」
薄紫色の光が俺の体を覆った。
ここまでがプロローグ。
次からが本編です。