物語の始まり
プロローグです。
突然だが君たちは何かを間違えたことはあるだろうか。
俺はある。
俺に限らず誰であろうと、たとえ人外であろうと
生きていれば生命体は必ず間違える。
そうそれがたとえ神であっても・・・
そして俺はその間違いのせいで、
神が犯した間違いのせいで異世界に飛ばされることになる。
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「なんだよ。なんなんだよ!」
俺の名前は睦月 龍也。現在謎の女に追いかけられている途中です。
「逃げ切ったか?」
息を切らしながら確認する。後ろにはあの女はいない。
部活が終わり学校から帰る途中にいきなり現れてそしていきなり装飾の多い金色の槍で襲われた。薄紫の髪に目は深紅だった。その容姿も一緒に警察に通報しようにもスマートフォンは圏外だし、大声で助けを求めても一向に救世主は現れない。
(どうする?抵抗してみるか?一応正当防衛だと思うし・・・いや、たかが学校の剣道技術なんかで太刀打ちできるのか?ここはひたすら逃げるのが最適か?)
などと最適解を模索していると、
「シャッ」
と音がした。振り向くとあの女がいた。
(マズイ!このままじゃ死ぬ!)
「やめ・・・」
言葉が途切れた。腹から熱いものが流れた。見るとあの槍が刺さっていた。だが不思議と痛みはなかった。
「クソッこれじゃもう・・・」
その時前にいる女が口を開いた。
「済まない。どうしても君が必要なんだ。僕の世界を救うために・・・」
「何を言って・・・」
その瞬間俺の体は腹に刺さっていた槍に吸い込まれた。
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気づいたらそこは暗闇だった。体は動かないが腹に刺さっていた槍はもう無いようだ。
(これが死か。だがあの女は?)
その時声が聞こえた。
「やあ少年。気分はどうだい?」
「なっ、お前あの時の女か!」
「そうだよ。先程は済まないねいきなり襲って。君はムツキ・リュウヤ君だよね」
「いやそうだけど。なんだよいきなり殺して。俺の家に返せよ」
「まあ落ち着いて。たしか、ムツキ・リュウヤ16歳だよね」
「いや俺17歳だけど」
「は?いやちょっと待って。あれ?高校一年生じゃ・・・」
「三年だよ。四ヶ月後誕生日で18になるから」
「・・・マジで?」
「マジで」
「・・・ノオォォォォォォォォォォ」
なんだいきなりこいつは。姿も見せないで。
「なんだよ何があったんだよ」
「ヤバイ」
「何が」
「・・・連れてくる人間違えた。僕の姿が見えるということは勇者の資格があるはずなのに・・・」
「・・・はあ!?連れてくる人間違えたぁ!?」
ふざけるな。腹にやりぶっ刺して殺してよくわかんないとこに連れてこられて連れてくる人間違えただと!?
「じゃあ返せよ!家に返せ!俺の極楽浄土に、ゲームだらけの、漫画にラノベだらけの俺の部屋に返してくれ!」
そう女に怒鳴る。だが返答は最悪で理解に苦しむものだった。
「・・・ああ、本当に済まないがそれは無理なんだ」
「はあ?」
「更にいうと君の世界はもう君の戸籍や存在そのものが消えている」
「・・・はあ?何だそれ。そんなのどうするんだよ」
本当にそうだ。どうするんだよ。俺の部屋にもう戻れないのか。それとも何だ。このまま昇天しろとでも言うのか。そんなのは認めない。
「ああ。これから説明する」
そう短く答えると現れたのはさっきの女、薄紫の髪に深紅の目のあの女がいた。
「今回のことは本当に済まない。さて自己紹介がまだだったね」
そう言うと彼女はいつの間にかそこにあった椅子に座って名を名乗った。
「僕の名前はリン・カルシスター。僕の世界では創世神と言われているものだ」