やっぱり、ガラスの靴はキーアイテム
少し間が開いてしまいました。やっと、ここまで…。と言ってもまだまだ先は長いのですが。
あ、どうぞ御覧下さい!
「結構ですわ、私があの謎の令嬢ではないことはあなたが一番ご存知でしょう?って、えぇっ!なんであなたが…ここに…。」
「ひどいな、人を幽霊みたいに、せっかく君に会いに来たのに…。」
ドキッとするじゃない!見た目の良い方にそんなこと言われたらしょうがないわ…。
でも本気にして傷つくのはこちらなんだから流さないと。
「そう、それはよかった。私もあなたに聞きたいことがあるの。」
「信じてないな~!本気なのに…。それでなんだい?私に聞きたいことっていうのは。」
何やら途中でごにょごにょして聞こえませんでしたが大した事は無いでしょう。
「あなたの名前を聞いていなかったわ!私の名前は知っているのに!」
「そんなに怒らなくてもいいじゃないか、あ、もしかして僕のことが気になるから名前が知りたいのかい?素直じゃないね、君は。」
にやにやと彼は見つめてくるのでイライラしますがここで噛みついたらまさに相手の思うつぼでしょう。こうやって話を逸らそうたってそうは問屋が卸しません!
「ええ、そうですわ。あんなに楽しいダンスは初めてだったのです。そんな経験をさせてくれた相手に興味を持たないわけがないでしょう?私がそんな風に思うのは迷惑なのですか?」
どうでしょうか?褒めていい気にさせて答えさせる作戦です。うぅ、嘘は言っておりせんが、なんでしょう恥ずかしくて途中から小声になってしまいました。顔を見られません、耳まで赤くなっている気がします。
うつむいたまま十秒ほどたったのですが返事がなくて不安なのですが…。とりあえず顔の熱が下がったのでもう大丈夫でしょう、上を向いて彼の方をうかがってみました。
「あの…。どうしました?具合が悪いの?顔赤いですよ。」
口元を片手で覆い、横を向いています。なんか顔が赤いです。人当りでもしたんでしょうか?
「いや、大丈夫だよ…。ちょっと驚いただけだよ。」
「何に「ああ、私の名前だよね。ジラール公爵の次男、ウィリアムだ。済まなかった。」
今まで粘った割にあっさり言うので拍子抜けです。本名ですよね。偽名で公爵家を語るなど正気の沙汰ではありませんものね。ジラール公爵家と言ったら今現在の宰相のグレゴリー様が当主である、この国の一番権力を持った貴族です。まずいです。知らないとはいえ結構失礼な態度を…。血の気が引きますが謝罪しなければ!
「申し訳ございませんでした。ジラール公爵家の方と存じ上げず、失礼な態度を…。どうかお許しください。ジラール様」
私はすぐに謝りました。するとジラール様は驚いた顔をした後、一瞬さみしそうな顔になったと思ったのですが、気のせいでしょうか?
「セシリア、別に言っていなかったのだから私は怒っていないよ。そんな風にかしこまる必要はない、私のことはウィリアムと呼んでくれ。」
ウィリアム様、って本当にお呼びしてよいのでしょうか?不機嫌な顔でそう言われましても、正直困ります。
「はい、ありがとうございます。…ウィリアム様。」
恐る恐る名前を呼んでみるといつもの笑顔に戻りました。友達程度には思っていただけていたのでしょうか。見つめる私から顔をそらすとウィリアム様は何やら不思議な動きを…。またさっきのように口元を覆い顔も少し赤いです。やはりどこか具合が悪いのでしょうか?
「あ、行列が空いてきたようだよ!靴を試してきたら?」
「いえ、私は第一王子の婚約者になろうなどと考えたこともございません。私はガディネ男爵家の一人娘ですから。」
そう、私はお婿さんを迎えなければならないのです。どこかのお家の次男や三男の方と結婚しなければなりません。お年頃ですから恋愛に憧れがないと言ったら嘘になりますが、そんなこととは無縁だったので私が結婚したいと思う人を見つける前に、きっとお父様の決めた人と結婚するのです。気分が暗くなるけれど仕方ありません。
知らないうちに表情までも暗くなってしまったようです。ウィリアム様が心配しているといった様子でのぞき込んできました。なんとなくいたたまれない気になってどうにか逃げだす口実を靴の行列にすることにしました。さっきまで行かないと言っていたのですが…。適当に理由をつけて行くことにします。
「ですが…。国王陛下のご命令とあらば聞かぬわけにはまいりません。私はあの行列に並んでまいりますので失礼いたしますわ。ではウィリアム様、御機嫌よう。」
私は一礼してその場を離れ、列に並びました。私の前には十数人並んでいたのですがあっという間に私の番がやってまいりました。
「ガディネ男爵家のセシリアにございます。どうぞよろしくお願い致しますわ。」
私は係の人にそう言い中央の椅子に座りました。
やはり第一王子の婚約者が決まるとあって会場中の視線が集まるのが分かります。そんなに見つめられても…。私は謎の令嬢ではありませんわ、と言えたら楽なのでしょうが、ああもう、こういうのはさっさと終わらせてここを立ち去るに限ります。
差し出された靴に私は片足を差し出し「ほら、私ではありませんでしょう?」と言いたげな表情を作って見せました。が、変です、なんかぴったりフィットしていませんか?あれ、いつの間にか自分の靴を履かされていたのでしょうか?履き心地が先程までとは違うのですが…。
足を見ると…。そこにはガラスの靴が…。まずい、間違えられてしまうわ!
「あの、ちが「国王陛下!いましたぁ!!」
その声に会場中の全員の視線が集まり、咄嗟に私は立ち上がりました。
そのせいで立ち眩みが…。いや、何かが頭に流れ込んでくるわ。うぅ、頭痛い。パンクしそう。なんかこのガラスの靴見たことある。いや、正確には絵本の中で見たのだが、思い出した!ここはシンデレラの世界だぁーー!
私は体が傾いていくのをどこか別の出来事のように感じながら目を閉じました。
セシリアには痛いほど聞こえてくる会場中の騒ぎが段々と聞こえなくなっていった。
書いていく中で悩むことも多く、皆様もこの話の地の文が、さぞ読みずらいのではと思います。本当に申し訳ございません。あと、キャラクターの名前や、この国の名前が出て来てなかったりするのは、名前の付け方も悩んでいたりするので、未だに二人しか出てきてないという状況です。
これからの更新についてなのですが、私事なのですが、受験勉強のため来年三月中旬頃まで休載するつもりです。もし余裕があれば更新することがあるかもしれません。