何故こうなったのか思い出してみますわ
初めまして未櫻と申します。思い付きというか勢いで書いたので、これからどうなるのでしょう。こういった物語を書くのは初めてなので至らぬ点が多々あるかと思います。どうか温かい目で見守っていただけるとありがたいです。
----シンデレラストーリー----
ごく普通の少女が玉の輿に乗ることを人はそう呼ぶ。
だが、ごく普通の少女と言っても何かしら普通じゃない一芸(長所)を持っていたりするのはよくあることだ。
これだけは言っておこう、私は(転生者だが)凡人だ!運命の人を取り違えるとは何事だバカ王子ぃぃぃ!
っごほんっ、んん、失礼いたしました。私、ガディネ男爵家の長女、セシリア・ガディネと申します。ただいま人違いで王宮に連k…いえ、大層立派な騎士様に囲まれて、次期国王といわれるフレデリック第一王子の元へ連れていかれる途中なのです。言っておきますが第一王子と私に面識はありません。
なぜこうなったかというと、事の発端は2か月前のこと、満月の美しい晩のことでございました。その日王宮では第一王子のお妃選びのための盛大なパーティーが開かれておりました。ちなみにまだ前世の記憶もございませんでした。
「あの、お母様、お妃選びと申しましても、結局は他国の王女様か公爵令嬢辺りでもう決まっているのですよね?」
胡桃色の髪を纏め、上品な濃緑色のドレスを着た母は少し困ったように笑いながら、やる気のない私にささやきました。
「もう、困っちゃうわね。そういうのは暗黙の了解っていうのよ。今日はただお料理と将来有望な男性と知り合えればいいのよ。」
流石お母様、私より何倍も女子力のある、可愛げある表情です。どうやら私にいい家のお坊ちゃまと結婚、は言い過ぎか、まぁお近づきになって欲しいのでしょうが、あなたの娘は野心が機能してないようです。ごめんなさいお母様。
内心母に謝りつつ、退屈なので壁の花をやめてダンスしている人々を避けてできた輪の一員になってみました。
皆さん自分こそがプリンセスになるのだと言いたげに第一王子に秋波を送りつつ、自分が美しく見えるようにダンスを少しアレンジして踊っていらっしゃいますが、ええ、相手の方が不憫ですね。
お嬢様方に振り回され、意識をこちらに向けようと様々な努力を、うっ、かわいそうで見ていられません。ところでその王子様はどんな方と踊っていらっしゃるのでしょうか?
そんな、まさか、なんてことでしょう。見たこともない程の光沢、透明感のある美しい露草色、いえ、空色に近いふんわりとしたタフタのスカート部分。オフショルダーなのに胸を強調するのではなく、むしろ清楚で愛らしい胸元を見事に表現している。
正直言ってこの会場で一番美しいドレスはどれかと聞かれたら即答でこれだと答えるだろう。はっ、思わず口調が完全に素でした。
こんなに美しいドレスを着られるなんてあのご令嬢はどこの貴族か他国の王女なのでしょうか。顔までははっきり見えないのでどうにか近寄りたいのですがダンスホールの中心なのでこれ以上はダンスを踊っている方のご迷惑になってしまいます。う~ん、どうしましょう?
そこでしばらく考えていると曲が終わったようです。あら、どうやら第一王子とどこかのご令嬢は次も踊られるようです。むむ、どうにかして近寄れないものでしょうか。
あ、私はただ純粋に、ごく普通に、この国の貴族の一員として次期王妃が誰なのか知りたいだけで、決して野次馬などという低俗な気持ちなどではありませんよ!ええ、はい!「…ょうさん!」「はいっ!」
「こんばんは、お嬢さん。驚かせてしまって申し訳ございません。もしよろしければ私と踊っていただけませんか?」
うわぁ、ビックリしたー!考え事してたから気が付かなかった!とにかく、返事返事!
「はい、喜んでお受けいたしますわ!」
ああああああああ!急ぎすぎて随分勢い良く返事をしてしまったわ!
と、とりあえず一旦落ち着かなくては!
深呼吸!スーーハーー、スー「ふっはは、おっと、失礼!あまりにもあなたが可愛かったものだから…」
焦りが顔に出ていたのでしょう。深呼吸は心の中でしていたのでばれていないでしょうが、正直嬉しくありません。
男性に笑われて思わずムッとしてしまった私の手を取り輪の中にぐんぐんとその男性は進んでいった。
「ほら、次の曲が始まるよ!その怒った表情もなかなか魅力的だけど、せっかくなので、笑った顔も見せてはくれないだろうか?」
伊達に18年生きているのでこれがその場限りの軽口だということも分かっています。ですが、意地を張っていても淑女としては笑顔でダンスを踊るのが必須事項ですので仕方ありませんね。
「まぁ、お上手ですこと」
不満はさておきダンスを楽しむことにいたしましょう。
お読みいただきありがとうございました!
遅筆&長いお話にしたいと考えておりますので気長にお付き合いください。