【 約束 】
「なぁパチェよ」
「あら、どうしたの?唐突に」
「悪いが暫く眠る」
「どれくらい?」
「私にも分からない」
彼女は、図書館で本を読んでいた【パチュリー・ノーレッジ】にそう伝えると、どこを見るわけでもなく遠くの方を見つめた。
「忙しくなりそうね」
「まぁ任せたぞ、期待してないけど」
「起きたら全滅してるわ」
「そりゃ目覚めが悪い」
「一応最善は尽くすわ...確か倉庫に猫イラズがあったわね」
「それは無意味だ。猫イラズ要らずだ」
「あらそう?」
呆れながらも彼女は、くだらないと笑ってその場から立ち去る。
「少しくらい冗談を言いなさいよね」
そんな嫌味を吐き捨てて。
「はぁ、まったくパチェったら...」
少しは気の利いた事を言って欲しいものだと、愚痴をこぼしながら横になる。
目覚めたら全滅していたなんて、"全然あり得る"話なのだ。
それほど彼女の存在は大きい。
この情報が流れてしまえば、ここが危険になるのは必然だ。
上手い具合にパチュリーが操作してくれるはずだが、それも長くは持たない。
「おやすみなさい」
それでも眠る必要がある。
悠長に回復を待っていたら、どのみち全滅は避けられない。
だから、考えても仕方がない。
要するに後は運次第。
ならば問題無い。
「だって、私だもの___」
たとえ能力が、今は無くとも。