【 危機 】
「え?ちょっ」
一瞬で距離を詰めて来たマリオネットに後退って息を飲む。
何が起こったのかわからない。
僕は、振り上げられたマリオネットの腕から視線を外せずにいると、身体が引かれ宙へ浮く。
そして、額を掠めていくその拳は、空を切ってそのまま地面を叩き割った。
「なんだなんだ?!好戦的だな!」
『お前らだけなら無害だったのだがな。その男は異質だ』
受け止められる身体。
ズキリと額に痛みが走る。
心臓が速まり、精神的な疲労感が襲う。
いったい何が起こったのだろう。
「...大丈夫?」
「うん、まぁ、なんとか」
受け止めてくれたのは、金色の彼女だった。
彼女の手が額に触れると、徐々に痛みが引いていく。
傷を癒す力だろうか。
「...私たちが外に出れない理由がこれ」
「門番を倒せないんだね」
「...そう、でもさっきまでは向こうから攻撃してくることは無かった」
「僕の、せい...」
ロゼは何かを知っているのだろうか。
異質とはどういう事なのだろう。
「...貴方は悪くないわ...悪いのは私たちの弱さ」
そう言う彼女のもとに駆け寄ってくる赤色の彼女は、出口を指差す。
「いったん逃げよう!」
「...そうね」
「わかった!」
僕も立ち上がり走る。
このまま闘っても勝ち目は無い。
『逃すわけないだろ』
だが、出口の前に召喚された二体目のマリオネットが僕らを襲う。
前後からの挟み撃ち。
もう逃げ場が無い。
いったい、どうすれば_________________________________________________________________________________________________________________________
「 ふ ぅ 、 間 に 合 っ た か 」