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【 目覚め 】
酷い異臭が鼻をついた。
頭が痛い。
ここは一体どこだろう。と、思うと同時に思い出す衝撃に、咄嗟に、反射的に胸を押さえた。
怪我は____無い。
いや、胸どころか胸から上は吹っ飛んだはずだ。
無傷なのはオカシイ。
その証拠に、着ていた服は焼け焦げたように裂けている。
確かあの時は########
「___ッ」
記憶にノイズがかかる。
砂嵐のように遮断された思考が、引き戻されて視界が揺らぐ。
詳細に思い出す事が出来ない。
それどころか、自分が何者かも不明だ。
落ち着きを失いそうになるも、大丈夫と自分に言い聞かせ息を吐く。
とにかくここから離れよう。
考えるのはそれからでもいい。
足場の悪いこの場所から滑り降りると、すぐそこにあった通路を見つめる。
他に道らしきものは無く、ここを進むしかなさそうだった。
躊躇いながらも、僕は歩き出した。